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シンガポール海事港湾庁
Lim Khok Cheng管理官
 
マレーシア海事研究所
Sae Juan Ling研究員
 
(2)質疑応答
 セミナー当日の午前及び午後の最後に質疑応答が設けられ、出席者より、「是非、日本の経験や技術をもっと教えて欲しい」、「できれば日本で研修をしてもらえないか」等、意見が寄せられるなど活発な質疑応答が行われた。さらに、シンガポール海事港湾庁のLim講師からも「シンガポールではケミカル事故対応の経験が不足しているので、是非今回の講義資料を国内の研修で使用したい」との申し入れもあった。なお、その他主な質疑応答内容は下記の通り。
問1 事例にあったケミカルタンカーの爆発炎上事故は亜鉛がタンクの塗料に含まれていて苛性ソーダと反応したということか。
答1 塗料に亜鉛が含まれており、苛性ソーダと反応した。亜鉛と反応を起こす化学物質は苛性ソーダのほかにもいろいろと反応するものがある。
問2 ゲル化剤のような消火剤を海上に散布した場合、海洋生物にどのような影響を与えるのか。
答2 基本的に無害であり、海洋生物に与える影響は無い。
問3 事故発生の際、海上では処理には素早い対応が必要であり、いろいろな情報の提供が必要と考える。
答3 日本では化学薬品製造会社が蓄積した様々なノウハウ提供を行えるよう現在も議論が行われている。
問4 日本のOPRC-HNS議定書の批准はいつごろになるか。
答4 はっきりとした日取りは確定していないが、2007年3月頃を予定しており、それに伴い日本の国内法も油にHNSを加えたものに改定する予定である。
問5 海上で事故が発生した際は、実際どのように対応に当たるのか。
答5 事故情報を受けた後、Cold Zone、Warm Zone、Hot Zoneから成るゾーンニングを行い、その後対応に当たる。
問6 さまざまなHNSが輸送されているが、どのような化学物質がどのような割合で輸送されているのか。
答6 世界的な割合は把握していないが、日本ではベンジンやメタノール等の化学物質が多く輸送されている。ただし特異な化学物質が輸送されることもあり、事故が発生した際は対応が非常に困難となる。
問7 HNS対応において、マレーシアのような熱帯国と日本とで異なる点、注意点等はあるか。
答7 米国と日本とで対応が異なるように、それぞれの国の事情にあった対応方法を見出す必要がある。
問8 事故事例の紹介があったが、事故後の環境調査は行っているのか。
答8 その後の環境の変化等については把握していない。ただし、日本でこれまで発生した事故は規模の小さいもので、さほど影響は無いものと考える。
 
質疑応答風景


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