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(昭和37年度下半期〜45年度)
第3節 造船業への援助
1.船舶の巨大化への対応 巨大船用船用機器の開発
昭和31年のスエズ動乱以来、船舶の大型化に伴って主機関も大型化し、大馬力のものが搭載されるようになった。その後、世界の海運業界は経済的効率の問題から船舶の合理化を図り、船舶を巨大化させていった。そのため41年9月、運輸省において巨大化船委員会が発足し、巨大船の方向が打ち出された。それに対し、本会は(財)日本舶用機器開発協会に補助金を支出して、巨大船用の各種の舶用機器を開発した。
<巨大船用カーゴオイルポンプ>
油槽船の大型化とともに荷役時間が長くなることから、荷役時間を短くするために設計・製作されたもので、大容量高性能の荷油ポンプであった。
<巨大船のブリザーバルブ>
従来ブリザーバルブは、ベントラインの径と同一寸法に作られてきたが、この方式によればブリザーバルブは、船舶の大型化とともにますます大口径となり、設計上より困難となるのみならず、保守・点検、管内抵抗損失、重量・工数・価格の経済性などの点から問題があった。このブリザーバルブは、巨大船において荷役時における大容量と、航海時における小容量を区分して使用する新型式のブリザーバルブで、以上の諸問題を解決して合理化された。
<巨人船用航海船灯>
船舶の巨大化に伴い、旋回性能が鈍くなり、停止惰力が大きくなるなどが生じたため、夜間、他船からその存在および動静を早く認められることが、海上衝突予防の見地から必要となった。また航行中の安全に余裕をもたせるために船灯の視認距離を増大する必要もあった。そのためにはできるだけ強い光力のものが望まれたが、過度の光力は自船の適当な見張りの妨げとなり、霧・雨などの場合に余光範囲が広がり悪影響を生じやすい。この航海船灯はこれらを勘案したもので、視認距離も大きく、巨大船用の航海船灯としてはきわめて優秀であった。
<巨大船用潤滑油ポンプ>
30万トン以上の巨大船の主潤滑油ポンプは、900〜1,700m3/hの容量を必要としていたが、この場合、これまでディーゼル船の主潤滑油ポンプに採用されてきたネジポンプでは製作不可能と考えられていたことから、制御方式においてネジポンプより優れていたウズ巻ポンプを採用したものである。
<巨大船等用大型ウインチ>
巨大船などの係船作業の省力化・高能率化を図るため、30万トンの船舶に搭載できるようにした120トン容量のウインチを試設計した。
<巨大船用復水器循環用高性能大容量ポンプ>巨大化され高速化されたタンカーやコンテナ船には、主機としてのスチームタービンの採用が増大したため、大容量の復水器循環水ポンプが必要となった。循環水ポンプも大容量のものとなると製造工場において在来の施設をもって本船に装備されたと同様な状態での試験が困難となり、本船での運転状態を完全に予測することができなくなってきたので、工場において実際的な状態での試験を行い、高性能大出力ポンプの設計に使用できる諸種の資料を得る目的で試作研究を始めて、開発されたものである。
巨大船用補機については、これらはほんの一例にすぎず、本会は数十件以上の研究開発を支援し、これらの技術の多くが今日のVLCC、ULCCに採用されている。
カーゴオイル駆動用蒸気タービン

カーゴオイルポンプ

大型ウインチ

船灯(マスト灯)

巨大船用潤滑油ポンプ

復水器循環用高性能大容量ポンプ

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