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2.3.3 中国内陸河川における船型標準化の進展状況
2.3.3.1 京杭運河の船型標準化の進展状況
 
表31 「京杭運河船型標準化のモデル工程」の進展過程
時期 京杭運河船型標準化のモデル工程の進展過程
2003年3月 交通部は北京市において京杭運河船型標準化に関する第一回目の会議を開き、2003年9月までに各項目の前期準備事項を確定した。
2003年7月 交通部は蘇州において第二回の会議を開き、2004年1月1日から正式に「京杭運河船型標準化モデル工程」の実施を確定した。
2003年10月 交通部は済南において第三回の会議を開き、京杭運河船型標準化モデル工程の行動方案を検討し、京杭運河船型標準化の普及事項の研究・手配を行なった。
2003年12月5日 交通部は京杭運河の五省一市を連合して「京杭運河船型標準化モデル工程行動方案の公布に関する公告」を公布した。
2003年12月12日 交通部は江蘇省揚州市において「京杭運河船型標準化モデル工程」のスタート式を開催した。
2003年12月31日 交通部は「京杭運河基準船型の公布に関する公告」を公布し、25種の船型(16種の貨物船、4種のコンテナ船、2種の押船と3種のはしけを含む)を公布した。
出典:MIRU調べ
 
 2004年、中国交通部は「京杭運河船型標準化モデル工程方案」に基づいて、全面的に京杭運河船型標準化の方案を実施した。京杭運河五省一市の各レベルの交通主管部門の共同努力のもとで、船型標準化方案が実施された。
(1)コンクリート船の京杭運河全線における運行禁止の目標は方案どおりに達成した。2004年7月1日から、京杭運河全線におけるコンクリート船の運行禁止を実施してから、効果が良好で、運河船舶の航行速度が加速し、安全性が高まり、運送企業の収益も上がった。
(2)船外機船の解体・改造は着実に進展している。2004年末までに、京杭運河流域五省一市の約9,000隻の船外機船は改造された。うち上海市は2004年末までに船外機船の解体・改造を終え、2005年1月1日から、船外機船の航行禁止を実施した。
(3)標準化した船型の普及方案を実施し始めた。一部の標準化した船型は市場に受け入れられるようになり、例えば4,000DWTの標準化した押船は蘇北運河区間で使用され、江蘇省運河航運公司はこの船型の押し船を4隻建造し、よい経済収益をあげた。
(4)京杭運河船型標準化モデル工程の実施効果は現れ初めた。蘇北運河においてコンクリート船の航行禁止を実施した以降、通航秩序は大きく改善され、事故は減少し、船舶の通航効率も高まった。
 
2.3.3.2 川江及び三峡ダムの船型標準化工程の進展状況
 2003年、三峡ダムの貯水に伴い、航行条件、通航環境及び運送需要の変化が生じたため、中国交通部は「川江及び三峡ダム船舶運送能力の構造調整と船型標準化の研究工程」の実施に着手した。
 
表32 「川江及び三峡ダムの船型標準化工程」の進展過程
時間 川江及び三峡ダムの船型標準化工程の進展過程
2003年6月 交通部は宜昌において川江の船型標準化の準備事項の検討会を開いた。
2003年7月25日 交通部は重慶において川江の船型標準化会議を開き、川江ダムの船型標準化の必要性、緊迫性を分析し、市場のホットポイント及び需要に基づいて、まず揚子江船舶設計院に委託して、40/50/60台の貨物・自動車RO/RO船及び150/200TEUのコンテナ船を設計、2003年12月末までに設計図を仕上げるよう要求した。
2003年8月26日 交通部は「川江と三峡ダム船舶運送参入認証管理に関する公告」を公布した。「公告」によると、2003年10月1日から、船外機船、コンクリート船と木造船の川江及び三峡ダム運送市場への参入は禁止される。新造または改造された各種の非基準の客船、油船、化学工業品船、遊覧船、コンテナ船、乾燥ばら積み貨物船、貨物・自動車RO/RO船の川江及び三峡ダム運送市場への参入も禁止される。
2003年9月 交通部は「川江及び三峡ダム船舶運送能力の構造調整及び船型標準化の研究工程」を中国西部交通建設科学技術プロジェクトとして、大学、大学院及び科学研究設計企業を招いて、標準化船型の開発を行なう。
2003年11月 川江及び三峡ダムにおける初の基準船型(区間運送の客船、フェリー・ボート、油船、ばら積みケミカル船、乾燥バラ積み貨物船を含む)研究・開発企業を確定し、基準船型の研究・建造を全面的にスタートした。
2003年12月31日 揚子江船舶設計院は川江及び三峡ダムの40/50/60台の貨物・自動車RO/RO船と150/200TEUのコンテナ船の基準船型の開発を完成し、中国船級社の評定・審査を通過した。
2004年3月 中国船級社は川江及び三峡ダムの基準船型の中期評定・審査活動を行なった。計画によると、各種の基準船型の開発は2004年内に完成する予定である。
2004年12月1日 交通部は「川江及び三峡ダムにおける運送船舶の基準船型の主要寸法シリーズ」を公布した。
出典:MIRU調べ
 
 2004年12月1日に、交通部は「川江及び三峡ダムにおける運送船舶基準船型主要寸法シリーズ」を公布した。主な内容は以下のようである。
(1)川江及び三峡ダムの基準船型というのは、交通部より公布された「川江及び三峡ダムにおける運送船舶基準船型主要寸法シリーズ」により建造されたまたは主要寸法の要求と一致した船舶を指している。交通部により公布された「船舶技術方案」の中に強制的な指標または項目があった場合、川江及び三峡ダムの基準船型はこれらの強制的な指標または項目に基づいて実施すべきである。
(2)「船舶技術方案」というのは「川江及び三峡ダム運送船舶基準船型主要寸法シリーズ」を満たし、船舶の主要経済・技術条件に対し規範となる技術的な文書である。交通部の「船舶技術方案」の公布していない船型または市場ニーズがある船舶に対して、航運業者は自ら船舶設計企業に委託して、主要寸法シリーズの要求を満たした上で研究・開発を行なう。
(3)交通部は中国船級社に委託して、「船舶技術方案」の内容と項目に対して研究とフォローアップを行なう。「船舶技術方案」の研究・開発及び評定・審査は、技術進歩と安全、環境保護、経済、美観等を総合的に勘案して行われる。具体的には、船舶の大型化と航路等級間の関係、技術進歩に伴う水上運送船舶の構造変更、安全と環境保護への貢献、船舶性能が明らかに改善される重要な技術を、逐次「船舶技術方案」の中に取り入れ、且つ強制的な基準とする。
(4)航運業者は「船舶技術方案」に基づいて船舶を建造すべきである。強制的な基準を除いて、航運業者は「船舶技術方案」に対して修正することはできるが、船舶の主要寸法を変えることができない。船舶設計図の審査、検査、証書の発行などは船舶検査の関連規定と手続きに基づいて執行する。
(5)船舶の建造管理を強化する。各省(直轄市)交通主管部門は船型標準化の宣伝に力を入れるべきである。船舶検験局(処)の責任をはっきりさせ、船舶の建造管理を着実に強化し、船舶建造の設計図の審査、検査、証書の発行などの作業プロセスにより、引渡した船舶が「川江及び三峡ダムにおける運送船舶船型主要寸法シリーズ」の基準と「船舶技術方案」に規定されたその他の強制的な基準に適合することを確保すべきである。
(6)航運業者の関連船舶設計企業に委託して研究開発を行なった「船舶技術方案」に対して、中国船級社はただちに評定・審査を行ない、交通部に報告しなければならない。
(7)交通部は「川江及び三峡ダムにおける航運の構造調整及び船型標準化工程」を実施した。主な目的は(1)非標準船舶の製造を規制する、(2)「安全、環境保護、経済、美観」の要求に基づいて、できるだけ早く川江と三峡ダム航路の特徴に適合したシリーズ船型を開発する、(3)船型標準化の推進を航運市場管理の強化、市場秩序ルールの維持につなげることにある。
 
※重慶市は2007年までにすべての非標準化フェリーの改造工事を完成する計画をしている。
 
 川江及び三峡ダムにおけるフェリー標準化改造を加速するため、重慶市交通委員会は補助資金を約1,000万元増加し、2006年の217隻の基準フェリーの改造工事に充てる。重慶市港航管理局によれば、基準フェリーの改造費は多くの支持を受け、重慶市交通委員会からの補助金は1,941.6万元に達し、巫山、云陽、江津、長寿、忠県など地域の地方政府も補助金を支給し、船主に基準船の建造を奨励する。2005年、重慶市は168隻の基準フェリーを改造し、一部の区、県では2006年の船舶改造工事を繰り上げてスタートした。2007年までに、川江及びダムにおけるすべての基準フェリーの改造を完成する予定である。


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