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2.3 主なプラスチックの特性・用途
 主なプラスチックの特性及び用途は表2.3-1に示すとおりである。
 暮らしの中のさまざまな場面で活躍するプラスチック。利用目的に合わせてさまざまな種類のものが開発され、今や、私たちが清潔で快適で便利な生活を過ごす上で無くてはならないものとなっている。
 軽くて、電気絶縁性や耐水性、耐薬品性に優れ、機械的に強靭だが柔軟性をもったポリエチレン(PE)は包装材やラップフィルムなどとして広く用いられてきており、ガラスのような光沢があって、透明性が良く、衝撃にも強くて、ガスバリア性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)は飲料容器(ペットボトル)などとして広く用いられてきている。また、軽くて強く、さびたりもせず、耐薬品性にも優れ、腐食のおそれのないポリ塩化ビニル(PVC)は、従来の鉄製水道管に代わるものとして使われはじめ、今では住宅関連の設備・器具などとして広く用いられるようになってきている。
 
表2.3-1 主なプラスチックの特性と用途
(拡大画面:398KB)
 常用耐熱温度(℃)は、それぞれの樹脂の一般的な使用方法における耐熱温度を示すものです。汎用樹脂とエンプラ、熱硬化樹脂では意味合いが異なります(汎用樹脂は短時間耐える温度、エンプラ、熱硬化樹脂では長時間耐える温度とも言えます)。
 この表の表示は、目安のために標準的なグレードの物性を整理したものです。製品の設計などで物性が必要な場合は必ず製造業者などにご相談下さい。
出典)「プラスチックリサイクルの基礎知識2006」(社)プラスチック処理促進協会
 
3. 廃プラスチックの処理と資源化
3.1 廃プラスチックの発生状況
 現代の大量生産・大量消費型の社会経済システムは、自然界の限りある資源・エネルギーを浪費し、大量の廃棄物を生じさせてきた。その結果、石油や天然ガス等の一部のエネルギー資源については、早ければ、今世紀中にも枯渇するおそれがあるといわれている。一方、増え続ける廃棄物については、処分場残余容量の急速な減少により、各地で処分場寿命の短縮といった問題を引き起こしている。
 こうした中、我が国のプラスチック生産及び排出状況に目をやると、生産量は1997年の1,521万トン/年をピークに減少し、ここ数年は、年間1,400万トン前後で横ばいに推移している。一方、廃プラスチックの発生状況についてみると、一般系と産業系を合わせた廃プラスチック量は、1998年頃までは年々増加し続けるが、その後は年間1,000万トン前後で横ばいに推移してきている(図3.1-1)。
 
図3.1-1 プラスチックの生産量・排出量
■プラスチックの生産量・排出量
出典:(社)プラスチック処理促進協会
*1994年から推算方法を変更し、産業系廃プラスチックに未使用の生産ロス量、加工ロス量を新たに計上し加算した。
出典)「プラスチックリサイクルの基礎知識2006」(社)プラスチック処理促進協会
 
 廃プラスチックの分野別・樹脂別内訳は図3.1-2に示すとおりで、分野別では、使用済みの容器包装系プラスチックが最も多く、この分だけで全体のおよそ半分(46.8%)を占めている。このことは、図3.1-3に示されるとおり、一般家庭から排出される容器包装系プラスチックの多さに起因している。容器包装系プラスチックに次いで多いのが使用済み電気・機械系プラスチックの14.1%で、家庭用品他系プラスチックの12.4%がこれに続く。なお、生産・加エロスによる廃プラスチックは全体の8.9%を占めており、4番目に多くなっている。
 樹脂別には、容器包装材として多く用いられるポリエチレン(31.4%)、ポリプロピレン(21.4%)、が高い割合を占めている。
 
図3.1-2 廃プラ総排出量の分野別内訳
廃プラ総排出量(1,013万t)の内訳
(分野別内訳)
 
(樹脂別内訳)
出典)「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」(社)プラスチック処理促進協会
 
図3.1-3 一般廃棄物・産業廃棄物の分野別内訳
一般廃棄物(519万t)の分野別内訳
 
産業廃棄物(494万t)の分野別内訳
出典)「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況2005年12月発行」(社)プラスチック処理促進協会
 
 一般系、産業系合わせた廃プラスチックの総排出量はここ数年1,000万トン前後を横ばいで推移してきているが、有効利用量は年々増加しており、有効利用率は2000年に50%、2004年には60%に達している(表3.1-1)。
 2004年における廃プラスチックのリサイクル状況についてみると、一般系廃プラスチックでは、全排出量の44%がサーマルリサイクルされており、中でも、廃棄物発電用燃料としての利用が最も多い。しかしながら、全排出量の42%は今も未利用のまま焼却、埋立処分されている。一方、産業系廃プラスチックでは、全排出量の35%がサーマルリサイクル、同27%がマテリアルリサイクルされており、同38%が未利用のまま焼却、埋立処分されている。
 
表3.1-1 廃プラスチックの有効利用量と有効利用率の推移
1990 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
有効利用量 万トン 144 221 358 399 435 452 494 535 542 575 611
有効利用率 % 26 25 39 42 44 46 50 53 55 58 60
出典)「プラスチックリサイクルの基礎知識2006」(社)プラスチック処理促進協会
 
表3.1-2 廃プラスチックの処理・処分状況(2004年)
処理処分方法 一般系
廃プラスチック
(万トン)
産業系
廃プラスチック
(万トン)
比率
(%)
リサイクル利用 マテリアルリサイクル 46 135 -
ケミカル
リサイクル
油化/ガス化/高炉・コークス炉原料 28 2 -
サーマル
リサイクル
(エネルギー回収)
固形燃料 7 49 -
廃棄物発電 188 27 -
熱利用焼却 34 96 -
303 309 60
未利用 単純焼却 126 16 -
埋立 91 170 -
217 186 40
注:表3.1-1中の数値との不一致は四捨五入による。
出典)「プラスチックリサイクルの基礎知識2006」(社)プラスチック処理促進協会より作成


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