わが国の船舶製造技術は、大型のものについては世界の先進国としてその第1位の地位を維持し、指導的立場を確保するまでに発展を遂げていたが、小型のものについては欧米先進国に比べて著しく遅れていた。特にモーターボートについては、それに使用される機関の製造技術は、比較にならないほど見劣りし、したがって国内の需要のほとんどは輸入に頼っているのが現状で、国家経済の見地からもこれら機関の国産化が課題となっていた。 本会ではわが国の小型船舶および諸機関の発展に寄与するため、(財)日本モーターボート協会実施の、諸種の研究器材、実験装置の完備したモーターボート技術研究所の建設ならびに整備に資金援助を行うとともに、各種研究事業に補助金を支出し、これを支援した。モーターボート技術研究所は、昭和43年3月14日、埼玉県北葛飾郡三郷町戸ノ崎字上堤外3258番地の1に、モーターボートの総合的な研究機関として竣工した。敷地面積は3,270平方メートル、建物面積は1,530平方メートルであった。 その施設は、中小メーカーでは設置することが困難な装置・器具類、たとえば低温実験室、恒温室、周波数分析装置、強度試験用の計測器、各種材料の試験機械や工作機械、高度の振動計や材料分析装置などが整備された。 この技術研究所の完成によって、44年から「モーターボートの性能向上に関する研究」「中馬力船外機の試作研究」「国産プレジャーボートの性能研究」などが行われ、モーターボートの総合研究機関としてその使命を十分に果たすとともに、諸機関の製造技術の向上、発展に大きく貢献することとなった。 |
[上]モーターボート技術研究所 [下]船外機の性能向上の研究
日本造船技術センター |