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岸田 袈裟(きしだ けさ)
(昭18.4.5生)ケニア共和国
 
 ケニアの村々に日本のかまどや、わらじを普及させて乳幼児死亡率の低下と感染症予防の効果を挙げると共に、浄化糟の設置、薬木・薬草栽培、エイズ孤児の支援等により地域住民の福祉の向上に尽されている。
(推薦者:八木 繁実)
 
Ms. Kesa Kishida
(Born on April 5, 1943)
Republic of Kenya
 
 Ms. Kishida introduced and spread the use of Japanese ovens and straw sandals in Kenyan villages, dramatically lowering the infant mortality rate and preventing infectious diseases. She is also contributing to the improvement of the welfare of the region's people through establishing water purification tanks and household herb gardens, and supporting AIDS orphans.
Recommended by Mr. Shigemi Yagi
 
 岸田さんは栄養学の研究員として1970年代半ばからケニアに在住し、村々を歩いて調査を続ける傍ら、貧困や部族闘争で生じた孤児や不遇な子供達の支援を夫君と共に始めた。その孤児支援の輪が広がり、1985年、NGO「少年ケニヤの友」を仲間と共に立ち上げその中心となった。その活動は、孤児への奨学金支援からミシン洋裁指導等の職業訓練、サッカー試合やチャリティーコンサート等のスポーツ・文化活動へと拡大し、現在はエイズ孤児支援活動が主になりつつある。
 ケニアの村々で住民の生活向上のため多年にわたり活動を続け、大きな成果を挙げてきた岸田さんを、村人達は「キシダママ」の名で慕い、絶大な信頼を寄せている。その主な活動は以下の通りである。
(1)郷里の岩手で修得した「かまど」や「わらじ」の作り方を現地に合わせて改良し導入した。「かまど」の利用で煮沸湯が恒常的に利用可能となり感染症や乳幼児死亡率が劇的に低下し、使用薪量もほぼ4分の1に減って森林保全効果をもたらし、子供達の薪拾い労働を軽減した。現在「かまど」は10万世帯以上に設置され数百万人に裨益している。また、「わらじ」は素足の傷口からの感染症を防ぎ、湧水の浄化糟の設置で住民に安全な水を提供しようとしている。
(2)学校や家庭で地域に自生する薬木や薬草を栽培させ、経済的理由で医療施設に行けない住民の「家庭救急箱」とし、熱帯雨林の保全にも繋げている。
(3)エイズ罹患率の高いビクトリア湖上の島々のボートによる巡回診療、啓蒙活動の推進、エイズ孤児の支援を行い、移動図書館による教育支援の計画を進めている。
 
受賞の言葉
 アフリカの庶民と共に生活して30年。
 この度、祖国日本での受賞は、思いもかけなかったことで、感激いたしました。また、大いなるお励ましを頂戴いたしました。人類の発祥地と言われるアフリカは、私達現代人に、色々な示唆を与えてくれる所です。貧しさの中にあっても、心豊かな人間愛あふれる人々の笑顔に包まれながら、今後も日本人の慈悲の精神を以って、命の尊厳に少しでもお役に立てる生き方をしたいと思っております。
 ありがとうございました。
 
 
森林保全活動
 
ごみの分別指導
 
こども図書館
 
現地で普及した「わらじ」


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