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日本船舶海洋工学会論文集 第2号

 事業名 造船学術の振興
 団体名 日本船舶海洋工学会 注目度注目度5


船型フェアリング自動化に関する基礎的研究
正員 勝井辰博*     乗貞光志*
 
* 大阪府立大学大学院工学研究科
原稿受理 平成17年10月14日
 
Fundamental Study for Automatic Ship Hull Form Fairing
 
by Tokihiro Katsui, Member
Koji Norisada
 
Summary
 The ship hull form fairing is one of costly tasks in ship hull design stage. Because the fairing task operators must be trained for a long time to acquire the skills and it is done with manual procedure even though the 3D CAD system is implemented The present study investigates an automatic fairing method for ship hull surface which is created with the combined Coons patch. In past researches concerned with the automatic surface fairing technique, the fairing is carried out by minimizing the unfairness function of the surface with optimization method. The unfairness function is usually defined by using physical property of surface such as strain en energy or by using geometrical property represented by surface curvature. However, it would appear that minimizing the strain energy of the surface sometimes changes the hull form characteristics which should be maintained. On the other hand, most of existing unfairness functions based on surface geometrical property are defined for the surface which have continuous curvature in whole area and are not applicable for the combined Coons patch surface which we use for hull surface creation, because Coons patch surface do not have continuous curvature on the boundary of the patches. Therefore the present study defines several unfairness functions with geometrical property of the surface which can be applicable to combined Coons patch surface and minimize it to obtain a faired hull surface. The present method is applied to the fairing at aft part of tanker type ship. The obtained hull surface after the fairing is smoothened compared with before the fairing and it is considered that the rough fairing is carried out successfully through the present method.
 
1. 緒言
 船型設計は船舶の性能を決める重要なステージである.設計者は船体の主要目決定後,概略線図によって作成した船型に対してデータベースやCFD解析を用いて船舶の諸性能を推定しながら船型を絞込んでいく.最終的には模型船による水槽試験を実施して性能の確認を行い,水槽試験結果の解析から所要の性能が満足されていれば,船型を決定し建造用線図の作成へと移る.船型設計は3次元CADを用いて行われることが一般的で3次元の船型データを建造まで一貫して使用できるよう効率化が図られている.しかし,3次元CADを用いれば必要とされる船型の平滑さが維持されるわけではなく,概略線図が確定した後,模型船用の線図,あるいは建造用の線図を作成するためには船体表面を平滑にするフェアリングと呼ばれる作業が必要となる.この作業は3次元CADが用いられる現在においても,最終的には紙面に印刷された2次元断面線図にバテンを当てて行われているのが現状のようである.この作業は熟練を要する上に作業時間も多く,船型設計の効率化を阻む一因となっている.
 本研究では,船舶CAD内で自動的にフェアリングを行う手法について検討したものである.現在3次元船舶CADとして商品化されている代表的なものは,NAPA Ltd.が開発したNAPA1),Proteus Engineeringが開発したFastShip2)などがある.NAPAでは曲面生成に双3次スプライン曲線の重み付けブレンド手法のクーンズパッチ(Coons Patch)を用いており,FastShipでは非有理Bスプライン(Non-Uniform Rational B-Spline: NURBS)を採用している.本研究では国内の多くの造船所が採用しているNAPAと同じクーンズパッチによって曲面生成を行う簡易的な船型CADを作成し,これに自動フェアリング機能を持たせることを試みた.今回は第一段階として,一見して平滑ではないと判断されるタンカーのような肥大船型に対して,比較的簡便な手法で概略のフェアリングが行うことができるところまでを目標とする.
 曲面の自動フェアリングは曲面の非平滑度を何らかの関数で表し,それを最小化することによって行われるのが一般的である.Randoら3)は曲面のガウス曲率と平均曲率を用いて3種類の非平滑度に関する計量を設定した.曲面の性質に応じてそれらを使い分け,いずれかの計量を最小化することで平滑な曲面が得られるとした.またParkら4)はガウス曲率の変化率が小さい曲面が平滑な曲面であるとし,その最小化によって平滑な曲面が得られるとしている.これら手法は曲面の幾何学的性質に基づいた非平滑度を設定するものであり,単一のクーンズパッチのように曲面内で曲率が連続しているような場合については適用が可能であるが,本研究で扱おうとするクーンズパッチによる複合多項式曲面に対しては,パッチ境界で曲率が不連続となるため適用が困難である.これに対し,金井ら5)は複合多項式曲面に対しての平滑化理論を示している.この手法では曲面のひずみエネルギに基づいた非平滑度を設定し,パッチ接続点での移動距離に制約を設けることで複合多項式曲面の平滑化が行えるとしている.この手法は増田ら6)によって船体のフェアリングに適用された.またHarriesら7)は船体の断面曲線群のひずみエネルギ最小化によって平滑な曲面の生成を試みている.これらのような曲線あるいは曲面のひずみエネルギを最小化することによって曲面の平滑化を図る手法は合理的であるが,何の制約も与えないと曲面が平坦な,極言すれば平板に近づいてしまうことが懸念される.船体表面の形状は,元来設計者の何らかの意図に基づいて作成されたものであり,設計者の意図が平滑化によって失われては不都合である.そこで本研究ではひずみエネルギのような曲面の物理的性質ではなく,曲面の幾何学的性質に着目した非平滑度を定義し,その最小化によってフェアリングを実施することを試みる.クーンズパッチによる複合多項式曲面にも適用できるような独自の3種類の船体表面の非平滑度関数を定義し,その最小化問題を解いた.これによってどの程度のフェアリングが可能であるか,またそれぞれの非平滑度関数がどのような特徴を持つかについて考察を行った.
 
2. 船型CADシステム
 本研究では,船舶CADシステムNAPAで採用されている曲面生成手法のクーンズパッチを用いた簡易的な船型CADを作成した.この簡易CADはMicrosoft Excelで作成された船体のオフセットおよびプロファイルデータを読み込んで2次元断面曲線群を作成し,その曲線群からクーンズパッチによる曲面生成を行うものである.
2.1 クーンズパッチ(Coons Patch)
 クーンズパッチ(Coons Patch)8)は4つの曲線に囲まれた曲面の定義方法のひとつである.この曲面を表す2つのパラメタをu, v(0≤u,v≤1)とし,曲面の4隅の位置ベクトルをQ(0,0),Q(1,0),Q(0,1),Q(1,1)と表した場合,クーンズパッチ,P(u,v)の定義は以下のとおりである.なお,Qu(0,0)などに現れる下添字はその方向への偏導関数を表す.
 
 
H0,0(u)〜H1,1(u)はブレンディング関数であり,ここでは以下に示す3次のエルミート補間関数を用いる.
H0,0(u)=2u3-3u2+1
H0,1(u)=2u3+3u2
H1,0(u)=u3-2u2+u
H1,1(u)=u3-u2  (2)
 各パッチは与えられたオフセットデータから3次スプライン関数によって補間されたフレームラインとウォーターラインを境界とする.これによりパッチを定義するために必要なパッチの4隅の位置ベクトルと偏導関数Q(0,0),Q(1,0),Q(0,1),Q(1,1),Qu(0,0),Qu(1,0),Qu(0,1),Qu(1,1),Qw(0,0),Qw(1,0),Qw(0,1),Qw(1,1)は定義される.さらに4隅の点でのツイストベクトルQuw(0,0),Quw(1,0),Quw(0,1),Quw(1,1)が必要となるが,ここではすべて0としている.
2.2 船体表面の曲率表示
 本研究では,フェアリングを自動的に行うことを目的としているから船体の平滑度に関する何らかの計量が必要となる.これには曲面および曲線に関する曲率を用いることが適当であると考えられる.今回作成した船型CADシステムには以下の3種の曲率を表示する機能を持つ.ただし,後に述べる船型の非平滑度の定義にはi)のガウス曲率は用いていない.
i)船体表面のガウス曲率
ii)船体表面の平均曲率
iii)船体断面曲線の曲率(porcupine)
2.3 対象船型の形状
 フェアリングの対象としたのはFig. 1に示すようなタンカー船型の船尾部分である.図中の黒いハッチの部分について,あらかじめ平滑ではないオフセットデータを用意し,上記の簡易CADでデータを読み込み,船型を作成した.Fig. 2に本研究で用いるCADによって作成された船型を示す.図中の格子線の交点が読み込みデータとして与えたオフセット点であり,格子に囲まれた部分のそれぞれがクーンズパッチになっている.
 
Fig. 1 Object ship hull form. (Tanker type ship)
 
Fig. 2 Created hull form with simplified CAD system.


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更新日: 2019年8月10日

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