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欧州における高速船搭載機器に関する動向調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力
 団体名 日本舶用工業会  


3. 高速船技術と欧州造船所の動向
3.1 高速船の船型
 現在世界で就航中の主な高速船船型には以下のような種類がある。
 
単胴型(モノハル)
滑走型
SDS(Semi Displacement Ship)
SSB(Semi-Submerged Bow)船型単胴艇
高速フェリー
双胴型(カタマラン)
高速艇型
HSCC(High Stable Cabin Craft)
SWATH(Small Waterplane Area Twin Hull)
三胴船(トリマラン)
水中翼船
半没翼型(ハイドロフォイル)
全没翼型(ジェットフォイル)
ACV(Air Cushion Vehicle: エアクッション艇)
ホーバークラフト
SES(Surface Effect Ship)
 
 1950年代〜1960年代にかけて、船舶の高速化を目的に、新船型と推進システムの開発が行われた。水中翼船、SES、ホーバークラフト等の高速船型が開発されたのはこの時代である。当初は軍事用に開発された技術は、徐々に商船、特に旅客船にも使用されるようになった。
 1970年代初頭には、ガス・タービンとウォータージェットで駆動される単胴船、及び1970年半ばにはボーイング社のジェットフォイルが登場した。
 技術進歩により、1980年代には画期的な新船型として、ディーゼル・エンジン駆動のウォータージェットを搭載したアルミ製双胴船(カタマラン)が開発された。カタマランは水中翼船等の力学的に支えられた船型に比べ、設計や建造が比較的シンプルで、運航コストも低いという利点がある。また、水中翼船と違い、甲板面積が広く旅客や貨物のスペースが大きくとれる、安定性が高いという優れた特長がある。
 1990年代以降は新造高速船型として、双胴の船首部分を波が貫通するような鋭い形状にすることで、波による動揺と造波抵抗を大きく低減したウェーブピアサー(波浪貫通型)のカタマランを採用する船社、海軍が増えた。また、1990年代半ばに制定されたIMOのHSCコードがカタマラン船型の普及に拍車をかけた。逆に、水中翼船やホーバークラフトは、既存船、新造船とも大幅に減少した。
 下表のように、世界で過去10年間に就航した速力30ノット以上の高速船は、ほとんどが旅客船または貨客船で、そのうち80%がカタマラン船型である。
 単胴船の例としては、1998年イタリアFincantieri造船所で建造されたMVD3000「Jupiter」がある。同船は、全長145.6m、満載排水量3,900t、速力40ノットの鋼製単胴船で、旅客1,800人、車輌460台、トレーラー30台の積載能力がある大型船である。しかし、大部分の高速船は全長70〜100mで、速力35〜50ノットのHSCが多い。一方、大型高速船は車輌甲板を持つ高速貨客フェリー、または高速クルーズ客船である。
 高速カタマランは、水中翼船等とは異なり、船体の浮力を利用して水上に浮かぶ排水量型のため、大型化も比較的容易であり、旅客・貨物の輸送に適しており、現在のHSC貨客フェリーの主流となっている。
 また、2005年5月には、世界初のトリマラン型貨客フェリーが就航した。
 
高速船(30ノット以上)の船種別隻数
船種 隻数
旅客船 290
 内、 単胴船(モノハル) 旅客 16
旅客・車 39
多胴船(マルチハル) 旅客 142
旅客・車 90
ホーバークラフト 旅客 2
ハイドロフォイル 旅客 1
オフショア船 5
パトロール船 3
自動車運搬船 2
合計 300
出典: Lloyd's Fairplay資料より作成。2005年7月現在。
注:1995年1月1日以降竣工の新造船。建造予定を含む。
 
3.2 欧州造船所の動向
 過去10年間に建造された30ノット以上の高速船の3分の1近くが、オーストラリアで建造されており、その2大メーカーはAustal(44隻)とIncat(23隻)である。両社は米国でも高速船を建造している。
 両社にとって欧州は最も大きな市場で、欧州で運航されている中・大型高速旅客船もAustalとIncatで建造されたものが多い。
 欧州で高速船を建造している造船所としては、ノルウェーのFjellstrandが30隻で最も多く、同社はシンガポールにも系列造船所を持っている。次いでイタリアのFincantieriが13隻、同じくイタリアのRodriquezが8隻となっている。
 
高速船(30ノット以上)建造国別隻数
国名 隻数
オーストラリア 95
ノルウェー 43
シンガポール 42
米国 27
イタリア 23
英国 11
日本 10
中国 7
フランス 5
イスラエル 5
オランダ 4
スペイン 4
カナダ 3
デンマーク 2
韓国 2
その他・不明 17
合計 300
出典:Lloyd's Fairplay資料より作成。2005年7月現在。
注:1995年1月1日以降竣工の新造船。建造予定を含む。
 
3.2.1 Fjellstrand(ノルウェー)
 Fjellstrand造船所はノルウェー西海岸Omastrandに位置し、創立は1928年。1952年にはアルミ製船舶の建造を開始し、1976年には最初の双胴船を建造した。現在では主に双胴船型の小・中型高速旅客・貨客フェリーの設計、建造をしており、これまで世界37カ国から約150隻の高速船を受注している。特に欧州では採用実績が多い。
 現在の建造船型は、JumboCat 60/70/150、FlyingCat 30/40/46/52、FerryCat 12である。高速船は、オーストラリアAustal、Incatよりも小型のカタマランが多い。
 次世代船型としては、ディーゼルまたは天然ガス・エンジン駆動で、アジマス・スラスターを搭載したFerryCat 240を開発中である。
 同社は、独自の減揺装置MDS(Motion Dampening System)を大部分の新造船に搭載している。
 
Fjellstand FlyingCat 40
 
例:FRS社「Halunder Jet」(FlyingCat 53)
出典:FRS、Fjellstrand
 
3.2.2 Rodriquez Cantieri Navali(イタリア)
 1887年設立のRodriquez Cantieri Navaliは、イタリア国内に4カ所、ブラジルに1カ所の造船所を所有し、高速船の開発・建造にも長い歴史を持つ。
 同社は、1956年に世界初の商用水中翼船を建造、1993年には47ノットの最速貨客フェリーを建造した。また、世界24カ国の軍用、商用、ヨット及びプレジャー・ボート市場向けに、グラスファイバー、アルミ、カーボンファイバー、鋼製の14〜150mの単胴船、カタマラン、水中翼船300隻以上を建造した実績を持つ。
 1997年には、設計・開発を担当する子会社Rodoriquez Engineering、翌1998年には、関連舶用機器の開発・販売を担当するRodoriquez Marine Systemsが設立された。同社は、コンピューター制御の減揺装置S.M.S.(Seaworthiness Management System)の特許を持つ。
 
例:モノハルHSC AQUASTRADA TMV 84「Ramon Llull」の要目概要
出典:RINA、Rodriquez


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