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2-2: 海洋生物環境研究所
 
 
 海洋生物環境研究所では、まず研究所の概要をまとめたビデオを拝見し、研究所の目的や日頃の活動概要を理解しました。その後の施設見学では、研究者から、温排水の影響を調べる実験の方法や結果、研究対象生物を計画的に増やす技術や設備などの説明を受けました。研究所では、研究対象となる生き物のエサを必要に応じて作り出せる技術の重要性を知ったことが、参加者には大きな発見だったようです。また、生き物の成長の様子や変容を、克明に記録するための手法についても詳しく見ることができ、子どもたちにも命が生まれる瞬間を見せてあげたいとの声が多く聞かれました。
 
2-3: 出雲崎漁港
 
 
 出雲崎漁港では、漁を終えた漁船の水揚げ風景と出荷するための箱詰め作業を見学しました。漁船の乗組員さんやご家族が総出で、種類ごと大きさごとに、氷を敷いた発砲スチロール箱に詰めていました。普段の食卓には登場しない魚も多く、見受けられました。仕事の邪魔にならない程度に質問をさせて頂きました。漁港では、日々の生活で口にする魚がだれによってどのように供給されるのか子どもたちはあまり気にしないのが実情だが、ぜひ自分たちの目で見させてあげたいとの声が聞かれました。参加者自身も、デジカメで珍しい魚を撮影しつつ、柏崎の海でも種類豊富な魚が捕られていることに驚いていました。
 
2-4: 観音崎
 観音崎では、砂浜から小さな港を通り、露頭の下にある磯を見学に行きました。そこでは、磯に暮らす生物の特徴や、海草(海藻)についての話を聞きました。実際に、数種類の海草(海藻)を採り、それぞれの特徴を確認しました。また、磯自体が比較的安全に観察活動が出来る場であり、磯を学習資源として位置づける価値についても参加者から意見が出されました。
 
3: まとめ(教育センターにて)
 
 
 再びセンターに戻り、まとめの作業を行いました。ここでは、巡検中に目にした海や生物、人の営みなど、さらにそこから湧き出た疑問を基に、授業の案(アウトライン)を作成して頂きました。
 
■研修を通して感じたこと
 参加者の中には、昨年の研修に参加しその経験が楽しかったからもう一度参加した、また、昨年参加された他の方から薦められて参加した、という方が多くいました。これは、協力している立場からすると、とても嬉しいことでした。
 
 
 昨年の研修と同様、今回の研修でも、フィールドならではの具体性や多様性に富んだ話題の提供ができ、楽しみながら普段暮らす柏崎の海について新しい発見をして頂けたと感じました。参加者ごとに学校の周辺環境や海までの距離など条件は様々ですが、その条件や状況をふまえたうえでなんとか子どもたちに体験や学びの機会を作れないかとの会話が、移動の車中では多く聞かれました。海まで50mもない学校であっても、なかなか海についての学習が出来ないという声が聞かれました。同時に、今回の研修からヒントが得られたとの声を頂くこともできました。
 
 これは、毎日海の側にいたとしても、学びの素材として海を捉える機会が無い限り、海が教室に登場することは難しいということを再確認できた瞬間でした。その意味では、地道な活動ではありますが、参加者の数だけ、海が教室に登場する可能性が高まったと言えると思います。
 
 柏崎市教育委員会の中野主事や、海洋生物環境研究所の三浦研究員と共に企画・実施した研修により、参加者自身の中に地元の海に対する興味が増したこと、また研修での出会いを通じて地元で研究活動を行う海洋生物環境研究所への理解が深まったことなど、予想以上の成果が得られました。もちろん当初のイメージ通り、参加者の中に海に関する学びを行おうという意識が芽生えたことが何よりも嬉しい成果でした。
 
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