日本財団 図書館


(4)処理の役割
a)関係者の役割分担
 家電リサイクルでは、排出者、小売業者および製造業者等にそれぞれ費用負担、引取、再商品化等(リサイクル)の役割が義務付けられている。
 消費者(排出者)は使用済みの家電4品目を小売業者に引き渡し、収集・運搬と再商品化等に関する料金(リサイクル料金)を支払う。小売業者は対象機器の廃棄物を消費者から引き取り、その対象機器の製造業者等に引き渡す。引き渡しの際には、製造業者等が指定する指定引取場所において引き渡すこととする。製造業者等は自らが製造・輸入した対象機器の廃棄物を引き取り、一定基準以上の再商品化等を行う。なお、義務外品の廃家電の回収については、小売業者に代わり市町村が引き取りを行っている。
 
図2-8 家電リサイクルに関する関係主体の役割
資料)経済産業省「家電リサイクル法ガイドブック」
 
表2-4 家電リサイクル料金
品目 リサイクル料金
エアコン 3,675円
テレビ 2,835円
冷蔵庫・冷凍庫 4,830円
洗濯機 2,520円
資料)経済産業省「家電リサイクル法ガイドブック」より三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成
 
b)管理票(家電リサイクル券)制度
 排出者から引き取った特定家庭用機器廃棄物が、小売業者から製造業者等に適切に引き渡されることを確保するために管理票(家電リサイクル券)制度が設けられている。
 廃家電の製造業者等(家電メーカー等)への引き渡しを確実にするため、小売業者(家電小売店)は廃家電それぞれに管理票(家電リサイクル券)を発行する。排出者は小売業者へ廃家電を引き渡し、リサイクル料金を支払う際には、小売業者から管理票(家電リサイクル券)の写しを受け取る。これにより、排出者はインターネットか電話でリサイクル状況を確認することができる。
 
 家電リサイクル法は附則において、施行してから5年後に見直しを行うこととされている。2006年6月27日に中央環境審議会(環境省)および産業構造審議会(経済産業省)の合同部会が開催され、家電リサイクル制度の見直しに向けた議論が開始された。
 今回の見直しでは、リサイクル料金の支払い方式の変更(廃棄時から購入時へ支払時期の変更)や対象品目の拡大(液晶やプラズマの薄型テレビなどを追加)などが主要議題となっている。
 
(3)食品リサイクル
(1)法制度および背景
 2001年5月に施行された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)に基づき、食品リサイクルは実施されている。
 食品の売れ残りや食べ残しにより、又は食品の製造過程において食品廃棄物が大量に発生している。
 このような背景を受けて、発生抑制と減量化により最終的に処分される量を減少させるとともに、飼料や肥料等の原材料として再生利用するため、本制度が定められた。
 
(2)対象
 対象となる食品循環資源は、飼料や肥料等の原材料となる有用なものであり、飼料・肥料・油脂および油脂製品・メタンとして再生利用される。
 
(3)処理のしくみ
 食品の製造、流通、消費の各段階で生ずる、動植物性残さ・売れ残り等の食品廃棄物を、肥飼料化等を行う再生利用事業者が再利用して、堆肥等の肥料や家畜等の飼料とし、自らあるいは農林漁業者が活用する。
 
図2-9 食品リサイクル促進の概要
資料)環境省ホームページ
 
 本制度は、国において食品廃棄物の排出削減の数値目標および再生利用等の方策からなる基本方針を作成し、それをもとに、食品関連事業者(製造、流通、外食等)に対し、食品廃棄物の発生抑制や減量、再生利用の基準を定め、指導や助言を行う。また、取組が著しく不十分な大規模事業者に対しては、勧告、公表、命令を行う。
 また、食品循環資源の肥飼料化等を行う事業者に対して、廃棄物処理法の特例(荷卸しに係る一般廃棄物の収集運搬業の許可不要)、肥料取締法・飼料安全法の特例(農林水産大臣への届出不要)を適用させ、再生利用を図る。
 
図2-10 食品リサイクル制度の概要
資料)環境省ホームページ
 
(4)処理の役割
 食品廃棄物の主な排出者となる食品関連事業者は、食品製造業、流通業、販売業、外食産業等を対象としている。このうち、勧告・公表・命令の対象となる事業者は、食品廃棄物等の年間発生量が100トンを超える事業者である。
 再生利用事業者は、食品循環資源の肥飼料化等の製造を業として行う者であり、事前に農林水産省、環境省、経済産業省の各地方部局で登録を行う。2007年2月現在、九州では7者(福岡県1、佐賀県2、長崎県1、熊本県3)が登録している。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION