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4.2 メッシュ修正手法の適用手順
 本研究では、上記で提案する表面メッシュ修正法をFig. 14の手順で適用する。まず、表面四角形メッシュが入力データとして与えられる。ここで、4.1.3節に示したように、最終的には、半分のサイズの表面メッシュが生成されるため、入力データとしては希望する倍のサイズのメッシュを入力データとして与える。次に、ユーザーが制約四角形面を指定する。また、形状の辺や頂点に接する要素は自動的に制約面となる。四角形面消去手法は、制約のない自己交差面のみに適用される。また、自己交差が制約四角形面上に存在する場合には、4.1.2節で示した要素の挿入手法により自己交差を移動する。最後に、残った自己交差面についてテンプレートを適用することで、自己交差の無い四角形表面メッシュデータが生成される。
 
Fig. 14 Flow Chart for Surface Mesh Modification
 
4.3 自己交差除去の例
 Fig. 15に、提案した手法を、不規則な四角形表面メッシュを有する立方体に適用した例を示す。初期入力データとして、156の四角形面がある表面メッシュを与えた。また、初期メッシュには30の自己交差面が存在する(Fig. 15(a))。本研究で提案した手法を適用することにより、自己交差のない表面メッシュ(Fig. 15(b))が得られた。
 Fig. 16に、クランクシャフトモデルに本手法を適用した例を示す。この場合、ハッチ部分の四角形面に制約を与えている。13回の四角形面消去と、13個所へのテンプレート適用により自己交差のない表面メッシュが生成できた。また、制約面へは四角形面消去やテンプレート適用が行われず規則的な四角形配置が得られた。Fig. 17に機械部品の表面メッシュ修正例を示す。Fig. 17(a)の初期メッシュのハッチ部分に制約四角形面が指定されると、Fig. 17(b)上のように、制約部分において規則的配置のメッシュが得られる。Fig. 17(b)下に、制約が与えられなかった場合の結果を示す。この場合、ハッチ部にあった四角形面にテンプレートが適用され不規則なメッシュとなっている。このように、4.1.2節で提案した自己交差面の移動手法が有効であることがわかる。
 
Fig. 15 A Simple Block Model with Irregular Mesh
(a) Original Surface Mesh
 
(b) Modified Mesh
 
Fig. 16 A Crank Shaft Model with Constrained Faces
 
Fig. 17 Mechanical Parts
 
4.4 提案する修正手法の特徴
 本論文で開発した自己交差を取り除くための表面メッシュ修正法の特徴を以下にまとめる。
(1)本論文では、四角形面の消去法、テンプレート手法、及び、自己交差位置の移動を可能とする四角形面挿入手法を組み合わせた、自己交差除去手法を提案した。従来の研究で提案されてきた単一の手法では、自己交差が境界辺・頂点近くにある場合や、自己交差四角形面が複数隣接している場合に良くない結果を与えるが、本提案手法により、より質の高い自己交差の除去を行うことが可能となると考えられる。
(2)一般に、応力集中部等の解析上重要であると思われる場所においては、規則的な四角形面の配置が望ましい。しかしながら、従来の自己交差除去手法では、そのような場所での四角形面の消去法やテンプレート挿入を避けることができないため、質の悪い四角形が生成されてしまう。本手法ではこのような問題を解決するために、自己交差位置の移動を可能とする四角形面挿入手法を提案した。
(3)本論文で提案する手法では、表面の四角形メッシュ生成には、既存の自動四角形メッシュジェネレータの使用を想定している。これにより質の高い初期四角形表面メッシュの提供が期待される。また、本手法では、4.1.3節に示すテンプレートの使用と同時に最終的に与えられた四角形メッシュを4分割することを提案している。これにより、従来法で提案されている一方向を分割するテンプレート等を用いるより、全体としてアスペクト比の良い表面四角形メッシュの生成が期待できる。


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