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5 その他(OSPAR管理会合)
 本セミナー開催前の11月14日(火)にマレーシア環境省主催の第4回OSPAR管理会合が同会場にて開催された。概要は下記のとおり。
(1)日時・場所
日時:平成18年11月14日(火) 08:30〜22:30(昼食・夕食等含む)
場所:マレーシア・ランカウイ Holiday Villa Langkawiボールルーム
(2)出席者
 出席者はセミナーに招聘したアセアン各国からの代表者に加え、日本、マレーシア関係機関等からのオブザーバーも含め約40人が出席した。
(3)結果概要
・ASEAN-OSRAP(流出油対応のためのアクションプログラム)へのCMV参加国加盟に伴う覚書締結に関する改正について、所要の調整等がなされていないことから、次期会合までに各国が所要の調整を行い、覚書改正案への署名が実施できるよう要請された。
・OAPAR-PROJECTにて供給された油防除資機材について各国より、資機材の老朽化による損耗または修理が必要な状況である旨報告された。
・日本側より、2006年開始の人材育成に焦点を当てた新たなアクションプランとして、日本におけるNLSに関する招聘研修(ODA及び日本財団支援による海上災害防止センターでの研修)及び日本財団支援によるOSPAR管理会合ホスト国にて実施の油防除に関する机上訓練及びNLSを中心としたセミナー開催の実施について発表された。
・フィリピンよりフィリピン籍タンカーSOLAR1海難による大規模油流出に関する報告があり、これに関連してASEAN-OSRAPの付属書8(スラウェシ海における流出油防除計画)に関し、特に効果的防除のための連絡体制の見直しの必要性について合意し、取り急ぎの措置として、本会合出席者を主体とした連絡体制のリストを作成することとなった。
 
OSPAR管理会合会議風景
 
OSPAR管理会合出席者
 
6 所感
 HNSに関しては、油流出事故にかかる準備、対応及び協力に関する国際条約であるOPRC条約の対象物質の範囲を油のみならずHNSにまで広げたOPRC-HNS議定書が2000年3月にすでにIMO(国際海事機関)で採択されており、2007年6月までには同議定書の発効が見込まれているなど、世界的にも非常に注目が集まっている。
 本セミナーでも対象としたこのHNSという分野においては、アセアン各国にとってもまだまだ知識・経験のほとんど無い新しい分野であるため、アセアン各国からの出席者はもとより、マレーシア現地関係機関からの出席者も皆真摯な態度で臨んでおり、活発な質疑応答が見られるなど、同分野への関心の深さ及び本セミナーに対する期待の大きさが伺えた。さらに本セミナーでは我が国専門家のみならず、アセアン地域において海洋汚染防止分野における先進国であるシンガポールの専門家からも講演があるなど、アセアン各国同士の海洋汚染防止に対する意識の向上も図られた。
 また、一方で参加者の反応に接して改めて認識されたのは、HNSの問題に限らず海洋環境汚染対策に関する国際支援・協力にあたっては、IMOがシンガポール等と共同で実施しているような「条約批准・国内法整備ありき」というような高い位置から相手を引っ張りあげるような接し方も最終的には必要であるものの、まずは対象国の目線に合わせて、対等な位置から相手を押し上げるような対応が必要であると感じられた。
 こうしたことより、本セミナー及び海上災害防止センターでの研修を通じて、アセアン各国及びアセアン地域に対する海洋汚染防止分野での人材育成、啓蒙等、充実・強化支援に大きく貢献できたものと思慮する。さらには本セミナー及び日本での研修で得た知識等を基に、更なる人材育成及び体制整備がアセアン各国及びアセアン地域全体で自らの手で図られることが期待される。
 ただし、まだまだ同分野においての人材、経験等の不足は否めず、今後のアセアン各国及びアセアン地域における海洋汚染防止体制の充実・強化のためにも、更なる支援は必要であると思慮される。同種のセミナー及び研修を引き続き実施し、アセアン各国の意識向上を図り、海洋汚染防止体制の充実・強化をより深めていくことが望ましい。


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