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8月6日(土)
本日のスケジュール・内容
1)セブ市内視察後、マニラヘ移動
2)Barua先生宅での夕食
 
1)セブ市内視察後、マニラヘ移動
 当日の朝、飛行機がキャンセルされるハプニングに見舞われ、急遽、午後までの時間、束の間の休息が取れることとなった。Mrs. Limのご厚意による案内でセブ島を回る観光組と、ホテル居残り組とに分かれ、思い思いに過ごすこととなった。久しぶりにゆっくりできたことで、マニラに向けてのエネルギーを蓄えることが出来たように思う。
 セブ島滞在中ずっとご同行して下さったMrs. Limとは、本当に感謝しつつも空港でお別れすることとなった。飛行機の待ち時間には早速マニラに向けての予習をする、みんなの真面目な一面が見られた。飛行機は順調にマニラに到着したが、到着時、既に日は暮れていた。WHOの公用バスに出迎えていただき、セブ島と違う近代的なマニラの町並みにみんなで眼を凝らし、今後への期待に胸を膨らませていた。
 
束の間の休息。この後ユイユイが・・・!
 
最後までお付き合いくださったMrs. Limと
 
2)Barua先生宅にて夕食
 飛行機の遅れにより、空港から直接Barua先生宅へ向かうこととなった。なんと夕食にご招待いただいたのである。ちょうどお腹も空く時間となった私達は、バングラデシュカレーを心待ちにしつつ、夜景のすばらしい高層マンションの豪華な一室へと足を踏み入れた。期待を裏切らない素敵なお部屋には、Barua先生と奥様、二人の娘さんの他に、WHOの佐藤先生がいらして、私達を出迎えて下さった。カレーを始めとするたくさんのおいしい料理に舌鼓を打ちながら、みんなリラックスして、様々な話に花を咲かせることとなった。
 流暢な日本語をお話になるBarua先生ご家族と、我らが西村先生のグループは、リハビリや健康増進のためには、もぐら叩きゲームのように、自分から進んで楽しんで使用できる器具の開発が大切であるという意見で盛り上がった。
 また一方では、佐藤先生が、自分がWHOに来た経緯、WHOでの仕事内容などを説明して下さり、学生からの質問に熱心に答えて下さっていた。
 笑い声の絶えない素敵な夜であった。 (文責:金子)
 
佐藤先生との歓談
 
Barua先生ご家族と一緒に
 
8月6日 今日の一言
岡田:今日は予備日。少しゆっくりした時間の中、みんなでおしゃべりしたりビーチで体を動かした後、セブの歴史を見てまわった。夜はManilaのBarua先生宅で手作りの美味しい夕食に舌鼓を打ちながら、佐藤先生も交えてフランクな空間を楽しむことができた。本当に一つ一つ勉強になることばかり。知らなかったことを知るのは気持ちがいい!
金子:飛行機の遅れもあり、ゆっくり充電できました。肩が痛い・・・。マニラ到着後、Barua先生、佐藤先生とお話していたら、だんだん血が騒いできた!
貞方:マニラに到着。セブとは違い大都会だ。Barua先生宅では心づくしのおもてなしに感動し、二人のお嬢さんと盛り上がった。
:マニラヘのフライトが遅れたため一日セブを満喫することができた。観光に付き合ってくれたLimさんに感謝。素晴らしい夕食の一時を提供してくれたバルア夫妻にも感謝だ。今日は日本で60年前原爆が落ちた日だった。合掌。
飛永:セブからマニラヘ。住宅の密集具合、高層建築物の立ち並び方、ネオンや街灯が街を彩る。さすが首都だ。ここの人々の暮らしはどのようなものだろう。
福永:Barua先生のホスピタリティーに感激。奥様の手作りカレーはとても美味しかったです。
今井:ビーチバレー、海!最高に楽しかった。セブ観光もできたし、レチョンも食べた。ドリアンまずいわ、やっぱ。Barua先生の奥さんの手料理はとてもおいしくて、またまた食べすぎ。みんなとも情報交換できて良かった。
関谷:朝から浜辺で水着を着てビーチバレー!西村兄貴も参戦し、白熱した試合となりました。バレーにプールに、つかの間の休暇を楽しみました。ハンモックから落ちて頭をぶつけたのは不覚でしたが・・・。恥ずかしかったです。Barua先生の奥さま手作りのバングラデシュカレーは絶品でした!
筒井:朝からやっちゃいました・・・ビーチバレー。なんて健康的な・・・ってか、睡眠足りないよー。リゾート満喫、フルーツ満喫、料理も満喫、観光満喫。つまり・・・だな、セブ満喫!です。みんなで、ドリアン食べましょう。
船橋:ドリアンを満喫!身近に美味いフルーツが沢山あるのは幸せな事だと思う。機内から見えたマニラの街は新宿の高層ビル群の様だった。
赤木:セブの青い海ともお別れ。マニラはセブとはうってかわって東京を思い起こさせるような大都市だ。明日からの研修が楽しみ。
城下:セブ語:トレインタ・ミヌートス−スペイン語で30分という意味だが、Mrs. Limの会話と運転手との会話の中で明らかに聞き取れた。スペイン語がかなり残っていることに感動。DOHの人とスペイン語会話を試みたが、英語より話がはずんでしまったのは少し寂しい。
平野:マニラヘ着いて、Barua先生のお宅へ直行。おいしい料理を用意していただき、あたたかく迎えてくださった。はじめて会った私達にここまでしていただけるなんて、Barua先生、見習いたいです。
鈴木:昨日の落ち込みどこへやら、絶叫、最強バナナボート!そして、驚く程の都会なマニラ、素敵な歓迎Barua先生ファミリー!心も体も癒される。美味しいタ食に大はしゃぎ!
 
8月7日(日)
本日のスケジュール・内容
1)Barua先生の講義
2)NGOフィールドワーク
 
1)Barua先生の講義 Manila Pavilion Hotelにて
 当初、Barua先生の講義は前日のマニラ到着後に予定していたが、セブ島で搭乗予定だった航空機が遅延となったため、急遽予定を変更していただき、NGO見学出発前にお時間をいただくことができた。Barua先生は現在はWHO西太平洋地域事務局で結核・ハンセン病担当官をなさっているが、現在に至るまでのお話や医療者の目指すべき姿勢などを2時間にわたりお話いただいた。
 
 「まず、みなさんに自己紹介と、どうして医学部に入ったのかをお話してもらいたいと思います。(各自、自己紹介。それぞれ医学部入学にいたった理由を熱く語った。)みなさんはそれぞれよく考えて医学部に入学されたようですね。医学部に入る学生の中にはどうして自分が医学の道を選んだのか深く考えたことのない人もいるので、私はよくこの話をします。私達はアイデンティティを意識しなければなりません。この文章を読んでみてください。そして、よく考えてみてください。Who am I? Where do I come from? How did I come here? Where shall I go from here? What shall I do there?
 私はバングラデシュの農村で生まれました。写真を見ていただくとお分かりのようにバングラデシュは日本と違い、まだまだ貧しい国です。このような農村で私は高校生までを過ごしたのですが、12歳のときに、近所のおばさんがお産で亡くなったことがありました。私の母も姉も泣いて悲しみました。村に医者がいれば死ななくてすんだかも知れない死でした。その日、私は医師になろうと決心しました。
 兄が日本の大学の博士課程で学んでいたので、私も日本の大学の医学部で学ぶ予定でしたが、日本の医療は専門性が高く、日本で医学を学んでも自国にその学びを持ち帰るのは難しそうだったので、医学はアジアで学ぶほうが良いと考えるようになりました。そして、日本にいる間はいろいろな経験をするように努めました。長野県で土木作業などの労働をしてお金を貯め、他の国で医学を学ぶための情報収集のために韓国やシンガポールに行って直接、大学の学長に会いに行きました。それにトラックドライバーの生き方を学ぶためにヒッチハイクをしたり、漁師の生き方を知るために北海道に行ったりしました。そのうちに、外国人労働者のパイオニアになっていました。その間に若月先生のことを知り、若月先生に電話をし、お忙しい中でしたがお会いして夢を語りあうことできました。若月先生から他の先生方を紹介していただき、いろいろな方と出会うことができました。そこで出会った方々とのつながりは今も続いています。このような経験をして、いろいろな人とのぶつかり合いが大事であることを学びました。人々の中へ学ぶ気持ちを持って入っていくことの重要性をみなさんにもお伝えしたいと思います。
 日本で様々な経験をした後、フィリピン大学医学部レイテ校に行くことにしました。ここでは最初から医師になれるわけではありません。まず助産師の資格を取り、次に看護師、そして、保健師を経て医師になれます。医師になると診察をするわけですが、そのときには疾病の説明を現地の人が分かるように説明をしないといけません。それに地域の中で自分の技術をそのまま使えるようにしておくことが重要です。また、これは援助するときに注意しないといけないことですが、なにか技術を伝えたいときには現地で手に入るものを使って、現地の人が活用できるものでなければいけませんね。これはPrimary Health Care(PHC)の考え方ですね。PHCではavailable、accessible、acceptable、appropriativeが重要ですね。物や診察だけが援助ではありません。これから国際保健に関わっていく上でPHCのことを認識しながら、そして、自分自身でいろいろな苦労をし、人々と人生を分かち合いながら医療者として人間としていろいろな経験をしていってください。」 (文責:貞方)
 
自分自身のアイデンティティを見つめることの重要性、人々から学ぶことの貴さを熱く語ってくださったBarua先生


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