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(昭和26年〜37年度上半期)
第2節 19条交付金の制定
1.臨時特例法の施行 
 モーターボート競走が急速に拡大していくなかにあって、最大の悩みは、売上が思うように伸びないことと、公営競技廃止の世論の台頭であった。財源不足を救う手段として施行されたモーターボート競走が、赤字のためにかえって財政の負担となるということは許されることではなかった。また一方では、運営者の不馴れ、選手の急増、戦後の荒廃したファンの心理状態などもあって、ちょっとした不手際から施設の破壊等の騒擾事件が発生、マスコミはこれを大々的に報道し、公営競技廃止論を展開した。
 このような状況のなかにあって、政府はシャウプ勧告により、昭和29年度から公営競技の国庫納付金制度を停止することとした。そしてそれに代わって同年6月、「自転車競技法等の臨時特例に関する法律」(臨時特例法)を、1年間の時限立法として施行した。
 この臨時特例法では、造船関連工業の振興が規定されるとともに、1回の開催で売上が6,000万円以上のとき最大その1.7%が連合会に納入されることになった。またこの法律に従って連合会が振興業務を実施することになったが、運輸大臣の計画と指示に従うことと、商工組合中央金庫(商工中金)に委託することが定められた。これによって連合会は、中小機械工業の設備の近代化、機械の生産技術の向上、機械輸出の増進、その他機械工業の振興を図るため、運輸大臣の定める計画および指示に従って、納入金を財源として、機械工業の振興に必要な融資のために銀行、その他の金融機関に対する資金の貸付をはじめ機械工業の振興を目的とする事業に対する補助金の交付を行うことになった。
 なお31年、振興業務の一つとして造船関連工業に対する「企業診断」が開始された。
 このようにして、ここで初めてモーターボート競走からの収益の一部を財源として機械工業の振興にあてることとなり、今日の振興業務制度の基となったのである。

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