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IV 「PSC検査官ネットワーク」タイ編
現地日程表
項目 場所
2007年1月18日(木) 移動(東京〜バンコク)
2006年1月19日(金) バンコク及び近隣のPSC検査官とネットワーク構築事業に関するミーティング(出席者名簿は別紙3) タイ国海事局(在バンコク)
PSC検査官との懇親会
2006年1月20日(土) ミーティング内容のまとめ等 アルノーマホテル
2006年1月21日(日) 移動(バンコク〜ブルネイ、バンダルスリブガワン)
 
(国内作業)
1. 名簿の作成
 各国のPSC検査官のデータベースを整備するために、まず、タイ人PSC検査官で、過去12年間に亘る東京エムオウユウのPSC検査官研修プログラムを受講したことのある者の名簿を作成し、完成名簿のひな型とした。
 
 同時に、事務局を提供している国として、日本の現PSC検査官の名簿も作成、提出した(巻末別表1参照)。
 
(海外作業)
2. ネットワーク構築調査
(1)ネットワーク構築に当たり、まず東京エムオウユウの過去の研修プログラム受講者に中心的存在になってもらおうと、過去の研修プログラム受講者への事業概要の説明、打ち合わせのために、下記の日程でタイ王国バンコクを訪問した。合わせて、研修受講者の現在の状況、実質的な研修の成果、研修後の定着状況等を聴取した。
 
(2)日程概要
1)平成19年1月19日(金)終日、タイ海事局において、バンコク及び近隣PSC検査官とのネットワーク構築事業に関するミーティング及び意見交換等を行なった。PSC現場で直面している問題等について説明も受けた。その夜、事が夕食会を催し、関係者との情報交換並びに懇親の場を持った。
2)20日(土)午前中ホテルにて、PSC官のリストの作成等前日のミーティング内を、首席PSC官Thongchai Pogwichai氏らととも再確認した。
 
(3)現地派遣者
寧 正  財団法人 東京エムオウユウ事務局 企画課長
秋元 文子  財団法人 東京エムオウユウ事務局 業務課長
小久保 佐恵喜 国土交通省 海事局 総務課 外国船舶監督業務調整室 専門官
 
.1 趣旨説明
 事務局が、以下の説明を行った。
.1.1 本事業は、日本財団助成事業として、過去12年間に「基礎研修コース」及び「フェローシップトレーニング」を受講した各国のPSC検査官延べ約430名(内タイからの受講者は延べ35名)の人脈を実際のPSCに有効的に活用するため、ネットワークを作るための事業であることを説明するとともに、受講者がネットワークの中心となって機能することを希望する。
 
.1.2 「基礎研修コース」及び「フェローシップトレーニング」の他に、バンコクには1998年と2004年の過去2回に亘り、東京エムオウユウの費用でニーズに応じた専門家を派遣(Expert Mission)し、延べ67名が受講した。
 
.1.3 具体的なネットワークの活用法として、前寄港地で指摘された欠陥を、次港で是正する必要が生じた場合、次港への通報を、補完するために使用することなどが期待される。
 
.1.4 上記目的のため、PSC検査官名簿の作成が重要である。
 
.1.5 ネットワーク構築の基幹となっている、「東京エムオウユウの研修プログラム」について、事務局業務課長がプレゼンテーションを行なった。
 
.2 ネットワーク構築事業に対するタイ側の対応
.2.1 東京エムオウユウ設立以来、タイのPSC官が検査官研修プログラムで積極的に学ぶ機会を与えられており、支援を行っている日本財団、国土交通省海事局及び事務局に感謝するとともに、ネットワーク構築への理解を示し、構築に協力を惜しまない旨との発言があった。
 
.2.2 事務局がひな型として作成したタイ人PSC検査官名簿に基づき、全PSC検査官を網羅した、本年1月現在の地域(港)別PSC検査官の名簿が提出された。これは、研修受講時から所属先の異動があった者に対しては現在の所属先に変更し、また東京エムオウユウのPSC検査官研修プログラムを受講していない検査官を加え、タイ国全域のPSC検査官を網羅する最新のものである。
 
.2.3 タイ国PSC検査官名簿の作成、更新を含めたネットワークの責任者として、首席PSC官Thongchai Pogwichai氏が指名された。
 
.2.4 引き続きタイ側から、自国におけるPSC官の配置及び相互のネットワークについてプレゼンテーションが行なわれた。その中で、全国15箇所に配置されている検査官は全員東京エムオウユウの研修の受講者との説明があり、その受講履歴とともに氏名が紹介された。
 
.2.5 タイ側のプレゼンテーションによれば、専任PSC官はバンコクにしか配置されておらず、しかもその数は3人と非常に限られているとの説明があった。更に、他の地域では、1名ずつ配置されているが、皆旗国籍船検査官を兼任している旨との報告があった。
 
.3 ネットワーク構築に関わるその他の情報
.3.1 各国のPSC検査官が実際に他国のPSC官と連絡を取り合い、ネットワークを構築し、サブスタンダード船の欠陥の是正を求める必要を促すため、「東京エムオウユウの活動」について、事務局企画課長がプレゼンテーションを行った。
 
.3.2 次に、事務局のホスト国として、国土交通省外国船舶監督業務調整室専門官から、日本のPSCの実績並びにPSC官の配置等についてのプレゼンテーションが行なわれた。タイの海事局では、日本のPSCはモデルとして認識されており、皆熱心に聞き入っていた。
 
.4 タイのPSC体制の現状報告
.4.1 海事局内では最近組織改正があり、PSC専門の部署ができたばかりある。PSC官の内部研修の充実や増員を要求しているが、タイの海事局の上層部の一部は、まだPSC重要性の認識が不十分であるとの意見があった。また、PSC官は兼任職でなく、専門職であるべきとの意見もあった。
 
.4.2 以上のような現状を鑑み、引き続き事務局からの援助を期待したいとの要望があった。具体的には、東京エムオウユウの初級PSC官研修(Basic Training Course)のタイからの参加人数の枠を増やして欲しいとの要請があった。
 
.4.3 これに対して事務局から、初級研修への招へい者は10名と限られているのでタイからの枠を増やすのは不可能であるが、要請があれば、.1.2 で述べたような専門家の派遣(Expert Mission)を検討する意図があることを表明した。
 
.4.4 上記の事務局の説明に対し、タイ側からは、近々に内部の要求をまとめ、事務局に正式に依頼する可能性を示唆した。
 
.5 現状への取り組み
.5.1 事務局から、タイにはEメールが届かない、届いたとしても返信が来ない、ファックスがつながりにくい等、タイムリーな情報の伝達の妨げになっている場合もあるとの認識を伝えた。
 
.5.2 これに対し、.4.1 で述べられた組織改正に伴い、ある一定の役職以上の者はEメールアドレスを持つようにするなど前向きに取り組んでおり、5.1 の問題は解決の方向にある、との報告があった。
 
.5.3 タイでは政府を挙げて、KPI(Keep Performance Index)という、各自が目標値(target performance index)を掲げ、成果を上司などの第三者が評価する制度を採用し始め、これがPSCの活性化にもつながるとの期待を持っているとのことであった。
 
3. とりまとめ作業
 国内作業1. を元に、2. の海外作業で得られた情報、意見を勘案して、具体的な成果として次のリストを作成した。(○印はネットワーク責任者)
 
■タイPSC関係者名簿(巻末別表4)


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