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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


常滑市
昭和二十六年六月十八日
 モーターボート競走法公布実施さる
昭和二十六年七月十二日
 元文部大臣下條康麿氏(初代愛知県モーターボート競走会長)産業視察に来場、その際たまたま集まっていた町内各字区長の前でモーターボート競走事業について説明された。
 後日、この話しを聞かされた町長伊奈長三郎氏は、さすがに実業家出身のこととて、この種事業の実施によって、町財政に大きく貢献することを充分承知したが、同時に極めて困難な事業であることをも洞察、常滑町一町のみにては到底遂行出来かねることを考慮し、即座には決しかねた。
 然しながら各字区長をリーダーとする多数町民の熱意は隣接の西浦町、鬼崎町にも波及し、まず三ヵ町の有力者が発起人となり株式会社を設立し、これが常滑町とタイアップして事を運ぶならば決して不可能なことではないとの案が高まり、遂に町長も競走実施に踏切ったものである。
 いったん腹を決めればそこは敏腕家のこと、諸種の手続き等は迅速且つ適確に運ばれたのであったが、これはあくまでも法的による必要欠くべからざる文書手続きのみにて既に株式会社設立の機が熟していたこととて、競走場建設並びに運営は会社の設立を待ち全面的に移譲する計画であった。
 このため伊奈町長と会社発起人総代杉江達太郎氏との間に、将来町が施行者としての指定を受け、且つ又株式会社が設立されたときに有効となる次記の仮契約書を取りかわした。
仮契約書 (抜粋)
第一条 競走場の誘致運動及び競走場の施設については常滑町は会社に対し指示することが出来、又会社はその実施せんとすることについて予め常滑町の承認を得なければならない。
第二条 競走場其の他の施設に要する経費は総て会社において負担するものとする。
第三条 競走実施による入場料及び勝舟投票券の発売に関しては、正規の明細書を付し収益金(入場料中税金を控除した額と勝舟券売上額の十七%に相当額の合計額)の中、会社は常滑町に対しその四割を日日納付しなければならない。
 前条の収益金の会計については、常滑町は競走開催の都度立会監査をするものとする。
 但し、事業開始満二ヵ年に限り三割を納付する。
以下省略
昭和二十六年十一月十八日
 指定町の申請について常滑町議会承認可決。
 
 もともと周囲の盛り上がり気運は充分であり一名の反対者も無く承認されたのであるが、果してこの事業が順調に進展出来得る確信は誰一人として持ち得るものではなく、その道は遠く険しいものであることは承知の上であったが半島の一郭を占める人口一万四千人の小財政規模の常滑町にとっては、このモーターボート競走法の公布はまことに時を得たものであり、競走場設置の決議もまた当然のものであった。
 この事業が困難なものであることを知りながらも敢えて行なわざるを得なかった事情は、後に町民連名にて地方財政委員会に提出された次の「モーターボート競走場誘致歎願書」に詳細に表わされている。
歎願書 (原文のまま)
 陶の邑「常滑」の名は、今日あまねく人口に膾炙されてゐますが、これは歴代ここに住んだ人々が、土と取組み媒煙の下塵埃の裏に黙々として働き続け、遂に闘い取った勤労の汗脂の誠に貴い名であります。
 由来文化の発達は大平原からと言われますが、常滑の地勢は、前は海、後ろは山で立地条件甚だ悪く、市街地の過半は海岸埋立地へ延びたものであります。従って文化の施設には見るべきものなく、経済活動を同じくする他市町村に比して遺憾ながら生活の水準線が低いのであります。
 常滑に住む人々は只働くのみで、身神の糧となり慰めとなる文化の恩恵に浴することは今日まで極めて些少で、まことに潤いのない日々を暮して参りました。この欠を補いたい、補わねばならぬとは町民のひとしく考えるところでありますが、限りある町財政では中々意にまかせないと考えられます。
 然るに過日発令されましたモーターボート競走法の第十二条第一項の規定に基いて、常滑町が指定の町村として選ばれるならば、斯る懸案は一挙に解決を見るので、つとに町当局、町会議員を始め具眼の人士は、
 「常滑町がモーターボート競走場設置箇所として将して適地であるか」
 「競走施行者として将して所期の目的を全うし得るか」
 の二点に就いてつぶさに調査研究を致しましたが、何れも満足さるべき答を得たので、既に常滑町長は町議会の議決書を添へて御会ヘモーターボート競走場指定申請書を提出してゐますが、この願書は単に常滑町の民意を挙るのみのものではなく、西浦、鬼崎両町からも熱烈なる応援を得て居るものであります。
 幸ひ御会の御指定が有りますれば、私達は直ちに理想設備の着工にかゝり、遅くとも来年のレースシーズンには競走会を開催致したいと念願し、其の用意も一応完了を見て居ります。
 常滑町はこの純益金で
一 住宅地の開発
二 道路網の拡充
三 上下水道の敷設
四 総合病院、公民館、消防署、保育園、母子寮、養老園、図書館、陶器博物館等の新設
五 交通機関の整備
六 土地改良と砂防、植林事業の推進
七 保健景勝地の確保
八 産業振興機関の補強
等の八大項目を目論見、全町民の福祉に万全を期し、西浦鬼崎両町を含む産業都市、文化都市として、名実共に備えた大常滑市の基礎を十二分に固めようと発願したのであります。
 これは亦、私達の総意であり、切なる願望であります。
 何卒本町にモーターボート競走法第二条第一項の規程に基く御指定が戴けますよう、町民六、八五六名の連書を以てに歎願申上る次第であります。
昭和二十六年十二月十日
 競走法第二条第一項の規定による指定申請書を常滑町長より地方財政委員会委員長野村秀雄氏に提出するも昭和二十七年六月四日次の事由にて却下さる。
一 純益金配分の内容について町村財政の収入となる額が極めて少なく、地方財政の改善を図るものとは認め難い。
二 モーターボート競走場建設費と埋立工事費との関連及びその事業内容、財源調達方法につき明確を欠くこと。
三 勝舟投票券売上高の見積過大の恐れがあること。
昭和二十六年十二月十日
 全国モーターボート競走会連合会会長足立正氏に常滑町長より登録規則第三条による競走場建設の事前審査申請書を提出する。
昭和二十七年一月二十四日
 同上承認さる。
 但し、これには次の条件が付されていた。
 「本競走場の今後の運営について、大野町と全面的に協力せられたい。」
 大野町は知多半島西海岸の中央に位する常滑町に隣接する人口四千二百の町で、遠く江戸時代より海水浴場としてその名を知られ、わけても海に対する関心は非常に強く、このモーターボート競走法が公布されるやいち早くこの事業に目をつけ、一つにはこれにより町財政の充実、また一面にては観光客の誘致策にと異常な程の強い関心を示し、競走場設置については平野昭三町長(現在常滑市収入役)自ら熱心に研究もし関係各所への運動等をしたものであるが、最終的には常滑町と合同して実施したらどうか・・・と愛知県より指示され一歩後退した等の経緯があり、連合会もこの辺の事情を察し特にこの但し書が付されたものと思われる。
昭和二十七年二月十九日
 株式会社常滑モーターボート競走協会発起人総会開催。
 主たる発起人は、常滑町会議長水上義介氏、同副議長水野由吉氏、同議員山本庄太郎氏、北条、瀬木、奥条、保示、山方、市場の各字区長、体育協会会長滝田円四郎氏、常滑商工会会長富浦量裕氏等が名を連ね、これに不二窯業株式会社社長杉江達太郎氏を初め地元(常滑・西浦・鬼崎町)産業界を代表する各会社社長が参加、その他社団法人育生会副会長鵜飼鍬吉氏(名古屋市)、名古屋鉄道株式会社専務取締役千田憲三氏(名古屋市)、知多乗合株式会社社長内田佐七氏(知多郡内海町)等も加わられてその数三十三名であった。
 もともと競走場誘致の発案は前述のとおり町当局ではなく、時の町有力者の間に起り隣接の西浦、鬼崎両町の賛同を得発達したものであって、これ等の人々の構想によれば当初より伊奈町長の了解を得株式会社を設立し競走場の建設並びに運営に当たり、常滑町は施行権のみの所有者とするもののようであった。
 会社が企画した競走場建設のアウトラインは、先ず競走場は既設の類似競走場等を参考にし、最も近代的な設備を有するものとし、次に建設工事施行に伴い十数万坪の埋立地が出来るので、これに一大観光施設を併設し、名古屋より電車で四十分の常滑の町を、ある時は豪快なるモーターボート競走に激務の疲労を癒し、又ある時は都塵を離れたレクリエーションに明日の英気を養うことの出来る最も快適なる仙郷の地とし、もって法本来の趣旨を達成せんとする雄大なものであった。
 競走場建設工事計画の概要としては
面積 約一五〇、〇〇〇坪
海面諸設備
防波堤工事 六〇〇米
三六、〇〇〇千円
護岸及埋立工事 一、四一〇米
三五、三〇〇千円
浚渫工事 九三、五〇〇立方米
一三、八三〇千円
計 八五、一三〇千円
陸上諸設備
階段観覧席 三七〇米
三二、五六〇千円
平場観覧席 六、六五九平方米
三、四七七千円
建物
木造瓦葺平屋建、本館、ボート格納庫、舟券売場、払戻所、入場券売場、執行委員室、警察官室、事務室、倉庫、便所、浴室
五一九坪
一一、七六二千円
諸設備
外柵、金網張、電気設備、場内電話、其の他
七、八〇一千円
警備艇 二隻
四〇〇千円
計 五六、〇〇〇千円
工事費合計 一四一、一三〇千円
 と、当時としては莫大な工事費を目ろんだことは、関係者が如何にこの事業に期待をかけていたかが頷ける。
 会社はこの競走場を建設し、施行者たる常滑町の利用に供し、其の賃貸料を得るのを主な業務とし、併行して海事思想の普及、地方産業及び観光事業への協力、埋立地利用による地方開発への寄与等の事業をも営まんとすることが計画され、その主たる事業収入となる賃貸料見込額を、勝舟券売上高から払戻金及び諸納付金合計の八三%を控除した残額及び入場料の七〇%を会社収入と予定した。
 これにより運輸省船舶局の調査資料等を参酌し、一年六〇日開催し、一日の入場者を一万人、入場料三〇円(内1/2入場税)、又一人当たり売上げ一、〇〇〇円の計算に基づいた一ヵ年の会社収入は
施行者よりの入場料収入  六、三〇〇千円
同     勝舟券収入 七一、四〇〇千円
雑収入(出走表売上等)  六、五〇〇千円
計       八四、二〇〇千円
 となり、支出合計五八、八〇〇千円を差引いた二五、四〇〇千円が差引利益金となり、これを税金引当金、株主配当金等に当てる収支予算案が樹てられた。
 会社資金計画としては、競走場設備費一四一、一三〇千円を主とし合計一六〇、〇〇〇千円を要し、これに対しては会社設立の際、株式払込金一〇、〇〇〇千円、新株発行による株式払込金三〇、〇〇〇千円、埋立地の一部売却代一二〇、〇〇〇千円、計一六〇、〇〇〇千円にて賄うこととし、新株発行及び埋立地売却と工事費支払との時間的ズレに対しては、金融機関から一時融資を仰ぐこととしたのである。
 町当局もこの案を了承しており、発起人総会開催を機として競走場の建設主体について次のように決定した。
一 常滑町に建設せらるるモーターボート競走場は、株式会社常滑モーターボート競走協会が自己資金を以って建設する。
二 競走場は常滑町字鯉江新開地先海面に設置せられるが、陸上施設は常滑町企業に係る町有埋立地を一時無料借用して諸設備をなす。
三 町有埋立地はその総面積六九、〇五八坪余であるがモーターボート競走場陸上施設に使用する面積は、昭和二十七年度中に出来る約二〇、〇〇〇坪と、既有常滑町所有地一〇、〇〇〇坪余を使用する予定である。


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