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空家修復ワークショップ(1)
なかやを直す意味
長い時間毎日、火を焚いた囲炉裏でさえ、人が消えれば自然に飲み込まれていく。
 
*古民家「なかや」の特徴
◎厩が残る◎かまどもある◎囲炉裏もある◎茅葺屋根が残る時間の流れを彷佛とさせる「なかや」
 
 誰も住まなくなった家は、こうも荒れ果ててしまうのかと思うほど「なかや」は凄まじいものでした。
 傾いた扉から、家に入ると囲炉裏から生える竹、傾く床、下がる屋根に誰もが驚かされました。現実的には途方もない修復です。
 しかし、人間の想像力は、不思議です。
 「直したらかまどがつかえる、この部屋は囲炉裏を直して使えばいいなあ。古い民具を入れればいい雰囲気の農家レストランでもできるかな。」
 新しいものと古いものを盛り込んで、これからの「なかや」の未来のイメージを描くことができます。
 一方で、現場を積んだプロの技と知恵が必要でした。
 多くの人手が揃ってこそ可能な作業もありました。そして、修復のヒントは、そこに暮らす住民しか知らない土地の特徴にありました。
 つまり、ここを直すには、外の人の「力」と、中の人の「知恵」が必要だったのです。この家をほどき新しく組み立て活用していく共同作業こそ「なかや」を直す意味なのだと気づきました。
 
なかやから出てきたもの
(拡大画面:122KB)


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