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10. 海は、干潟の生物によってきれいにされているが、陸や森も、きれいにされているのだろうか?
 これは質問の意味がはっきりとはわかりませんが、きっと次のような意味なのかな?
 
 海は、干潟の生物によってきれいにされているが、陸や森も(干潟の生物によって)きれいにされているのだろうか?
 
 または次のような意味なのかな?
 
 海は、干潟の生物によってきれいにされているが、陸や森も(そこに住む生物によって)きれいにされているのだろうか?
 
 質問の意味が最初の方だとします。
 干潟の生き物は干潟で生きているのだから、森や陸まできれいにしているわけではありません。
 
 でも全く関係ないとは言い切れません。例えば、干潟やその周辺に住んでいるアシハラガニやコメツキガニは土に穴を掘ります。そのことによって、土の奥の方まで酸素が届くので、いろいろな生き物が土の中で生活できるようになります。そうすると土の中にたまっていた汚れの原因(有機物)を分解してくれます。
 
 
 
 
 また、森や陸から出た汚れが川に流れれば、その汚れは干潟に到着します。そうすると干潟の生き物たちが分解してくれることになりますので、間接的に、森や陸をきれいにしていることになります。
 
 次に、質問の意味が2つ目の方だとします。
 干潟が干潟の生き物たちによってきれいになっているのと同じように、陸だって、森だって、そこに住む生き物たちにきれいにしてもらっています。
 
 皆さんが道路にアメ玉を落としても、しばらくすれば、アリたちがそれを運び去ってくれますね。犬が道ばたでウンチをしても、ハエがそれを利用しますし、たくさんのバクテリアがそれを分解してくれます。
 
 
 森に落ち葉がたまっても、いろんな昆虫がそれを細かくしたり、食べてくれます。昆虫が細かくした落ち葉は、ミミズたちが利用しますし、ミミズのウンチはバクテリアが分解します。だから森が落ち葉であふれることもありません。
 
 それから、みなさんは、堆肥(たいひ)という言葉を知っていますか?堆肥というのは、落ち葉や雑草などを積み重ねて、腐らせてつくった肥料のことです。私が子どものころには、校庭の片隅で堆肥を作っていました。
 
 
 落ち葉や雑草は、そのままではただのゴミですが、ミミズやバクテリアが分解してくれることで、きれいになるだけではなく、環境にやさしい肥料にもなります。自然の森や林にはえている草や木が、肥料をあげなくても大きく育つことができるのは、虫やミミズやバクテリアが肥料を作ってくれるからなのです。


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