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(5)廃棄物・リサイクル財の効率的な輸送に向けた取り組み
a)島民や事業者による取り組み
 玄海諸島からの廃棄物やリサイクル財の輸送(海上輸送、陸送含む)の効率化に向けて島民や事業者が取り組むことが有効と考えられるものとして、「新製品購入時の廃家電回収サービスを促進する」が5件で最も多く、次いで「廃家電の回収日を設定する」、「他の廃棄物・リサイクル財などと共同輸送を行う」が各3件となっている。
 
図5-5-12  効率的な輸送に向けた島民や事業者の取り組み(複数回答、N=8)
 
b)行政による取り組み
 玄海諸島からの廃棄物やリサイクル財の輸送の効率化に向けて行政が取り組むことが有効と考えられるものとしては、「海上輸送運賃への助成(離島支援対策事業の拡大)」や「島民の廃棄物処理やリサイクルに対する理解の促進支援」が6〜7件で最も多く、次いで「資源ゴミの分別回収の促進」が2件となっている。
 
図5-5-13  効率的な輸送に向けた行政の取り組み
(複数回答、N=9)
 
(6)今後の方向性等について
a)廃家電4品目の今後の排出量見込み
 廃家電4品目の今後の排出量の見込みについては、「変わらない」が4件で最も多く、次いで「増加する」が3件である。
 
図5-5-14  廃家電4品目の今後の排出量の見込み
(単数回答、N=8)
 
b)廃家電4品目以外の今後の排出量見込み
 廃家電4品目以外の今後の排出量の見込みについては、廃家電4品目と同様に「変わらない」が5件で最も多く、次いで「増加する」が4件である。増加が見込まれる品目としては、小物家電や電子レンジ、除湿器(ガス含むタイプ)などがあげられている。
 
図5-5-15  廃家電4品目以外の今後の排出量の見込み(単数回答、N=10)
 
(4)FRP船リサイクル関連事業者(登録販売店)
(1)玄海諸島における廃船処理の現状
 玄海諸島では、漁船を所有する世帯が300以上ある。木造船はほとんど無く、すでにFRP船が大半と見込まれる。廃船となるまで放置するケースは少なく、新船購入時に、中古船として下取りしてもらうケースが一般的である。しかし、漁師の高齢化が進む中で後継者がいない漁家では漁船を買い換えずに廃船処理するケースも出てくると想定される。
 
<ヒアリング意見>
○玄海諸島における船舶所有状況
・玄海諸島で所有されている漁船規模は最大で40ft(12m前後の全長)だろう。
・木造船はほとんどない。
・何隻か中古船を販売したことがある。その際は、工事はすべて本土側で行い、本土引き渡しで、お客様が自航で持ち帰った。
・以前は10年程度で買い換えをしていたが、現在は15〜20年程度での買い換えが多い。だいたい、その間に2回程度エンジンを交換する。エンジン交換の際には、自航して本土まで持ち込み、7〜10日程度業者に預ける。エンジンやオイル、エレメント等の交換は島で自分では行わない。業者に処理委託することになる。
 
○玄海諸島における廃船処理状況
新船購入時に古い船は下取りに出すのが一般的である。ほとんどの船舶は廃船にするのではなく、何とかして買い手を見つけるのが常である。当社としても、中古船の転売を薦める。ただ、20〜25年を経た船は中古船としても価値が無いので下取りできない。このため、廃船処理を薦める。
・廃船処理する際は、造船所に持っていっているようである。
・当社は産業廃棄物処理業の許可は取得してないので、廃船処理は対応できない。船舶あるいは部品の状態で産業廃棄物処理業者(最終処分業)に委託することになる。
 
表5-5-14 玄海諸島における登録漁船数(参考)
登録漁船数
高島 57
神集島 98
小川島 114
加唐島 56
松島 18
馬渡島 124
向島 47
資料)「H17年港勢調査」
 
(2)FRP船リサイクルの取り組み状況および現状の問題点
 唐津市の登録販売店ではFRP船リサイクルの取扱実績はない。(2006年12月現在)
 これは、そもそもFRP船リサイクルシステムが船舶所有者(排出者)に浸透していない点が背景としてあるが、受け入れ事業者側でも、輸送能力や保管スペースの欠如、対応可能な人員配置が不十分なため、積極的な受け入れ体制が構築できていない点も課題となっている。
 
<ヒアリング意見>
○FRP船取扱状況
・当社は登録販売店として登録しているが、今のところ取扱実績は無い。
・当社で受けた廃船は、北九州または熊本の指定引き取り場所(産廃処理業者)に引き渡す必要があり、輸送料が発生する。(当社で持ち込みか、引き取りかは未定)
 
○リサイクルシステムの認知度が低い
・客にリサイクルシステムが浸透していない。
 
○輸送費・処理費・手数料等のコスト負担が発生
・当社で廃船の収集運搬業務ができていない。当社で自社のトラックなどを有しておらず、ごく小さい船しか運べないため、技術的に対応が難しい。トラックで輸送困難な大きさになると業者委託が必要であり、その分運搬料が発生する。また、陸揚げ用のクレーン費用も必要である。
処理は業者委託しなければならず、費用面で折り合いが付かない。
・リサイクルを受ける場合は、人員なども必要となり、手数料も相応をいただく。廃船をリサイクル処理する場合、船舶をそのまま業者に処理に出すわけではない。エンジンオイルや水、電気機器、バッテリーなどを取り除き、船体の汚れを落とす前処理をする必要がある。その手間の手数料が必要となる。
 
○保管スペースの不足
・事業所内に廃船を一時保管できるスペースが不足している。当社で受ける場合、まずは廃船を一時保管するスペースが必要である。人員を含め、日常業務とするならば、相応の準備が必要となる。
 
(3)今後の方向性
 FRP船リサイクルを促進させていくためには、漁協やメーカーと販売店とが連携して、島民への普及啓発を行っていくことが有効であるとされている。同時に、日常的にFRP船リサイクルを受け入れる体制を処理関連事業者が整えることが必要とされている。
 
<ヒアリング意見>
○漁協やメーカーとの連携が必要
・廃船リサイクルシステムが島民に浸透する必要がある。浸透にあたっては、漁協にもう少し積極的に関わってほしい。当社と漁協との関係では、現在当社で行っている無償巡回点検サービスに漁協に協力してもらうことがある。漁協や漁連、メーカーが連携して一体的に取り組めると良い。
・リサイクルする廃船が増えてくれば、システムを運用できるようになる。
・造船所との連携は今のところはまだ考えにくい。


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