計画における会館事業の業務内容は次のとおりであった。 A.造船事業および海難防止事業に関係する諸団体の連絡、協力態勢を整え、事業の振興および技術の改善に資する。 (イ)造船事業ならびに海難防止事業に関係する諸団体は相当多数あるが、その事務所は各所に分散しかつ十分な設備を有するものが少なく、各団体の会員会社にも不便支障をきたしているのが現状であった。 そこで新しく建設される会館には、前記の諸団体をできるだけ収容し、これに適当なスペースを与え、団体活動ならびに団体相互の連絡を密にするとともに、他方本会館に共通の会議室を設置して造船および海難防止等に関する重要な問題および技術の改善、開発等の会議の開催を容易にし、これらの事業の振興に大きな貢献をなそうとするものであった。 (ロ)また会館の一部に図書室と資料閲覧室を設置して、広く内外の造船および海難防止に関する資料および図書を収集して関係者の調査研究に資するとともに、わが国の造船に関する資料の保存編集等の事業も行い、造船事業の振興に寄与するものであった。 B.造船事業および海難防止等の関係者の相互親睦および協調態勢の促進を図る。 本会は会館の一部を関係団体、関係者または会館入居者を会員としたクラブ組織の活動に提供して、会員が趣味、娯楽等を通じ胸襟を開き相互に理解しあう場を設けることを計画したのである。 C.本会の財産の保全と事業遂行上の財源を確保する。 本会設立の趣旨から、財産の確保については万全を期す必要があった。このような観点から、この計画による会館を建設して財産の一部を不動産として所有し、安全かつ確実に管理運営を図るとともに、船舶センターとしての機能を高めるため低廉な賃貸料をもって関係団体を広く収容し、公益の増進に寄与しようとするものであった。 また会館の一部スペースについては、商業べースをもって賃貸して収益を図り、本会の振興業務が円滑に遂行できるよう資金確保につとめ、恒久的な財源の一部とする計画であった。 同会館の建設については、昭和37年12月11日付で運輸大臣の認可を受け、同年12月24日起工式を執行、39年6月25日に竣工し、会館の名称は「船舶振興ビル」とした。所要資金は6億9,637万円であった。 |
建設中の船舶振興ビル
竣工した船舶振興ビル。左下は都電の軌道 |