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日本船舶海洋工学会論文集 第2号

 事業名 造船学術の振興
 団体名 日本船舶海洋工学会 注目度注目度5


多目的遺伝的アルゴリズムを用いた配管自動設計
学生員 池平怜史*  正員 木村 元**
正員 池崎英介***  正員 梶原宏之**
 
* 九州大学大学院工学府
** 九州大学大学院工学研究院
*** 福岡造船(株)
原稿受理 平成17年10月14日
 
Automatic Design for Pipe Arrangement using Multi-objective Genetic Algorithms
 
by Satoshi Ikehira, Student Member
Hajime Kimura, Member
Eisuke Ikezaki, Member
Hiroyuki Kajiwara, Member
 
Summary
 This paper presents an automatic design method for pipe arrangement. A pipe arrangement design problem is proposed for a space in which many pipes and objects co-exist. This problem includes large-scale numerical optimization and combinatorial optimization problems, as well as two criteria. For these reasons, it is difficult to optimize the problem using usual optimization techniques such as Random Search. Therefore, multi-objective genetic algorithms (GAs) suitable for this problem are developed.
 A pipe is characterized by both a pattern of generation and numerical parameters. The former describes the way the pipe bends and the latter details the length of the straight parts. For this reason, a combination of the pattern of generation and the numerical parameters is used for the solution representation and a new method of crossover is proposed that takes into account interference with obstacles. As the number of pipes increases, it becomes rapidly more difficult to find feasible solutions where pipes do not interfere with each other. Therefore, two modification operators that transform infeasible solution candidates into feasible ones are introduced. One operator modifies the pipe having a lot of interferences with other pipes so that it will not interfere with them, and the other is related with the operation that modifies the pipe that travels through obstacles. Although there are cases in which pipes cannot completely avoid obstacles in practical designs, this situation is taken into consideration by this design process. The proposed method for optimizing a pipe arrangement efficiently is demonstrated through several experiments, and remarks are provided for applying this methodology to a practical pipe arrangement design.
 
1. 緒言
 近年造船業界では、情報処理技術の発達に伴い、設計と製造とのシステムの一元化が模索され、昨今の熟練技能労働力の不足、若年層の労働価値観の変化に対応するために、自動化の促進、作業の省力化を図ることが必然となってきている。設計現場においては、3次元CADの発達により、3次元データを取り扱った設計〜解析〜生産が普及してきた。特に配管設計においては、2次元平面図ではなかなか困難であった空間上での配管のイメージを視覚化できることで、容易に配管経路を試行錯誤でき、作業の能率化・効率化・省力化に繋がっている。しかし、作業の省力化が図られているものの、未だ設計者の経験に頼る部分が大きく、自動化とまでは到っていないのが現状であり、配管自動化に関する研究はほとんど報告されていない。
 本研究では、パイプが密に存在し、障害物を避けて配管しなければならない空間での配管設計問題を定式化する。本問題は、大規模な数値最適化と組合せ最適化の複合問題かつ多目的最適化問題となっており、通常の最適化手法では解くのが困難である。
 多目的最適化問題は、多くの実問題で直面する非常に重要な問題であり、一般に完全最適解を得ることはできないため、トレードオフを表す解の集合であるパレート最適解という概念を用いて解探索を行う1)2)。GA3)4)は、自然界における生物の進化をモデル化した確率的最適化手法の一つであり、GAを多目的へ拡張した多目的GAでは、評価項目の優先度を定義することなく、一度の試行により幅広い領域の解候補を得ることができ、パレート解を効率的に求める強力な方法として注目されている。そこで、配管設計問題に適した多目的遺伝的アルゴリズム(Multi-objective Genetic Algorithms: MOGA)を提案し、計算シミュレーションによりその有用性を示す。
 
2. 配管設計問題の定式化
2.1 パイプの経路の生成
 ある3次元空間を指定し、その空間内で障害物を避け、パイプの長さの総和(f_length)が短くなるように配管する問題を考える。本研究では、系統図に基づき機器の配置が設計者によって定められた時に、それら機器を繋ぐパイプの経路を自動設計することを考える。つまり、パイプの始点、終点の座標、それらの点でのパイプの伸びる方向(方向ベクトル)が与えられた時に、パイプ同士が交わることなく、障害物を避けるように配管経路を自動的に生成する方法を提案する。
 経済的な面から考えると、パイプの長さはできるだけ短くなることが求められ、工作上の面から考えると、できるだけ工作の手間が省かれることが求められる。パイプ部材はJIS規格に定められており、その規格に基づいたパイプ部材を使用するのが経済的にも好ましい。パイプを直角に曲げる時は、JIS規格で定められた部材で、2本のパイプを溶接して繋げる。それに対し、任意の角度に曲げる時は、プレス機を用いて1本のパイプをその角度に曲げなければならない。この作業は非常に手間がかかるので、パイプは直角に曲がるものとし、設計上の要求(下水管等は自然に流れるようにある傾斜をつけて配管する)がある場合は、方向ベクトルで与える。
 始点、終点を結ぶ配管経路は3次元空間上に無限に存在する。そこで配管経路の自由度を限定するために、経路をパターン化することを考える。始点、終点を結ぶ配管経路を設計するということは、折れ曲がる点(節点)を定めることである。方向ベクトルの値によってPattern-1(向き合う方向)、Pattern-2(直角方向)、Pattern-3(同じ方向)に分け、節点の数、始点終点からの位置関係によって生成パターン(経路の形状)をFig. 1、Fig. 2、Fig. 3に示すように定める。パイプは生成パターンとパイプ直線部長さを特徴づける最大3個の実数値により一意に定まる。節点の数をさらに増やすことで生成パターンを増やすことも考えられるが、工作上、節点の数は少ないほど好ましく、パイプ同士の接触を避け、障害物との交わりをできるだけ避けることができる最小限の節点の数で設計する。
 
Fig. 1 Pattern-1 (opposite way).
 
Fig. 2 Pattern-2 (right-angled way).
 
Fig. 3 Pattern-3 (same way).
 
2.2 パイプ同士の交わり
 2つのパイプの半径をそれぞれr0, r1とする。また、それぞれのパイプの中心線の間の最短距離をdとすると、それらのパイプが存在する範囲で、d≤r0+r1の時、この2つのパイプは交わっている。
 しかし実際の設計では、パイプを繋ぐ際フランジと呼ばれる部材を用い、その大きさも考慮しなければならない。フランジの大きさはパイプの径によって定まっており、その大きさを考慮して交わりを判断する。
 
2.3 障害物との交わり
 障害物は直方体で与え、直方体を有限個配置することで、複雑な形状の障害物も表現することができる。空間内に障害物が存在する場合、それを避けて配管しなければならない。障害物と交わった場合は致死解として解を再生成する方法が考えられるが、実際の設計では、障害物の配置やパイプの制約条件によって完全に避けることができない場合が存在する。例えば、パイプのメンテナンス等のために人間が通れるスペースなどがそれに当たる。この時、完全に避けなくてもよいが、できるだけスペースを作らなければならない。そこで、障害物に対してのペナルティ関数を提案し、ペナルティ関数から与えられる評価値を最小化(最良化)することで障害物を避けて配管することを考える。
[障害物に対するペナルティ関数]
 パイプが障害物の中心を通過ほど、また障害物内を通過するパイプの長さが長いほど評価としては悪くなるという観点から、以下の評価式を提案する。
 
 
 パイプと障害物が全く交わっていない場合、評価値は0となる。Fig. 4にペナルティ関数の計算例を示す。
 
Fig. 4  An example calculation of the penalty function.


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更新日: 2019年10月12日

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