日本財団 図書館


<参考>
【おろし生にんにくの臭い】
目的:
 生ごみスラリーと外観性状が似ているおろし生にんにくを材料に選び、同様な水質分析項目で測定してみた。さまざまな食品素材が生ごみとなったときの有機物負荷を調べ今後の基礎資料を得るのが本試験の目的である。
 
品名:無臭にんにく 原材料:無臭にんにく・食塩
生ごみスラリー 2/7 おろし生にんにく 3/19
【外観】 黄色粘土状 透明感のあるゼリー状
【臭気】 酸味刺激がある生ごみ臭 なし
【含水率】 49.7% 65.4%
【PH】 3.9 4.1
【SS】 165,000mg/l 測定せず
【BOD】 250,000mg/l 200,000mg/l
【COD】
 クロム
 マンガン
 アルカリ
 
540,000mg/l
250,000mg/l
100,000mg/l
 
530,000mg/l
370,000mg/l
68,000mg/l
 
有機物で見ると結構似通っている性状である。
 
【コーヒー及びコーヒーかすデータ報告】
コーヒーかす(以下、かすと記述)の含水率を測定 5回平均 62.3%
乾燥かす 209秤量、蒸留水500ml、ミキサー5分間攪拌
かす溶出液原液を上記条件で作成
 
分析項目:
PH、SS(コーヒーはなし)、BOD、CODクロム、CODマンガン、CODアルカリ、リン酸態リン、アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素(栄養塩類については迅速水質分析計を用いて測定)
コーヒー かす
【PH】 5.00(34.0℃) 5.56(24.1℃)
【SS】 - 2,200mg/l
【BOD】 7,000mg/l 8,500mg/l
【COD】
 クロム
 マンガン
 アルカリ

12,000mg/l
9,400mg/l
6,500mg/l

13,000mg/l
8,200mg/l
4,200mg/l
【リン酸態リン】 69mg/l 33mg/l
【アンモニア態窒素】 17mg/l 10mg/l
【亜硝酸態窒素】 不検出 不検出
【硝酸熊窒素】 不検出 不検出
 
 これのみのデータで決定することはできないが20gのかすと500mlコーヒー抽出液(砂糖、ミルクなし)はほぼ同じ有機物負荷とみなせる。
 
課題:
(1)条件を各種変動させてデータを積み重ねる。
(2)乾燥かす20gはコーヒーかす55gに相当する。
出来立てのコーヒーかす(湿った状態)55-60gがコーヒー500mlに相当
(3)茶類(緑茶、紅茶、ウーロン茶)についても行う必要がある。
 
【有機物データ報告】
目的
 バイオガス発生プラントの有機物入力、各工程の有機物濃度変化、残液(有機物出力)を測定し投入有機物からどの程度のバイオガス発生が見込まれるかを推定する目的で本調査をおこなった。
 
バイオガス発生プラント工程説明
1. 生ごみスラリー 有機物入力
 生ごみを破砕粉砕し水を加えると粘土よりもやわらかい固形物ができる。これは流動性がありポンプで送ることができる。生化学的作用によりこの段階で有機物の一部がガス化している。外観は黄色・酸味のある生ごみ臭が特徴である。
 
2. 加水分解槽 有機物の可溶化
 有機酸(酢酸、プロピオン酸等)が生成し同時に固形状の有機物が液状化する。濃厚な液体であるが流動性は生ごみスラリーより良好である。低分子の有機酸類がバイオガスの原料となる。有機物としてはBODで計測される。外観は茶褐色で酸味のある刺激臭とごみ臭がある。有機酸濃度に関してはHLPC(高速液体クロマトグラフィー)による蓄積データがある。
 
3. メタン発酵槽 バイオガス(主にメタン)生成
 内部は完全な無酸素状態(嫌気的条件、還元状態)である。絶対嫌気性細菌(酸素があると生存できない)であるメタン菌が生息している。有機酸類を栄養源として摂取し、生化学的代謝の産物としてメタンガスを体外に排出する。
 
有機酸→メタン菌→メタンガス(バイオガス)生成
 発生するのはメタンガスばかりではない。嫌気的条件ではまねからざるガスも発生する。硫化水素ガス、アンモニアガスなどがある。
硫黄化合物→硫酸還元菌→硫化水素ガス
窒素化合物→アンモニア産生菌→アンモニアガス
有機化合物の一部→水素産生菌→水素ガス
 
 メタン菌を高濃度に保ち他の嫌気性菌を低濃度にする技術開発は多くの試みがなされているがいまだこれといった決定打がない。外観は暗黒色で鼻につんとくる刺激臭があり(所謂ドブ臭)いい印象は持ち得ない。鉄と硫黄が化合した硫化鉄が黒色成分である。これと化合した有機物は難分解性であり後処理の課題となっている。発生ガスによるタンクや配管の腐食対策、ガス漏れには細心の注意が必要である。
 
4. 分離層 液状部分と泥状部分の分離
 基本的にはメタン槽と変わらない。バイオガスの抜けた脱離液には増殖したメタン菌が含まれている。静置分離により上澄み液とメタン菌の濃縮された泥状部分の固液分離を図っているが不十分である。何らかの工夫が必要と思われる。脱離液水質はメタン槽よりもややましな程度で公共水域はむろん下水道にも直接放流することはできない。脱離液(分離槽の上澄み液)は処理しなければならないが効率よく行う必要がある。バイオガス発電で産生される電力以下のエネルギーでまかなわなければならない。これをなしえなければ21世紀の施設として意味がない。
 
分離槽の意義
 静置分離→上澄み液(脱離液)、メタン菌の濃縮した泥状部分は、濃縮されたメタン菌はメタン槽へ戻される。
 活性あるメタン菌を高濃度に保ち、処理しやすい上澄み液(脱離液)を得るのが分離槽の課題である。現時点での水質データ(BOD,COD)では無処理で放流する場合、100倍量の希釈用水が必要であり、この費用と使用電力量から最適な脱離液の処理システムが選択される必要がある。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION