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日本船舶海洋工学会論文集 第2号

 事業名 造船学術の振興
 団体名 日本船舶海洋工学会 注目度注目度5


6. 結言
 本研究は、石炭と鉄鉱石を運搬するばら積み貨物船の円錐形の腐食ピットが発生している構造部材の局部強度の評価法確立を目的として実施している。本報では、大型ばら積み貨物船の倉内肋骨ウェブと同程度の板厚・板幅をもつ板を対象として、円錐形の腐食ピットが発生している場合の圧縮最終強度をFEM解析により求めた結果に基づき、式(10)で表される最終強度評価式を提案した。本評価式は、検査の際の利便性を考慮し、円錐形の腐食ピットが発生している鋼板の最終強度に対応する等価板厚を式(10)のように、ピット面積率、ピット直径及び部材の腐食前の板厚の関数で表したものである。
 
 
 本評価式により、円錐形の腐食ピットが均等に分布している鋼板が1軸圧縮、純せん断、2軸圧縮、1軸圧縮とせん断の組合せ荷重、2軸圧縮とせん断の組合せ荷重、面内曲げ、及び、面内曲げと圧縮の組合せ荷重を受ける場合の最終強度に対する等価板厚を良い精度で予測可能である。
 本報では、基本的な場合として、直径一定のピットが規則正しく分布する場合について検討した。今後、実際の腐食ピットの発生状況と残存強度の関係を考慮した合理的な切替え基準検討のための基礎データとするため、著者らの一人が開発した腐食の確率モデル[27]により作成した腐食ピットのランダム分布を用いた解析を実施し、異なる直径のピットがランダムに分布する場合に、本評価式中のピット直径Dの値をどのようにとればよいかを検討する予定である。緒言で述べた通り、倉内肋骨ウェブの強度に及ぼす腐食ピットの影響の評価方法を確立することが急務であることから、本論文では、倉内肋骨ウェブと同程度の板厚、板幅をもつ部材を対象とした。これとは異なる寸法を持つ部材に対する本評価式の適用性については、本論文のようなシリーズ計算を実施することにより検討可能であるが、その優先順位は低いと考えている。
 
参考文献
1) T. Nakai, H. Matsushita, N. Yamamoto and H. Arai: Effect of pitting corrosion on local strength of hold frames of bulk carriers (1st report), Marine Structures , 17 (2004), pp.403-432
2)松下久雄, 中井達郎, 山本規雄, 荒井宏範:船体構造部材の静的強度に及ぼす腐食の影響(第1報)―実部材での腐食ピット影響調査―, 日本造船学会論文集, 第192号(2002), pp.357-365
3)中井達郎, 松下久雄, 山本規雄, 荒井宏範:船体構造部材の静的強度に及ぼす腐食の影響(第2報)―人工ピット材を用いた強度調査―, 日本造船学会論文集, 第195号(2004), pp.221-231
4)中井達郎, 松下久雄, 山本規雄:腐食ピットが発生している船体構造部材の引張強度特性, 日本機械学会関東支部第11期総会講演会講演論文集(2005), pp.385-386
5) T. Nakai, H. Matsushita and N. Yamamoto: Pitting corrosion and its influence on local strength of hull structural members, Proceedings of 24th International Conference on Offshore Mechanics and Arctic Engineering, ASME, OMAE2005-67025 (2005)
6) T. Nakai, H. Matsushita and N. Yamamoto : Effect of pitting corrosion on local strength of hold frames of bulk carriers (2nd report) -Lateral-distortional buckling and local face buckling, Marine Structures, 17(2004), pp.612-641
7) T. Nakai, H. Matsushita and N. Yamamoto: Effect of pitting corrosion on strength of web plates subjected to patch loading. Thin-Walled Structures, accepted for publication
8)中井達郎, 松下久雄, 山本規雄:船体構造部材の静的強度に及ぼす腐食の影響(第3報)―模擬腐食ピットを有する構造モデルを用いた4点曲げ試験―, 日本造船学会論文集, 第195号(2004), pp.233-242
9)中井達郎, 松下久雄, 山本規雄:船体構造部材の静的強度に及ぼす腐食の影響(第4報)―横倒れ座屈強度に及ぼす腐食ピットの影響―, 日本造船学会論文集, 第196号(2004), pp.151-159
10)中井達郎, 松下久雄, 山本規雄:船体構造部材の静的強度に及ぼす腐食の影響(第5報)―局部座屈強度に及ぼす腐食ピットの影響―, 日本造船学会論文集, 第196号(2004), pp.161-168
11)中井達郎, 松下久雄, 山本規雄:船体構造部材の静的強度に及ぼす腐食の影響(第6報)―ウェブのせん断強度に及ぼす腐食ピットの影響―, 日本船舶海洋工学会論文集, 第1号(2005), pp.159-167
12)中井達郎, 松下久雄, 山本規雄:船体構造部材の静的強度に及ぼす腐食の影響(第7報)―圧縮最終強度, せん断最終強度に及ぼす腐食ピットの影響―, 日本船舶海洋工学会論文集, 第1号(2005)、pp.169-179
13) T. Nakai, H. Matsushita and N. Yamamoto: Effect of pitting corrosion on the ultimate strength of steel plates subjected to in-plane compression and bending, journal of Marine Science and Technology, accepted for publication
14)中井達郎, 松下久雄, 山本規雄:船体構造部材の静的強度に及ぼす腐食の影響(第8報)―腐食ピットが発生している部材の引張強度評価式の提案―, 日本船舶海洋工学会論文集, 掲載予定
15) IACS, Unified Requirements S-31, Rev.2, 2004
16) J. C. Daidola, J. Parente, I. R. Orisamolu and K. T. Ma: Residual strength assessment of pitted plate panels, Ship Structure Committee Report SSC-394 (1997)
17) J. K. Paik, J. M. Lee and M. J. Ko: Ultimate compressive strength of plate elements with pit corrosion wastage, Journal of Engineering for the Maritime Environment, 217, M4(2004), pp.185-200
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19) H. K. K. Amlashi and T. Moan: On the strength assessment of pitted stiffened plates under biaxial compression loading, Proceedings of 24th International Conference on Offshore Mechanics and Artic Engineering, ASME, OMAE2005-67232 (2005)
20)角洋一(研究代表者), 腐食鋼板の表面形状と応力・強度・変形能の関係に関する研究(研究課題番号14350519), 科学研究費補助金(基盤研究(B)(2))研究成果報告書, (2005)
21)検査技術部:高齢大型ばら積貨物船に関する調査―高齢大型ばら積貨物船調査報告から―, 日本海事協会会誌, No.219(1992), pp.79-117
22)奈良敬, 出口恭司, 福本士:純せん断応力を受ける鋼板の極限強度特性に関する研究, 土木学会論文集, 第392号/1-9(1988), pp.265-271
23)天野麻衣, 渡辺智彦, 宇佐美勉, 葛漢彬:繰り返しせん断力を受ける鋼板の強度と変形能, 第3回鋼構造物の非線形数値解析と耐震設計への応用に関する論文集, (2000), pp.57-62
24)葛西昭, 渡辺智彦, 宇佐美勉, P. Chusilp:せん断力を受ける無補剛箱型断面部材の強度と変形能, 土木学会論文集, 第702号/I-59(2002), pp.129-140
25)矢尾哲也, 宮川佳夫, 藤久保昌彦:加工硬化が板の座屈・塑性崩壊強度に及ぼす影響に関する研究, 西部造船会々報, 第82号(1991), pp.191-198
26)藤久保昌彦:最終強度に関する研究動向, TECHNO MARINE日本造船学会誌, 第882号(2004), pp.743-746
27) N. Yamamoto and K. Ikegami: A Study on the Degradation of Coating and Corrosion of Ship's Hull Based on the Probabilistic Approach, Transactions of the ASME, journal of Offshore Mechanics and Arctic Engineering, 120(1998), pp.121-128


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