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(昭和37年度下半期〜45年度)
第3節 造船業への援助
5.輸出支援 動向調査と国際協調
昭和29年当時、世界経済は朝鮮戦争の反動による不況から立ち直り、工業生産は著名な伸びを示しはじめた。国内においても朝鮮戦争後の経済不況から脱却し、建造技術の革新ならびに設備の近代化・合理化と相まって、タンカーを中心とした輸出船受注が活発化し、いわゆる第1次輸出船ブームの初期を迎えた。
このような時期に、不公正な輸出取引を防止し、輸出取引の秩序を確立し、組合員の共通の利益を増進するための施設を整備して、船舶の輸出貿易の健全な発展を図ることを目的に、輸出入取引法(昭和27年施行)に基づいて、29年12月、日本船舶輸出組合が設立された。その取扱品目は「新造する船舶及び舶用機関、部品並びに付属品」となっており、改造・修繕船の輸出問題にも取り組んだ。
30年から始まり32年までつづいた第1次輸出船ブームは、わが国の造船業を飛躍的に発展させ、31年下期にはその進水実績において、わが国の造船業は世界のトップの座に就いた。そして、37年度から39年度にわたる第2次輸出船ブーム、40年度から45年度にわたる第3次輸出船ブームを通じて安定成長をつづけ、49年の造船不況が始まるまでの17年間、世界のトップの座を保ちつづけたのであるが、その間、西欧造船諸国の対日巻返し策は、着々とその成果をあげ、その国際競争力を著しく強化してわが国を追い上げた。このような情勢に対処するため、同組合はロンドン・ジャパン・シップ・センターを開設し、海外における既存市場の維持拡大と新市場の開拓を図った。
ロンドン・ジャパン・シップ・センターの事業内容は、欧州全域における海運造船関係の実情調査や資料の収集、わが国造船業のPRを推進しその国際協調に関する諸情勢の調査研究を行うとともに、同組合員会社の現地駐在員を中核として、緊密な連携のもとに、輸出秩序の確立に努めることであった。したがって具体的事業は調査、広報、国際協調の3つに区分されていた。
このうち最も力を注いでいたのは調査事業で、競争相手国の主要造船所の実態、主要造船所の受注状況、造船政策、海運政策、一般経済事情、船舶のアフターサービス実施状況、関連工業製品の需給状況、価格・仕様・技術情報、主要船主の実態などに関する調査であった。これらの調査事業は年間を通じて適時実施された。
次に広報事業では、わが国造船・関連工業のPR、欧州主要造船国の広報活動実態調査を実施するとともに、ノルウェー、ギリシャ、その他における国際海事展に関し、参加の事前調査、会期中の協力などを行って現地協力態勢の確立に努めた。
また国際協調では、OECD、IMCO等の各種委員会・部会等の活動に対する協力ならびにEEC、EFTA加盟諸国等の情報収集、AWESを中心とする各国造船業の協調問題の動向調査をすすめるとともに、OECDに出席する政府代表を補佐し、業界意向の反映に努めた。
これらの事業の実施によって、わが国関係業界においては、欧州関係の適切な調査資料と正確な諸情報を入手することにより、欧州輸出市場対策がたてられ、また重要な造船関係国際会議の動向などを把握することにより、造船業の振興計画が正確にたてられるなど、ロンドン・ジャパン・シップ・センターの果たす役割は大きく、わが国船舶ならびに舶用機器の輸出振興に寄与するところ大なるものがあった。
本会はロンドン・ジャパン・シップ・センターの運営に対し、補助金を支出し、わが国の船舶輸出の伸長と造船業のより一層の発展を支援した。

ロンドン・ジャパン・シップ・センター

主要造船国新造船受注量の推移
(ロイド統計より)
単位:1000G/T

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