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(昭和37年度下半期〜45年度)
第3節 造船業への援助
7.船舶の安全航行支援 海難防止の意識啓発
海難防止の意識啓発
終戦後、わが国経済が復興するに従って、海上産業の活動も盛んになり、それに比例して海難事故も多く発生するようになった。昭和23年には294隻であったものが、29年には8,664隻と約30倍にもふくれ上がったのである。29年以降も大きな事故が相次ぎ、同年5月には暴風のため北海道南東海域において、さけます漁船409隻が遭難、同年9月には函館において国鉄青函連絡船の洞爺丸と貨物船4隻が転覆沈没、30年5月には国鉄宇高連絡船の紫雲丸と第三宇高丸が高松沖にて衝突、31年11月にはラワン材積取船東和丸が荒天中沈没、32年4月には島嶼連絡旅客船第五北川丸が広島県佐木島沖にて座礁沈没し、多くの死者、行方不明者を出した。
これら海難事故のなかでも洞爺丸の事故はわが国海難史上最大の事故となり、タイタニック号以来の大惨事として、内外に大きな反響を呼んだ。
このような事態に対処して運輸省は、海上航行安全審議会の答申に基づいて、33年8月、(社)日本海難防止協会を設立して海難防止事業に精力的に取り組んだ。
その後海上交通の混乱はますます激しさを増し、そのうえ高速化・機械化が急激にすすんだため、乗組員に要求される技量と実態との懸隔に起因する事故も少なくなかったので、37年以降、本会は(社)日本海難防止協会に補助金を支出して「海難防止の周知宣伝」事業を支援している。同事業は海難防止講習会を開催したり、映画フィルムやスライドフィルムを配備したり、小型船用航路の手引きの発行配布、月刊誌『海と安全』の発行配布などであり、海難防止思想の普及・啓発に寄与している。
このようにして海難防止に関するあらゆる知識を反復周知啓発することによって、船舶乗組員および関係者の海難に対する自覚を高め、知識を向上させることができ、海難の防止に寄与することが期待されている。
また小型鋼船、木船、漁船の海難防止と海上交通の正常化を図るため、「海難防止の訪船指導」事業にも補助金を支出している。これは船舶を直接訪船して、運航、機関にたずさわる責任者にそれぞれの重要事項について相談を受け、適切な指導を行うとともに、要望事項についてはその解決のために関係各方面に働きかけ、船舶の航行安全に努めるもので、大きな成果をあげている。
膨張式救命いかだの講習会




[上]訪船診断
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