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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


八 地財法適用の繰上げ解除
 昭和三十年地方財政再建特別措置法が制定されて以来その適用を受けて来た伊丹市はその間、人口の急増になやみながらもそれにともなう諸種の事業も極度におさえて健全財政への歩みを続けたが昭和三十八年度迄の適用期間を一年繰上げて昭和三十七年度末をもって一応解除された。ここに八年間にわたり阪神間で唯一つ残った財政再建団体に終止符をうった伊丹市はいよいよ明るい住みよい町づくりを目指して自主団体としての第一歩をふみ出したわけである。一年繰上げて解除されたうらには市長以下、職員一丸となってなみなみならぬ努力を重ねた賜ともいえるが財政的な裏付けとして昭和三十四年頃から好調な伸びを示し出した競艇事業の収益も大きく働いていることは事実である。
 
九 伊丹市営初の特別レース開催
 昭和三十九年五月二十八日から六日間、伊丹市が初開催以来始めての特別レースとして第八回近畿地区モーターボート選手権大会を開催した。尼崎市は昭和三十二年の全国地区対抗競走を始めとして各種の特別競走を行なって来たが伊丹市営としては始めてである。
 近畿地区のA級選手を網羅した大会は続々とつめかけるファンの前で白熱のレースを展開し売上金もうなぎのぼり尼崎競艇場の記録を全部塗りかえてしまった。
 昭和三十八年尼崎競艇場が波乱のうちに存続を決定したあと、更新を続ける入場人員、売上高のために開設以来そのまま使用されていた施設は狭溢となり、全面的な改修工事の必要にせまられていた。尼崎市も明年度から巨額の費用を投入して工事にかかる準備を進めていたので旧施設としては最後の特別レースとなった。
 日程と天候にめぐまれた大会はファンの出足も好調で第四日目には日曜日とあって一五、〇一八人の入場者を記録し、投票所周辺はファンで身動きも出来ない状態だった。
 売上及び入場人員は次の通りである。
第一日 四五、〇九九、〇〇〇円(八、一一六人)
第二日 四五、〇〇四、九〇〇円(七、八一一人)
第三日 四三、〇三四、六〇〇円(七、〇七三人)
第四日 八二、二四七、〇〇〇円(一五、〇一八人)
(内返還金一、三九六、九〇〇円)
第五日 六三、七五九、〇〇〇円(一一、四四九人)
第六日 六三、七三八、五〇〇円(九、六一一人)
(内返還金一、七一二、七〇〇円)
合計 三四二、八八三、〇〇〇円(五九、〇七八人)
(内返還金三、一〇九、六〇〇円)
 なお六日間累計三四二、八八三、〇〇〇円、一日売上八二、二四七、〇〇〇円、平均一日売上五七、一四七、一六〇円、一レース売上(四日目十二レース)九、二七七、六〇〇円はいずれも当時尼崎競艇場の新記録だった。
 
十 第十四回全日本モーターボート選手権大会開催
 公正安全なレースを常に心がけた兵庫県競走会、施設の拡充、改善に意欲的な働きを見せた施行者、両者の苦心と努力によって売上成績も常に全国二位を保ち、一位の住之江競艇場にせまらんとする尼崎競艇場は、記録面、設備面その他すべての面に大レース開催条件を満たしていた。
 ここで伊丹市としては昭和四十一年十二月、翌年度の昭和四十二年度第十四回全日本モーターボート選手権大会の主催を立候補申請、連合会常任委員会の議を経て開催施行者として推挙された。
 今大会はその開催要項冒頭の運営方針にもあるように、種々の新しいこころみを盛り込んだ。
 まず、出場選手の選考に当り事故件数を二件以内におさえたことと出場選手数を五十四名にしたことである。
 昭和四十二年四月十三日、第一回の大会準備委員会が尼崎市水光ビル会議室で開かれたが、席上この事故件数二件(従来は三件)以内の選手選考について議論が集中し、二件以上の事故者に有名選手が多く、それらが選考にもれることによる人気の点でのマイナス、売上への影響等が考えられ異議もあったが、小林開催執行委員長の「売上も大切なことだが品位、技量ともに最高の者を選ぶ選手権大会にあってやはり事故件数の多いものは好ましくない、売上は度外視して名実共に優秀な選手を選びたい」との発言で衆議一決、二件以内と決定、選手数も宿泊施設の収容能力を加味して最大限の五十四名とした。
 つぎに、大会用のポスターの図柄を広く一般の人々から懸賞募集を行なった。
 宣伝用、及び関係者配布用のポスターの図柄を日頃あまり競艇に縁のない人にもPRの意味をかねて、新聞、テレビ、ラジオ等で懸賞募集を行なったところ、各方面から四十数点の応募があった。七月二十八日、小林開催執行委員長を審査委員長とし、市内在住の画家稲垣達郎氏、サンケイ新聞山本記者、その他事業課職員、競走会職員等七名の審査員により三和銀行伊丹支店で審査を行なった。
 入賞者は次の通りである。
入選(賞金五万円)
大阪市東淀川区東三国町三丁目二一四
稲垣順一氏
佳作(賞金一万円)
大阪市此花区西九条浜通八四
宮本光雄氏
佳作(賞金一万円)
大阪市浪速区元町二丁目一〇四
西原 一氏
 この結果は七月三十一日付スポーツ新聞紙上に発表、八月十日市役所助役室でそれぞれの賞金が送られた。
 第一回の打合わせ以後も数回にわたり準備会をもち、又各部会にも別れてそれぞれの分野での準備について協議をかさね、九月十四日最終的に準備委員会を開き開催要項を決定した。
 昭和四十二年十月五日午前十時三十分、今にも降り出しそうな雨雲をひびかせて号砲がとどろき、ファンファーレを合図バトンガールの先導、関西吹奏楽団の「錨を上げて」のマーチによる選手団の入場行進と開会式で大会の幕はあいた。
 中央スタンド前、国旗の掲揚につづき前年度覇者芹田信吉選手から優勝旗の返還、伊丹市長、笹川連合会長の挨拶来賓の祝詞のあと、選手名を吊り下げた五色の風船が舞上がる中で選手の紹介が続けられ、鳩が乱舞し三千人のファンが見守るなかで仕掛花火を合図に小林開催執行委員長の開会宣言によって式はクライマックスに達した。最後にバトンガールの演技、吹奏楽団の演奏があり、正十二時第一レースがスタートした。
 
第14回全日本モーターボート選手権大会の開会式で、あいさつする伏見伊丹市長
 
 華麗な入場式後の第一レースから早くも二名のフライング事故を起し不吉の前兆のごとくその後順調に進んだレースは十二レースに至って全艇フライングという夢想だにしない事故が起った。日没のため再レースも不可能となりファンも一時騒ぜんとなったが大事に至らず投票券二二四、五八七枚はファンに返還された。
 この波乱含みの幕明けに事態を重視した山中選手会長及び連合会阿部業務部次長が急きょ来尼し、懸命のシッタ激励によりその後L一件のみと最終日迄レースは順調、一方初日のフライングで前年度覇者芹田信吉、鳳賞覇者石川洋等スター選手がコッソリ帰郷したため入場、売上の低下が憂慮されたが、関係者の心配をよそに順調に盛り上がっていった。
 いよいよ最終日優勝決定戦、関西テレビを基局として七局ネットで全国放送のテレビカメラがスタートラインをにらむ。伊丹市長をはじめ笹川連合会長、神戸海運局長、その他表彰式列席の関係者が大時計前の式場でスタートの瞬間を待つ時、折悪しく秋雨が降り出した。午後五時十分雨をついて六艇一せいにごう音のもとスタートラインを通過した。その瞬間笹川連合会長は雨中に身を乗り出し腰を落してラインをギョウ視していたが、わずかに首をかしげた。
 第一マークをセン回、貴田、小坂、岡本、藤沢、前川、常松とつづいて第二マークを通過、二周目の直線にかかったところでスタート事故を知らせる赤ランプが点滅、同時に審判長から六号艇(前川)を除く五艇のフライングが発表された。一瞬ファン、関係者共にあ然とし、つづいて委員長室からの「競走法第十二条の規定によりレースは不成立、日没により再レースは致しません」旨の放送で場内かん声ともため息ともつかず騒ぜんとなり物を投げるもの、フェンスをゆするもの、口々に再レースを叫ぶもので険悪な空気が流れ始めた。
 危険を感じた関係者は来賓を審判塔下より救助艇によりピット方面に避難させる一方、兵庫県警機動隊及び尼崎西署員約六十人の出動を要請ファンの鎮圧に当り、その間主催側が再三にわたり「日没により再レース不可能」を放送したため約二十分後にはファンもようやく納得、大事に至らず、三、四十分後にはほとんどの人影は帰路についた。
 かくして第十四回全日本モーターボート選手権大会は、大会史上空前の「選手権者空位」という結末をもってその幕をおろしたのである。
 そぼ降る秋雨の中で、今はその持主を失った優勝旗、トロフィー等数々の賞品を格納していく主催者職員の重苦しい心の唯一つの救いは、総売上一、〇四二、四五五、〇〇〇円が前月の鳳凰賞の売上を上廻り日本新記録を樹立したことのみである。
 
昭和42・10・10、ダービー優勝戦のスタートで、艇5がフライングした瞬間の判定写真


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