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福谷 則枝(ふくたにのりえ)
(昭20.2.23生)鳥取県倉吉市
 
 親が犯罪を犯して収監された2児を引き取り育て上げたことを契機に、里親として18年間に8人の子供を養育し、被虐待児と高齢の障害者を引き取って世話をするかたわら里親会の要職にあって里親制度の充実に尽されている。
推薦者:日置 久枝
 
Ms. Norie Fukutani (born February 23, 1945) Kurayoshi City, Tottori Prefecture
 
 Beginning with her experience of raising two children whose parents were imprisoned for committing crimes, Ms. Fukutani came to raise eight children as a foster parent over a period of 18 years. While taking on the care of abused children and elderly people with disabilities, she has contributed to the improvement of the foster parent system at a key post in foster parent associations.
Recommended by: Ms. Hisae Hioki
 
 1980年、当時片親は里親になれなかった。その後、法改正で片親も里親に認められることとなり、1989年福谷さんは養育里親に登録され、現在までに8人の子供を養育、成人させた。現在里親歴18年。養育歴は通算28年になる。
 2003年、新設の虐待児を預る専門里親に認定され、現在、養父の暴力を受けていた小学4年の男児と養育放棄で不登校の14歳の女児の2人を預っている。更に、知的障害者施設に53年の76歳の男性と50年の64歳の女性の、「死ぬまでに家と言う所で暮らしてみたい」との切なる思いを遂げさせてあげたいと、2人を自宅に引き取り世話をしている。他人ばかりの5人家族の生活。お爺ちゃん、お婆ちゃんが居て、孫が居て、面倒見たり見られたり、近所に嫁いだ里子も彼女の大きな支えになっている。
 福谷さんは、通所授産施設「げんき工房」とデイサービス「げんき」を運営する社会福祉法人「トマトの会」の理事長として高齢者・障害者福祉の向上に努め、地域のボランティア活動にも積極的に参加され、また農業体験などを通して養護施設の子供達や虐待児等の心のケアに力を注ぎ、さらに鳥取県里親会副会長、中部里親会会長、鳥取県里子委託推進委員会会長として里親制度の充実に尽力されている。
 
 
受賞の言葉
 私は里親として、18年間に8人の子ども達と過ごしてきました。主人を亡くし生きる希望を失いかけていた私を子ども達が母として慕ってくれて光を、そして沢山の幸せをもらいました。
 受賞にあたり私を支えてくれた母や中学生の時の担任の先生、そして多くの地域の方々にお礼を申し上げます。これからも私の役割があるかぎり、元気に自然体で子ども達とかかわっていけたらとの思いでいっぱいです。
 
里子たちとりんご狩り
 
 
打吹童子
余り布で制作
 
通所授産施設「げんき工房」
 
青方 美惠子(あおかた みえこ)
(昭20.1.24生)神奈川県横浜市
 
 30年以上にわたり障害児や非行児とその親を支援し、問題を抱えた子供・親・学校・地域間の話し合いに中立の立場で同行または代わって話し合いを行いより良い解決を図る『リエゾン』活動を続けている。
推薦者:村上 久子
 
Ms. Mieko Aokata (born January 24, 1945) Yokohama City, Kanagawa Prefecture
 
 For over 30 years, Ms. Aokata has helped handicapped or delinquent children and their parents. In both accompanying and representative capacities, she has continued to serve as a "liaison" in discussions among children with problems, parents, schools, and communities from a neutral standpoint to find useful solutions.
Recommended by: Ms. Hisako Murakami
 
 30年程前に周辺で子供に問題を抱え困っている母親にカウンセラーの目で悩みを聞き、子どもを預かるなどの手助けをしていたことが活動のきっかけとなった。当時はまだ養護学校卒業後の障害児の行政による受け皿や発達障害児のための訓練施設などはなかった。青方さんは無償で相談に応じ、経費は自分が負担して自宅や教会・支援者宅等で相談を受け、障害者の療育訓練と自立支援、家族支援活動等を行った。一方、行政に働きかけて徐々に行政から場所や機材などの助成を受けられるようになった。その活動の一部は現在『重症心身障害児施設・小さき花の園』のデイケアサービスに引き継がれている。
 2004年10月には、NPO法人「くじらぐも」を設立。くじらぐもでは、障害児と健常児の混合療育訓練、不登校児などへのカウンセリングやその家族のサポート、講演会、親塾などの事業を行っている。事業の一つとして、問題を持つ当事者(子どもとその親や学校)同士が直接話し合うことでは円満な解決が難しい場合に、中立の立場で話を聞き、考えや感情の行き違いや隔たりを無くし、双方が最も良い方法で解決できるよう支援する「リエゾン」と名付けた活動に力を入れている。リエゾンの相談1件の問題解決に1年以上かかることも珍しくない。
 また、軽度発達障害児は、障害がありながら見た目が健常者と変わらないため、親が相談所に行っても理解されないことも多い。どうしたらよいかわからず悩み、子どもの障害を受け入れられるまで何年もかかる。不安で深夜に電話をかけてくることも多い。青方さんは、そんな電話こそ大事に応対しているという。そして障害者として生きる一番良い道を親と一緒に探し、親自身のケアも行っている。平成17年度にリエゾンを含め対応した児童は延べ3,000人以上、相談は電話、メールを合わせると700件以上に上る。青方さんは「大変だと思うことはあるが嫌だと思ったことはない。待っている人がいると思うと有難い気持が出てがんばれる。」と地道に活動を続けている。
 
 
受賞の言葉
 この度の選考で、未だ社会に馴染みの薄い「リエゾン活動」に注目頂きました事は何にも増して嬉しく感謝申し上げております。様々な価値感の交錯する今、世代や立場の異なる親子と学校の話し合いの難しさは想像を超えたものがあります。一人でも多くの子供と大人の心をつなぎたいと願いつつも関わる問題の深刻さ故に開示し辛く、この支援のある事すらほとんど知られていませんでした。そんな中での三十余年。どれ程大きな励ましを頂戴した事か知れません。本当に有難う存じます。一層の努力を致す所存でございます。
 
 
混合療育訓練の様子
 
混合療育訓練の様子
 
積み木ワークショップ
 


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