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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


津市
津競艇の誕生
◇津競艇の発端
 津市が戦災で受けた被害は全壊焼家屋一〇、九〇四戸、半壊焼六七六戸、焼失学校六校、死亡者一、六三二名、負傷者六、五〇七名で全国稀に見る被害激甚市である。戦災前には八万五千もあった人口が六六%の五万六千人に減った。住宅建設、道路復旧、学校建築等焦眉の急を要する問題が山積しているのに税収は激減し、復興財源を何かに求めなければ津市の財政は破綻するという状態にあった。昭和二三年七月一三日競馬法が公布されたが、これは区域内に地方競馬場が存在する場合に限り指定が受けられた。同年八月一日には自転車競技法が公布された。何れも関連産業の振興とともに地方財政救済が目的であった。津市は四日市市桑名市と共に三市で霞ケ浦競馬組合に加入し津市からは二議員が委員となった。然しこれも出資金百万円に対し利益配分五万円程度を受けただけで霞ケ浦が競輪場となるに及んで解散した。さて競輪については、松阪市四日市市及び津市の三者がほぼ同時に計画を始めたが、当時競輪場の設置は県内一ヵ所許可が政府の方針であったので自然三市競合することとなった。津市は津工業高等学校の焼跡を予定し、三市のうち最も立地条件に恵まれた有望候補地であったが市民感情の反対が相当に強かったので遂に断念することとなった。競輪場設置に関して市役所の当事者が当時市長に意見を尋ねたところ直ちに反対されたということもあった。津市が退いたので松阪市と四日市市との指定地競走となったが遂には松阪市が先に開催することになった。若し三市が最後まで争っていたら複雑不明朗な様相を呈して困った結果になったかも知れぬ。津市の競輪施行は実現しなかったけれどそれが後日競艇を施行することにつながるのである。文教都市を標榜する津がいかに財源獲得のためとはいえ賭けごとを始めるべきではないとの世論によって簡単に競輪を断念したのに、結局同じギャンブルを行なうことになったとは不思議な廻り合わせである。
 昭和二六年六月一八日モーターボート競走法が成立公布されたのである。同年八月二日の岩田川花火大会の夜、観覧席にあてられていたビルの一室で志田市長初め関係者一同が同席して話し合った結果、岩田川河口でモーターボートレースなるものを行なったら良かろうと意見が一致した。早速準備を始めることになったが、早急に事を運んで徒らに世論を刺激しないため何度も準備の打ち合わせが行なわれたが、その道に最も詳しい柏木議員が常に中心となって推進せられた。当時の志田市長はそのときのことを次のように語っている。「自分が市長に就任したときの夢は津市を昔の日本三津の姿に復元して大津港とすること、八幡製鉄の如き大工場を誘致して一大工業都市とすること、海岸を主とする観光開発を行なうこと等であった。それらの構想を実現するのには財源が必要である。モーターボートのことは以前、西山、西島県議員から聞かされていたが、その財源を得るための手段として競艇をやることに考えを決めた」
 昭和二六年八月二日の花火大会は、津競艇の受胎を告げる花火であったということができる。同年八月五日には鳥羽、二見両町が共同して、また翌日には的矢村が県競走会(準備会)へそれぞれ協力を依頼したとの情報があった。当時政府の方針はモーターボート競走場の設置は県内一ヵ所に限ることになっていたので津市としては一日の猶予も許されぬと、その翌日の七日に県競走会へ申込みを行なった。八月一〇日には桑名市も名乗りをあげてこれも競走会へ申込みを行ない八月一三日には的矢村は鵜方、神明、甲賀、国府、安乗、長岡、七ヵ村で的矢競艇運営協議会を結成して猛烈な先陣争いとなった。津市は、公営競技に最も詳しくまた中央と連絡につながりの深い柏木議員を中心として活発に運動を始めたのであるが、先ず第一歩として八月二一日、全国モーターボート競走会連合会(準備会)の平野晃氏、全国舟艇協会常務理事道明義太郎氏に懇請して、予定地岩田川河口の視察調査を依頼した。その調査結果はAクラスの立地条件であるとの折紙がつけられ、更に詳しい科学的調査を行なうこととなった。
 翌二二日の新聞は、はじめてこれを大きく次の如く報道した。
 
津海岸に最適の折紙 モーターボート競走場設置へ本腰
 モーターボート競走法が国会を通過し、津市でも海事思想の普及と苦しい地方財政の緩和に競走場設置を研究しているが二十一日全国モーターボート競走会連合会準備会事務局長平野晃、全国舟艇協会常務理事道明義太郎両氏が来津、津海岸を視察、交通の便もよく絶好の海岸は全国でも珍しく、Aクラスの折紙がつけられたので設置に本腰を入れ乗り出すことになった。場所は岩田川河口から贄崎の直線コース一、五〇〇米でボート券売場スタンドを設置する模様で、早ければ年内に処女レースを行ない、年間八回、一回六日間のレースを開き一回五、六千万円の売上げを見込んで、近く設置機関をつくり具体的な計画に乗り出す。
 
◇内閣総理大臣宛指定市の申請書を提出(26・8・25)
津商第三一三号
昭和26年8月25日
津市長 志田 勝
内閣総理大臣 吉田 茂殿
モーターボート競走法第二条
第一項中の指定市について
首題モーターボート競走法中指定市として御認め下さる様、左記を附してお願いする。
一 モーターボート競走を実施したい理由
 当津市は三重県の首都にして、産業文化の中心として殷賑を極めていたが震災、戦災の為重要産業工場をはじめ、市水道施設等大半を滅失し、学校病院等いずれも烏有に帰して、これらの復旧に鋭意努め着々として其の目的を達しつつありますが、相次ぐ土木復興事業に資金面において行詰り復興も意の如くならない情況でこれを打開するためには、市税によらなければならないが、戦災市民として現税に困却しあるうえに増税も望み得ない現状である。然るに今回モーターボート競走法の施行により、幸い指定市としてご承認を得ればこれによって市財政上に輸血以上の効果あるものと思考される。尚本市の開催予定地は、風光明媚波穏かな伊勢の海にて、県内は勿論恵まれた交通網により京阪神を始め名古屋市等大都市より顧客を招くことが可能にて、その実績も相当あるものと思考さるる次第にて、本収益金をもって上記公共事業の復興に資せんとするものである。
(1)戦災 昭和二〇年六月二五日(爆撃)
 昭和二〇年七月二四日(焼い弾及び爆撃)
(2)罹災被害程度
家屋 全壊焼失一〇、九〇四戸、半壊焼失六七六戸 学校焼失六校
人員 死亡一、六三二名、負傷六、五〇七名
(3)戦災前後の面積、人口、戸数の比較
 
戦災前 被災数 比率%
面積 四八、六平方粁 三三、七平方粁 六九
戸数 一七、〇一三戸 一一、五八〇戸 六八
人口 八五、二〇二人 五六、二〇三人 六六


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