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「障害のある人たちの住まい・暮らしの場」について調査研究
平成18年度 報告書(2)
社団法人 全国肢体不自由児・者父母の会連合会
 
はじめに
 障害者自立支援法の施行により、障害のある人たちの「住まい・暮らしの場」について、「障害福祉サービス体系」が再編されます。
 この改革によって、障害者の暮らしは良くなるのでしょうか。そして、課題である「地域移行」は進むのでしょうか。
 全肢連では、これまで「肢体不自由者に対するグループホーム制度整備のための調査研究」を通し提言を行い、障害者が地域で暮らすための生活の場をどこに求めるか広く討議してまいりました。
 そのような実績を踏まえ、地域移行は進むのか、障害者の暮らしは良くなったのか。そのような視点から、「住まい・生活の場」について、現場の生活実態と支援実態を踏まえて検証することを目的として調査研究事業を実施しました。
 
 なお、本事業の実施については、日本財団からの助成金交付を受け実施したことを報告するとともに、御礼を申し上げます。
 
社団法人 全国肢体不自由児・者父母の会連合会
 
第I章 新たな施設体系について
1. グループホーム・ケアホームの事業運営
【グループホーム・ケアホームの事業運営のポイント】
(1)個々の住居ではなく、一定の範囲に所在する住居全体を事業者として指定
 
(2)世話人は、全体の利用者数に対し、配置。これまで、利用者数にかかわらず1人配置とされている仕組みを改め、10人又は6人につき1人以上の水準を確保。
 
(3)サービス管理責任者は、全体の利用者数に対し、30人つき1人以上の水準で配置。
 
(4)生活支援員は、全体の利用者数に対し、利用者ごとに障害程度区分に応じて配置。
 
(5)夜間の適切な支援体制を確保。
(専任職員の配置等の条件に該当する場合には報酬上別に評価)
 
(6)1住居の最低利用人員は2人以上。
 
2. グループホーム・ケアホームの見直しのポイント
グループホーム・ケアホームの見直しのポイント
 
(1)入院・外泊時における支援の評価
入院時支援加算・帰宅時支援加算
〈入院時支援加算〉
 入院により本体報酬が算定できない日数が、3〜6日の場合は561単位が、7日以上の場合は1,122単位が加算される。
 家族等の支援を受けることが困難で、グループホーム、ケアホームの職員が家族に代わって入院期間中の支援を行う必要があり、本人や保護者の同意のもと、個別支援計画に基づき、入院期間中、入院先を訪問し、入院先との調整、被服等の準備その他の支援を行ったときは、入院時支援加算を算定(月1回算定)
 
〈帰宅時支援加算〉
 個別支援計画に基づく帰省の支援を評価する帰宅時支援加算は、帰省により本体報酬が算定できない日数が3〜6日の場合は187単位が、7日以上の場合は374単位が1ヶ月に1回加算される。
Q: 共同生活援助や共同生活介護を利用中の物が帰省中に居宅介護を利用することは可能か?
A: 帰省により本体報酬が算定できない日数(月2日まで)に加え、月3回目以降の帰宅時支援加算の算定期間中であっても、当該加算は帰省した日ごとに算定される報酬ではないことから、市町村が必要と認める場合は、支給決定を受けて居宅介護を利用することは可能である。つまり、帰省等により共同生活援助や共同生活介護の本体報酬が算定されない日(出かけた日と帰ってきた日は報酬が算定されるので除かれる)は帰省先で居宅介護を利用できること。この帰宅時支援加算の算定期間であっても居宅介護を利用できるということになります。
 
グループホーム・ケアホームにおける入院・帰省時の取り扱い
 
(2)ケアホームの夜間支援体制の強化
 
ケアホームの夜間支援体制強化
 当初案では夜間支援体制加算の対象は、ケアホーム利用者のうち障害程度区分4以上の人だったが、見直し案では区分2及び3の人も対象となった。
 区分2及び3は、それぞれの人数が10人以下の場合は1日24単位加算される。11人以上の場合、1人増えるごとに加算額は減り、21〜30人の場合は1日1単位となる。
 算定要件としては夜間支援従事者がケアホームに配置されていることが原則で、非常勤でも可能だが兼務は認められない。支援の内容は利用者の就寝準備の確認、寝返りや排泄の支援、緊急時対応など。
 複数のケアホームの夜間支援を行う場合、配置場所はケアホームから10分以内に駆けつけられる所にあることが条件。
 この場合、1人の従事者が支援できる利用者数と住居数はそれぞれ20人、5ヶ所まで。一方、1ヶ所のケアホームで夜間支援する場合は1人で30人まで担当できる。
 
夜間支援体制の見直し
夜間支援体制加算について
ケアホームの夜間支援体制加算
○ケアホームについては、区分4以上の者が入居しているなど入居者の状況から夜間支援体制の確保が必要なために下記の要件を満たす体制を確保していると都道府県知事が認めた場合については、当該ケアホームに入居している区分2以上の者について、夜間支援体制加算を算定できることとする。
 
(1)夜間支援従事者の配置
○夜間支援従事者の配置場所はケアホームであること。ただし、都道府県知事がケアホームに配置することが困難な事情があると認め、かつ、その配置場所が夜間支援を確実に実施できる場所(世話人や施設職員等の自宅は算定の対象外)であると認めた場合はこの限りではないこと。
 
○夜間支援従事者は複数のケアホームの夜間支援を行っている場合には、配置場所はケアホームから概ね10分以内にかけつけることができる地理的条件にあり、かつ、入居者からの支援要請を速やかに把握できるよう、配置場所とケアホームとの間で特別な連絡体制(非常通報装置、携帯電話等)が確保されていること。
 
○夜間支援体制加算の算定に当たり、複数のケアホームの夜間支援を行っている場合、一名の夜間支援従事者が支援することができる人数は、20名までとする(住居数は5箇所まで)。
 また、1箇所のケアホームの夜間支援を行っている場合、一名の夜間支援従事者が支援することができる人数は、30名までとする。
 
(2)夜間支援従事者の勤務内容・勤務形態
○夜間支援従事者は、入居者の状況に応じて、就寝準備の確認、寝返りや排泄の支援などのほか、緊急時の対応を行うこととし、夜間支援の内容については、個々の入居者の個別支援計画に位置付けられていること。
 
○夜間支援従事者は専従であること(夜間支援を行うケアホームの入居者の就寝前から翌朝の起床後まで)。
 
○夜間支援従事者が配置されているケアホーム以外のケアホームの夜間支援体制を行う場合には、一晩につき一回以上は当該ケアホームを巡回すること。
※ 夜間支援従事者は常勤、非常勤を問わず、また、委託された者であっても差し支えないものとする。
※ 確実なケアホームの夜間支援体制を確保するため、入所施設や病院の夜勤・宿直業務と兼務している場合には加算の対象外とするほか、地域移行型ホームについては、ケアホーム内に専従の従事者が配置されている場合にのみ加算の対象とする。
 
(3)夜間支援体制の加算額
○1名の夜間支援従事者が支援するケアホーム対象者数に応じて単価を設定
 
10人
以下
11人 12人 13人 14人 15人 16人 17人 18人 19人 20人 21〜
30人
区分
5・6
97
単位/日
85
単位/日
83
単位/日
79
単位/日
72
単位/日
71
単位/日
71
単位/日
68
単位/日
63
単位/日
62
単位/日
61
単位/日
56
単位/日
区分
4
52
単位/日
40
単位/日
38
単位/日
34
単位/日
27
単位/日
26
単位/日
26
単位/日
23
単位/日
18
単位/日
17
単位/日
16
単位/日
11
単位/日
区分
2・3
24
単位/日
20
単位/日
17
単位/日
15
単位/日
13
単位/日
11
単位/日
9
単位/日
8
単位/日
7
単位/日
6
単位/日
5
単位/日
1
単位/日


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