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(14)安全、快適な乗車のためのアイデア
 ハード面では、「簡単かつ安全な固定方法の開発(6件)」、ジェットコースターのような「安全バーの設置(3件)」等のアイデアが出された。スロープは、全自動化、出し入れが簡単な可搬型スロープの方が良い等意見が分かれた。「停留所付近の十分なスペースの確保(4件)」も課題である。
 ソフト面では、接客サービス等乗務員の応対の向上を求めている「運転手の接遇・介助の質の向上(13件)」が最も多い。「運転手の乗降・固定方法等の習熟(4件)」も他の質問同様に多い。
 
表3-7-1 安全、快適な乗車のためのアイデア その1
ハード(40件)
乗降装置(16件)
スロープの自動展開等(5件)
・スロープを自動開閉にする。(故障時には手動でもできるものにする。)
・スロープが自動的に出てくるようになれば、乗務員もいちいち車外に出ずに用意が出来る。
・スロープを電動で出し入れしてほしい。
・スロープは電動のパタンスロープにしてほしい。
・スロープの傾斜を緩くして、自操でも楽にのぼれるようにし、自動でスロープを出したりしまったり出来るようにすれば、単独の外出もしやすくなるし、乗務員がわざわざ入口まで来て介助する手間も省ける。
出し入れが簡単な可搬型スロープ等の導入(3件)
・スロープの構造を収納、出し入れが簡単に出来るようにしてほしい。
・手持ちで移動が出来るスロープを利用する方が楽で早い。
・スロープの故障によって(スロープを床下から引き出せない、出したスロープが元に戻らない)乗車できなかったり、運行中止になってしまったことが何度かある。スロープは駅で使用されている渡し板(手で設置する)のような簡単に設置できるものにしてほしい。また、スロープを所定の位置に戻さなければバスの扉が閉じられないような安全装置は理解されていない乗務員もいて、安全装置が故障しただけで車いす乗客の利用が拒否されることも考えられ、出来るだけシンプルなものに(例えば運転席の近くにスロープを立てる場所を作る等)してほしい。
 
表3-7-2 安全、快適な乗車のためのアイデア その2
ハード(つづき)
乗降装置(つづき)
停留所付近の十分なスペースの確保(4件)
・停留所のスペースもゆとりをもって広く設けてほしい。
・バス停の安全な乗降場の確保。
・停留所での車いす乗車のための(バスから突き出たスロープの長さと車いすが転回ができるくらいの)十分なスペースの確保。
・電話ボックスが邪魔。
停留所における屋根の設置(1件)
・バス停に屋根がないところもあるので、屋根をつけてほしい。
停留所に停止位置を示す(1件)
・乗降位置が乗務員にわかるように停車場の路面に蛍光塗装で線を印す。
車いす使用者が停留所にいることを乗務員に知らせるサイン設置(1件)
・停留所にて車いす使用者がいる場合は、点滅等によるサインがあると乗務員があらかじめ歩道に寄せることができ、スロープを出し易くなるはずである。
乗降ドアの幅広化(1件)
・乗降ドアの幅広化
車いすスペース、固定装置(22件)
車いすスペースの常設(2件)
・車いすスペース完全固定化(跳ね上げ式でなく電車のように)
・車いすスペースを初めから設置してほしい。
車いすスペースの明示(1件)
・車いすの固定位置等の床の色を変え、説明にも車いすマークなどを大きくつけて分かりやすくする。
車いすスペースの配置(1件)
・現在の日本独自のノンステップバス標準仕様の車いすスペースのレイアウトをもっと乗降しやすく、スペースに進入しやすいように考え直すべきである。
揺れや衝撃を軽減する工夫
・タイヤ等のスプリング等を良くし、乗っている時の揺れや衝撃をなくせるよう、考えてほしい。
障害者用の座席を設置して、移乗して利用したい(1件)
・手動車いすは車体が軽く、走行中のバスの振動をまともに受けるので、できればバスの座席(障害者用)等に移乗して利用できればより良いと思う。
 
表3-7-3 安全、快適な乗車のためのアイデア その3
ハード(つづき)
車いすスペース、固定装置(つづき)
車内の状況を把握できるミラー等の設置(1件)
・激しい振動がある時等は金属音がしたりするので、見える範囲で把握したいため、車内の幾つかの箇所にミラー等を設置したらどうか。
ブザーの配置を改善してほしい(1件)
・車いす、電動車いすによってブザーが押しにくいバスがあるので、改善してほしい。
カーテンに手が届くようにしてほしい(1件)
・車いす乗車位置の窓のカーテンが高くて手が届かない。
シートベルトの導入(2件)
・バスにシートベルトをつけてほしい。
・大型バス、福祉バスなどで使われている、シートベルト(車いすごと装着可)などを導入したらどうか。
手すりの改善(1件)
・冬は金属製手すりは冷たい。触感の良さを考慮して、木製が良いと思う。その手すりも、握力の小さい者を念頭に置き、波型グリップをすすめる。
安全バーの設置(3件)
・遊園地のジェットコースター等に付いているような、ワンタッチで身体を固定できる安全装置を開発してほしい。
・車いす乗車位置の前に安全バーが1本出てくれば、急ブレーキの時に安心できる。
・さらにジェットコースターのような身体を固定するバーが電動でセットできるとよい。
簡単かつ安全な固定方法の開発(6件)
・とにかく全タイヤを固定する。
・固定ベルトに手間がかからないように簡単に出来るものがあると、他の乗客にも迷惑をかけないで済むのでよい。いつも心苦しく申し訳なく思っている。
・急ブレーキ時に車いすが車内で移動してしまわないために、ベルト固定のような固定に時間のかかる方法ではなく、駆動輪の前の床の一部がスプリングなどで持ち上がり輪留めの効果を持たせる簡便な方法を使えないか。
・自家用車にあるような電動式の固定用ベルト巻き取り方式は良いと思う。
・車いすの固定は、後ろ向き固定、電動で固定フックが閉まるようにする。
・操作はシンプルにしてほしい。
床を滑りにくい素材にしてほしい(1件)
・床の素材を滑りにくくしてほしい
 
表3-7-4 安全、快適な乗車のためのアイデア その4
その他(2件)
海外ローフロアバスの利用方法(1件)
・ロンドンの駅と駅をつなぐ路線バスが非常に使いやすかった。他の人たちと同じように前から乗って(自動でスロープが降りてくる)後ろから降りる形式だったと思う。座席はブロック席のようにポールが立っていて、乗務員は特に何もする必要はなく、車いす使用者やベビーカーはそのスペースに入りこむ。(進行方向横向き)
車両の大型化(1件)
・バス車両自体を大きく(道も含めて)してほしい
ソフト(35件)
乗務員の接遇・介助の質の向上(13件)
・乗務員の指導・教育を充実させてほしい。(2件)
・乗務員の自己管理の徹底。
・乗務員の意識改革。
・乗務員に笑顔で客の対応をしてほしい。
・乗務員の接客サービスを向上させる。
・乗務員があいさつを返してくれたりやさしくしてくれるとうれしい。
・車いすの乗客や他の乗客に対して、ドライバーがどのような態度、言葉で接するかで気持ちよく乗車できるかどうかが違ってくるので、ドライバーの教育をしてほしい。
・乗務員は客に対してサービスをするという精神がない。敬語を使わないドライバーは仕事をする資格はない。もっと客に乗車してもらう努力をするべきである。
・車いす使用者を交えた講習会を行う。
・現在は介助付きで乗車しているが、介助者なしでも乗車できるように乗務員に配慮していただきたい。
・柔軟な対応をしてほしい。
・できれば女性の乗務員を増やしてほしい。
乗務員の乗降・固定方法等の習熟(4件)
・乗務員ならばスロープの取り付け方ぐらい知っていてほしい。
・全ての乗務員に車いすのベルトのことや固定方法を把握しておいてほしい。
・乗降の準備、車いすの固定に時間がかかり過ぎる。これでは、車いす使用者も乗務員も乗り合わせた乗客も不満が残る。
・バスの乗降がうまくいけば、殆どが解決する。乗りやすいバスの開発、バス停の改造、乗務員の研修、機器の事前点検の徹底。
 
表3-7-5 安全、快適な乗車のためのアイデア その5
ソフト(つづき)
車内放送等アナウンスの活用(3件)
・路面の状況が悪い場所では事前に車内放送する。
・車いすの乗降時に車内放送をしっかりする。
・車内放送以外に、車いすスペースに交通事情・状況で急ブレーキを踏む時があることを知らせるステッカーを掲示する方法もある。
バス利用等の予約について(3件)
・予約をしなくてもバスを利用できるようになればよいと思う。
・ノンステップバスを予約するとき電話をすると確認のためファックスを送るように言われる。しかし、乗車する人の中にはファックスを持っていない者もいるので、メールで対応できるようにしたり、電話を受けた方がしっかりとメモをする事が必要。また、そういう場合の苦情等を申し立てる窓口を作ってほしい。
・3日前に予約するということではなく、突発的な利用も可能になるような状態を望む。
ノンステップバスの普及促進(4件)
・全線におけるノンステップバスの導入。
・ノンステップバスの増車。
・身近で利用できるバスがないので、ノンステップバスの普及や路線を増やしてほしい。
・ワンステップバスではなく、スロープ付ノンステップバスを義務化して、ワンステップバスは、それでなければ走行できないといった特別の事情がなければ、認めないようにしてほしい。ワンステップバスはスロープ傾斜の点からも危険で不安である。
ノンステップバスの時刻表への表示(4件)
・バスの時刻表にノンステップバスかどうか表示していないところが多く、どの時間帯がノンステップバスなのかがわからないので、表示の徹底。
・時刻表にノンステップとノンステップでないバスの区別を明記してほしい。
・時刻表には、車いす用のバスの印しをしっかりつけてほしい。
・車いすで乗車できるバスの運行時間がすぐにわかるようにしてほしい。
パンフレットを配布してほしい(1件)
・車いすの固定装置の使い方をパンフレットで配布してほしい。
車いす使用者も車いすの固定方法等を乗務員に指示する(3件)
・自分の車いすの固定方法の指示や乗務員に介助の指示等車いす使用者側も協力する。
・乗るからには安全で乗りたいので、運転の仕方を気をつけたり、お互いに協力し合うことが必要だと思う。
・電動車いすの一部及び満員時には、バック乗車することをお勧めする。乗車時は、バス停歩道面で回転しなければならないが、スロープ上スロープ時でも安全な上に、なにより、車いすスペースまで移動するのに、車内動線距離が短く、一般乗客への負荷も少ない。満員時においては特に有効である。


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