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三重県モーターボート及びヨット事故防止条例
昭和49年
三重県条例第5号
(目的)
第1条 この条例は、モーターボート及びヨットの航行によって発生する事故を防止し、もって海面の利用者の生命、身体及び財産の安全を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1 モーターボート等 機関又は帆を用いて推進する小艇(次に掲げるものを除く。)であって海洋レクリエーション又は海洋スポーツ(以下「海洋レクリエーション等」という。)の用に供するものをいう。
イ. 漁船法(昭和25年法律第178号)第9条第1項の規定による登録を受けた漁船。
ロ. 海上運送法(昭和24年法律第187号)第3条第1項又は第21条第1項の規定による免許又は許可を受けた航路に使用する船舶
2 操縦者:モーターボート等を自ら操縦する者をいう。
3 マリーナ:モーターボート等を保管し、並びに海洋レクリエーション等に必要な情報、技術、施設及び物資を提供する基地をいう。
4 マリーナ事業者:マリーナを自ら又は委託を受けて運営し、又は管理する者をいう。
(海女、海水浴者、漁船等への接近禁止)
第3条 操縦者は、作業中の海女、遊泳中の海水浴者又は漁ろう中の漁船若しくは漁具(定置されている漁具を除く。)から200メートル以内、水産動植物の養殖施設又は漁ろう中の定置されている漁具から100メートル以内の区域に入り、モーターボート等を操縦してはならない。ただし、次の各号の1に該当する場合は、この限りでない。
1 マリーナを出港し、又はマリーナに入港するためモーターボート等を時速6ノット以下で操縦し、かつ、作業中の海女、遊泳中の海水浴者、漁ろう中の漁船若しくは漁具又は水産動植物の養殖施設に被害を与えるおそれがないとき。
2 モーターボート等の乗船者に急病、傷害その他緊急な事態が発生したとき。
3 天候の急変により直ちにその場から避難しなければならないとき。
4 船体又は推進機関の故障により正常な操縦が困難であるとき。
5 人命又は急迫した危険のある船舶の救助に従事するとき。
(酒酔い等による操縦禁止)
第4条 操縦者は、酒に酔っている場合又は薬物の影響により正常な操縦ができないおそれがある場合は、モターボート等を操縦してはならない。
(操縦者の遵守事項)
第5条 操縦者は、法令及び前2条に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
1 出港前に、次に掲げる事項を確認すること。
イ 救命用具、消火用具、排水用具、通信用具その他の必要な用具が船内に備え付けられていること。
ロ 船体及び推進機関が整備されていること。
ハ 気象及び海象の状況が航行上支障がないこと。
2 航行中天候が急変したときなど航行に危険が予想されるときは、直ちに安全な場所に避難するとともに、マリーナ等にその旨を連絡すること。
3 陸岸に近い海域を航行する場合は、騒音を最小とする操縦をすること。
4 航行中人を死傷させ、又は物を損懐したときは、直ちに適切な措置を講じるとともに、所轄の海上保安部又は警察署に、当該事故の発生した日時、場所及び概要、並びに当該事故について講じた措置を報告すること。
5 海上安全指導員の指導に従うこと。
 
気象の基礎知識
1. 天気について
 テレビ・ラジオの天気予報では、「天気晴、南の風がやや強く日中の最高気温は20度を超えるでしょう。」
 などと放送します。ところで、「各地の天気」の天気と、「天気晴」の天気とは、意味が少しちがっています。気象学では、ある時刻の気圧、気温、湿度、風向、風速、雲、雨や雪、視程などいろいろな気象要素が組みあわさった状態を、天気といっています。「各地の天気」の天気は、これらの気象要素のおもなものだけを示しているのです。それぞれの気象要素は、ある範囲を、ある程度独立に変化しますから、それらを組みあわせた天気もまたたえず変化します。
 ところが、「天気晴」の天気は、空に浮かんでいる雲の量、雲の中から落ちてくる雨や雪、あるいは視程を悪くする霧や煙霧などをもとにしたいい方です。
 雲が全天の2割未満であれば快晴、2割をこえ8割以下を晴、8割を超えると曇といいます。
 雲は、無数のごく小さい水滴や氷晶の集まりが、空中に浮かんだものです。どの雲からでも、雨や雪は降りません。黒や灰色をした厚い雲の中で、雲粒が複雑なしくみで大きくなり、空気がそれをささえきれなくなると、地表面におちてきます。このとき、雨、霧雨、みぞれ、雪、あられ、ひょうなどの天気が生じます。
 雲が地表面に接して生じ、その中での視程が1キロメートル未満になったときは、天気は霧であるといいます。
 
2. 雲
 航空の場合とちがって、雲そのものは航海には別に障害にはなりません。しかし、その形、量、浮かんでいる高さ、流れてくる方向、流れる速さおよびその変化は、直接に目で見ることができ、それらがこれから先の天気変化と大変深い関係をもっていますので、昔から船乗りは観天望気といって、雲のたたずまいを注意してみまもることをおこたらなかったものです。天気図時代の今日でも、とくに気象の情報が少ない海上では、天気図と観天望気をあわせて使うことが大切です。
(1)雲の名前をおぼえよう
 雲は、その形や大きさ、色、浮かんでいる高さなどがまちまちで、それらに名前をつけようなどとは、それこそ雲をつかむような話だと思われるかも知れませんが、専門家のようにはいかなくても、当らずといえども遠からずというところまではいけるものです。天気を理解するためには、雲に親しまなければなりません。それには、まず雲の名前を覚えることです。
(2)層雲型の雲の見わけ方
 非常に高いところ(約6000メートル以上)にあらわれる薄い層雲を、巻層雲といいます。巻という字がついているのは、この雲が巻雲の仲間で、同時にあらわれることが多いからです。太陽や月がでているときは、そのまわりに「かさ」ができますから、見まちがえることはありません。この雲がしだいに全天に広がり、厚さが増すのは、天気が悪くなる前ぶれです。中程度の高さ(約2000〜6000メートル)にできる層雲を、高層雲といいます。巻層雲よりは厚く、かさができません。この雲がしだいに厚くなり、その下を低いちぎれ雲がとぶようになりますと、間もなく連続的な弱い雨や雪が降りはじめ、しばしば霧をともないます。最も低いところ(約2000メートル以下)にあらわれる層雲が、ただの層雲です。大てい500メートルぐらいの高さに浮かんでいます。この雲から雨が降っても、無数の細かい水滴だけがかなり一様に降る霧雨に限ります。層雲と同じくらいの高さに乱れた底をもち、全天に広がる厚い雲を、乱層雲といいます。並あるいは強い雨や雪を生じます。これらの層雲型の雲は、おもに、空気がゆっくり、ななめに上昇する温暖前線の前方にあらわれます。
 
第1図 10種の雲形
 
(3)積雲型の雲の見わけ方
 最も高いところにできる積雲を巻積雲といいます。俗にいわし雲などとよばれています。巻という字がついているのは、この雲が巻雲の仲間であるからで、大てい巻雲や巻層雲とともにあらわれます。中程度の高さにできる積雲を高積雲といいます。羊雲ともよばれます。雲塊がくっつきあって、高層雲に変わることがあります。最も低いところにできる積雲が、ただの積雲です。雲の底は低くて平らですが、その頂は巻雲の高さにまで広がることがあります。積雲は頂が円いので、入道雲ともいいます。積雲と同じくらいの高さに乱れた底をもち、頂が巻雲の高さまで広がり、かなとこ状になったり、巻雲状になったりした非常に厚い雲を積乱雲といいます。しばしば雷をともなうので、俗に雷雲ともよばれています。また、はげしいにわか雨、ひょうやあられ、突風などをともないます。
 横の広がりが大きく、また割合厚い、積雲と層雲の中間型の雲を、層積雲といいます。以上をまとめたものが、第1図です。
(4)雲の動き
 雲の形の観察はだいじですが、雲の動きもこれから先の天気変化についての情報をあたえてくれる重要なものです。俗に雲行きが悪い、雲あしが早いなどということばがあるのはこういうところからきているのです。雲はそれが浮かんでいる高さのところを吹いている風に流されますから、雲が動いてくる方向はその高度の風向を、雲の動く早さはその高度の風速をあらわします。したがって、雲の動きを観察すれば上層の風の見当がつきます。低気圧や台風は、ふつう3000メートルから5000メートルの高度の風に舵をとられて進みますが、雲の動いていく方向がそれを示してくれます。また、雲行きが早ければ、ふつう、やがて地上でも風が強くなります。


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