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会員紹介
Introduction
大阪府運輸倉庫協会 会長 中野正彦
 
平成14年11月
勲三等端宝章受章
 
辛口タッチで綴る中野会長の人物像
 今年の10月で満78歳。若く見えるし気持ちにも老け込みはない。柔和な表情で一見庶民派に写るが内実はどちらかというと合理主義者。大ト協の会長退任後もIRUの副会長を務め、年2回の渡航で海外にも豊かな人脈を築く。「欧米人は分かりやすい。白か黒か曖昧さがない。言葉や文化の違いは関係がない。Oh、NAKANOの世界が自分にはピッタリくる」。一昨年大病を患い肺の一部を切除したが見事にクリア。「もともと肺活量が多く、これで正常値になった」。屈託がなく物事にアクセクしない。「済んだことをあれこれ考えても仕方がない。要はこれからどうする」。大阪府貨物運送健保組合の理事長時代、職員が公金を持ち逃げした。役職員が手分けして捜していたところ深夜ミナミの繁華街で見つけた。役員が「理事長どうしましょう」。間髪いれず「警察だ」。決断も早い。「決断の遅さは業界団体トップとしては失格」が自論である。
 戦後目標を見失う。価値観の喪失である。精神世界をさ迷った末の結論が「自分のワク内、世界でベストを尽くす」。勉強に励み芸術や文化に親しみ、自身に磨きをかけ中身を濃くする。そこで出会ったのが絵画。自ら絵筆を取ることは少ないが造詣は深い。売れない画家を支援したこともある。
 大ト協の会長を退任してから早や5年。大ト協の現状と将来が今も気になる。表立った言動はないが明確な何かをもっている。時折ご一緒する酒席でその一端をつかんでみたいと思う。
安心して暮らせるまちづくりのために
地域における バス交通再生活性化調査
概要 (財)関西交通経済研究センター
主任研究員 中坊修英
1 はじめに
 本調査は、バス等の公共交通機関の利用促進及びバランスのとれた交通体系の確立並びに公共交通サービスの維持、充実の観点から、近畿各地で取り組まれている路線バス、コミュニティバス、乗合タクシー、デマンド交通等のバス事業のサービス全般についての活性化事例、再生事例を調査するとともに、関係者によるシンポジウムを開催し、その結果等も踏まえて、バスを活用したまちのにぎわいの創出、外出支援等、自治体の交通政策、事業の活性化策を探ることを目的に、財団法人大阪陸運協会及び近畿バス団体協議会からの支援を得て、近畿運輸局自動車交通部のご指導の下に実施したものである。また、調査を進めるに当たっては、「地域におけるバス交通再生・活性化調査検討会」を設置して、検討を行った。調査の概要は、以下のとおりである。
2 調査の内容と方向性
1 バス事業の実態把握調査
(1)既存事業者のニューサービス提供等による活性化事例把握
(2)自治体主導による新たなバスサービス等の実証実験の概要把握
(3)地域住民やNPO等が運行主体となっているバスの運行状況把握
(4)乗合バス事業における新規参入事業者の状況把握
 
2 バス交通再生・活性化に向けた課題と方策の整理
 前記調査及びシンポジウムの結果等をもとに、地域におけるバス交通再生・活性化に向けた課題と方策を整理する。
3 調査結果の概要
1 既存事業者のニューサービス提供等による活牲化事例調査
 近畿管内の乗合バス事業者(高速バス、リムジンバス等一部事業者を除く)68者を対象に、ニューサービス提供によるバス事業の活性化事例とその効果等についてアンケート調査を実施し、全ての事業者から回答を得た。
 分析に当たっては、都市型の事業展開とそうでない場合の利用促進策に対する傾向を把握するため、京阪神地区の都市部を中心にバス路線を展開していると思われる13事業者を「都市部」、それ以外の55事業者を「地方部」に分類して集約した。
 
(1)利用促進策の導入状況
 都市部については、何らかの利用促進策が必要との認識は強く、全事業者が何らかの利用促進策を導入しているのに対し、地方部においては、利用促進策の試行で期待する成果が出ない状況が目立つこともあって利用促進策を導入している事業者は少なく、導入に対する意欲も極めて低い。(表−1・2)
 
表−1 利用促進策の実施状況
実施の有無 都市部 地方部 合計
事業者数 実施率 事業者数 実施率 事業者数 実施率
実施している 13 100.0 41 74.5 54 79.4
実施していない 0 0.0 14 25.5 14 20.6
合計 13 100.0 55 100.0 68 100.0
 
表−2 利用促進策別の実施状況(複数回答)
利用促進策 都市部 地方部 合計
事業者数 実施率 事業者数 実施率 事業者数 実施率
100円バスなどの低運賃の導入 6 46.2 17 30.9 23 33.8
特殊定期券の導入 10 76.9 18 32.7 28 41.2
1日乗車券等特殊乗車券の導入 10 76.9 24 43.6 34 50.0
スルッと等電磁式カードの導入 12 92.3 17 30.9 29 42.6
PiTaPa等ICカードの導入 3 23.1 2 3.6 5 7.4
バスロケーション等運行情報の提供 9 69.2 10 18.2 19 27.9
 
 この点において、地方部のバス利用者市場に対する疲弊感が伺える。
 
(2)利用促進策の評価
 「人員不足、経費不足」を主な理由として、全事業者の80%が調査を実施していない実態がある。事業者側は、運転者等従業員の接客時に利用者の反応を把握した結果、利用者からは利用促進策のほとんどが好評を得ていると捉えている。
 個々の利用促進策ごとの評価を見ると、都市部及び通勤、通学者では、事業者間での相互利用、継続利用にメリットが生じるサービスの評価が高く、地方部及び主婦、高齢者では、一回ごとの利用でメリットが実感できるサービスの評価が高い。(表−5〜7)
 
表−3 利用促進策に対する利用者評価調査実施の有無
調査実施の有無 都市部 地方部 合計
事業者数 構成比率 事業者数 構成比率 事業者数 構成比率
実施した 5 38.5 6 14.6 11 20.4
何も実施していない 8 61.5 35 85.4 43 79.6
合計 13 100.0 41 100.0 54 100.0
 
表−4 利用促進策に対する利用者の評価(施策全体)
利用者の評価 都市部 地方部 合計
件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比
大変好評 30 49.2 19 19.2 49 30.6
まあまあ好評 23 37.7 60 60.6 83 51.9
不評 0 0.0 1 1.0 1 0.6
無関心 3 4.9 9 9.1 12 7.5
その他 5 8.2 10 10.1 15 9.4
合計 61 100.0 99 100.0 160 100.0
 
表−5 利用促進策別利用者の評価
利用者の評価

利用促進策
大変好評 まあまあ好評 不評 無関心 その他 合計
都市部 地方部 都市部 地方部 都市部 地方部 都市部 地方部 都市部 地方部 都市部 地方部
100円バス 件数 3 5 3 12 0 0 0 0 0 0 6 17
構成比 50.0 29.4 50.0 70.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 100.0
特殊定期券 件数 4 3 3 11 0 0 1 3 (2) 0 (1) 0 10 18
構成比 40.0 16.7 30.0 61.1 0.0 0.0 10.0 16.7 20.0 5.6 100.0 100.0
特殊乗車券 件数 5 4 3 17 0 1 1 2 (1) 0 0 10 24
構成比 50.0 16.7 30.0 70.8 0.0 4.2 10.0 8.3 10.0 0.0 100.0 100.0
電磁式カード 件数 5 3 6 12 0 0 0 0 (1) 0 (2) 0 12 17
構成比 41.7 17.6 50.0 70.6 0.0 0.0 0.0 0.0 8.3 11.8 100.0 100.0
ICカード 件数 1 0 2 2 0 0 0 0 0 0 3 2
構成比 33.3 0.0 66.7 100.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 100.0
バスロケーション 件数 5 1 3 1 0 0 1 1 0 (3) 4 9 10
構成比 55.6 10.0 33.3 10.0 0.0 0.0 11.1 10.0 0.0 70.0 100.0 100.0
その他 件数 7 3 3 5 0 0 0 3 (1) 0 0 11 11
構成比 63.6 27.3 27.3 45.5 0.0 0.0 0.0 27.3 9.1 0.0 100.0 100.0
小計 件数 30 19 23 60 0 1 3 9 5 10 61 99
構成比 49.2 19.2 37.7 60.6 0.0 1.0 4.9 9.1 8.2 10.1 100.0 100.0
合計 件数 49 83 1 12 15 100
構成比 30.6 51.9 0.6 7.5 9.4 100.0
 
表−6 利用者階層別利用促進策(第1位)《都市部》
利用促進策 合計 会社員 学生 主婦 高齢者
順位 件数 構成比 順位 件数 構成比 順位 件数 構成比 順位 件数 構成比 順位 件数 構成比
電磁式カード 1 14 26.9 1 5 38.5 2 4 30.8 2 3 23.1 2 2 15.4
特殊定期券 2 9 17.3 2 3 23.1 1 5 38.5 8 0 0.0 4 1 7.7
100円バス 3 5 9.6 6 0 0.0 6 0 0.0 3 1 7.7 1 4 30.8
特殊乗車券 3 5 9.6 6 0 0.0 6 0 0.0 1 4 30.8 4 1 7.7
わからない 3 5 9.6 4 1 7.7 3 1 7.7 3 1 7.7 2 2 15.4
バスロケーション 6 4 7.7 4 1 7.7 3 1 7.7 3 1 7.7 4 1 7.7
ICカード 7 3 5.8 3 2 15.4 6 0 0.0 3 1 7.7 8 0 0.0
その他 7 3 5.8 6 0 0.0 3 1 7.7 3 1 7.7 4 1 7.7
特にない 9 0 0.0 6 0 0.0 6 0 0.0 8 0 0.0 8 0 0.0
無回答 - 4 7.7 - 1 7.7 - 1 7.7 - 1 7.7 - 1 7.7
合計 - 52 100.0 - 13 100.0 - 13 100.0 - 13 100.0 - 13 100.0
 
表−7 利用者階層別利用促進策(第1位)《地方部》
利用促進策 合計 会社員 学生 主婦 高齢者
順位 件数 構成比 順位 件数 構成比 順位 件数 構成比 順位 件数 構成比 順位 件数 構成比
電磁式カード 1 31 14.1 1 10 18.2 1 9 16.4 2 7 12.7 3 5 9.1
100円バス 2 27 12.3 2 6 10.9 4 4 7.3 2 7 12.7 1 10 18.2
特殊乗車券 2 27 12.3 4 4 7.3 2 7 12.7 1 8 14.5 2 8 14.5
バスロケーション 4 13 5.9 2 6 10.9 4 4 7.3 5 2 3.6 6 1 1.8
特殊定期券 5 12 5.5 8 1 1.8 3 6 10.9 9 0 0.0 3 5 9.1
特にない 5 12 5.5 4 4 7.3 6 2 3.6 4 3 5.5 5 3 5.5
わからない 7 7 3.2 6 2 3.6 6 2 3.6 5 2 3.6 6 1 1.8
ICカード 8 3 1.4 6 2 3.6 9 0 0.0 7 1 1.8 9 0 0.0
その他 8 3 1.4 9 0 0.0 8 1 1.8 7 1 1.8 6 1 1.8
無回答 - 85 38.6 - 20 36.4 - 20 36.4 - 24 43.6 - 21 38.2
合計 8 220 100.0 - 55 100.0 - 55 100.0 - 55 100.0 - 55 100.0
 
(3)今後の導入・拡大意欲
 今後有望視される利用促進施策としては、ほとんどの事業者が「特にない」と回答しており、各事業者とも有効策が見いだせないジレンマが強いものの、ICカードには一定の期待感を寄せている。(表−8)
 
表−8 今後の事業活性化に最も有効な利用促進策
利用促進策 合計 都市部 地方部
順位 事業者数 構成比 順位 事業者数 構成比 順位 事業者数 構成比
特にない 1 15 27.8 1 3 23.1 1 12 29.3
PiTaPa等ICカードの導入 2 10 18.5 1 3 23.1 2 7 17.1
1日乗車券等特殊乗車券の導入 3 8 14.8 5 1 7.7 2 7 17.1
バスロケーション等運行情報の提供 4 7 13.0 5 1 7.7 4 6 14.6
100円バスなどの低運賃の導入 5 6 11.1 5 1 7.7 5 5 12.2
特殊定期券の導入 6 4 7.4 3 2 15.4 6 2 4.9
スルッと等電磁式カードの導入 7 4 7.4 3 2 15.4 6 2 4.9
その他 8 0 0.0 8 0 0.0 8 0 0.0
合計 - 54 38.9 - 13 46.2 - 41 36.6
 
 様々な利用促進策が及ぼす事業運営上の成果については、急激な利用者減少傾向を鈍化させる一定の効果はあるという評価のもとに、都市部では、拡大意欲が高いものの、地方部では、実施済み事業者においても現状維持が多くを占め、消極的な姿勢が目立つ。とりわけ、地方部の未実施事業者においては、半数以上の事業者が利用促進策を導入しようとする意欲を示していない。(表−9)
 
表−9 利用促進策別今後の方針
今後の方針

利用促進策
拡充の方向 現状で維持 縮小・廃止の方向 特に方針はない その他 合計
都市部 地方部 都市部 地方部 都市部 地方部 都市部 地方部 都市部 地方部 都市部 地方部
100円バス 件数 0 1 4 14 0 0 1 2 1 0 6 17
構成比 0.0 5.9 66.7 82.4 0.0 0.0 16.7 11.8 16.7 0.0 100.0 100.0
特殊定期券 件数 3 1 5 16 0 0 0 0 (2) 0 (1) 0 10 18
構成比 30.0 5.6 50.0 88.9 0.0 0.0 0.0 0.0 20.0 5.6 100.0 100.0
特殊乗車券 件数 0 2 9 20 0 1 1 1 0 0 10 24
構成比 0.0 8.3 90.0 83.3 0.0 4.2 10.0 4.2 0.0 0.0 100.0 100.0
電磁式カード 件数 1 2 9 11 0 1 2 2 0 (1) 0 12 17
構成比 8.3 11.8 75.0 64.7 0.0 5.9 16.7 11.8 0.0 5.9 100.0 100.0
ICカード 件数 3 2 0 0 0 0 0 0 0 0 3 2
構成比 100.0 100.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 100.0
バスロケーション 件数 6 2 2 4 0 0 1 2 0 (2) 0 9 10
構成比 66.7 20.0 22.2 40.0 0.0 0.0 11.1 20.0 0.0 20.0 100.0 100.0
その他 件数 0 2 10 7 0 0 1 2 0 0 11 11
構成比 0.0 18.2 90.9 63.6 0.0 0.0 9.1 18.2 0.0 0.0 100.0 100.0
小計 件数 13 12 39 72 0 2 6 9 3 4 61 99
構成比 21.3 12.1 63.9 72.7 0.0 2.0 9.8 9.1 4.9 4.0 100.0 100.0
合計 件数 25 111 2 15 7 160
構成比 15.6 69.4 1.3 9.4 4.4 100.0
*今後の方針の「その他」欄の( )内は無回答で外数


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