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日本船舶海洋工学会論文集 第2号

 事業名 造船学術の振興
 団体名 日本船舶海洋工学会 注目度注目度5


ニューラルネットワークを用いた溶接変形の予測
正員 奥本泰久*  学生員 江口茂男**
 
* 近畿大学工学部
** 近畿大学大学院
原稿受理 平成17年10月11日
 
Estimation of Welding Distortion Using Neural Network
 
by Yasuhisa Okumoto, Member
Shigeo Eguchi, Member
 
Summary
 The residual deformation induced by welding processes becomes a cause of repair work at the subsequent process. Therefore it is necessary to manage the assembly of welded structures by estimating accurately the welding deformation considering welding conditions, welding length, and structural dimension, etc. Until now, theoretical, experimental and practical studies have been carried out widely, and then the prediction of the welding deformation can be done accurately by using FEM analysis now. However, technical knowledge is required for the analysis, and long hours are necessary to calculate the deformation, because thermal elasto-plasticity FEM analysis is usually required in order to ensure the accuracy of the estimation.
 Though the elastic analysis is applied generally in order to predict the welding deformation easily and practically, in this study simplification of the prediction was done using neural network model. At first, thermal elasto-plasticity FEM analysis was carried out for the fillet welding of a T-type build-up structure, and the relationship between welding conditions and welding deformations (transverse shrinkage and angular distortion) was studied. Next the neural network by back propagation method was programmed by C language, and the FEM analysis results were given into the program as the teacher data. Then, the transverse shrinkage and angular distortion can be output by this program, if the welding conditions and member dimensions are input. This program would be able to estimate the welding distortion of joints with different dimensions and welding conditions in a simple manner.
 
1. 緒言
 船体鋼構造は通常溶接によって組み立てられている。船殻部材は高温で溶融するため熱膨張のあと熱収縮を受け,残留応力や残留変形が生じる。主として,前者は強度性能に支障をきたし,後者は後工程での手直し作業の要因となる。したがって,船殻部材の組立工事を円滑に進めるためには,溶接条件や溶接長,部材寸法などを考慮して溶接組立材の工作精度を予測・管理し,後工程に影響を少なくすることが大切である。このため,これまで理論的,実験的または実用的な各種の調査研究が実施されており,現在,溶接変形の予測はFEM(有限要素法)解析によって,かなりよい精度で予測できるようになってきた。しかし,予測精度を上げるためには,熱弾塑性FEM解析が要求され,解析の専門的な知識を必要とするだけでなく,長い解析時間が必要である。
 溶接変形予測をより簡便にするため,一般には弾性解析を適用する方法がとられているが,本研究では,ニューラルネットワークを用い溶接変形予測の簡略化を行った。最終的には単板構造や中組ブロックの変形予測を目指すが,ここではその第一ステップとしてT型ビルトアップ材を対象とした。まず,熱弾塑性FEM解祈を実施し,溶接条件や部材寸法と横収縮や角変形との関係を求めた。次に,バックプロパゲーション法によるニューラルネットワークプログラムを作成し,FEM解析結果をこの教師データとして与え学習させた。その結果,溶接条件や部材寸法を本プログラムに入力すれば,同様の構造に対し横収縮と角変形量を出力することができるようになった。任意の溶接条件,任意の構造寸法について複雑なFEM解析を実行しなくても横収縮と角変形の近似解が簡単に出力できる。本報はそれらの概要を紹介する。
 
2. バックプロパゲーション法
 ニューラルネットワークは,人間の脳神経細胞である「ニューロン」の神経回路網を数学的にモデル化し,コンピュータ上で情報処理できるようにしたものである。ニューロン相互の信号伝達は電位の変化によって起こり,ある閾値を超える瞬間をニューロンが発火した状態という。ニューロンが発火し,この瞬間的な電位の変化が他のニューロンに刺激を及ぼす。このモデルをFig. 1に示す。1つのニューロン(ユニットともいう)には,他のニューロンからの入力に結合の重みをかけた総和が伝達されるが,この値から閾値を引いた値に対応して出力がなされる。
 
 
 出力の値は,バックプロパゲーション法(Back propagation network: BPネットワーク)ではシグモイド関数を用いて0〜1の範囲の値をとる。
 
 
Fig. 1 Model of a neuron
 
 ニューラルネットワークには階層型と相互結合型があり,階層型は入力層,中間層,出力層の層構造になっている。バックプロパゲーションネットワークは階層型であり,入力層に教師データを与え,この教師データ(入力)に対応するネットワークの出力と,実際の教師データとの誤差を求めて,これを少なくするよう出力層から入力層に向かって(Back方向に)結合荷重を順次更新していくものである。
 BPネットワークの学習法には,逐次修正法と一括修正法があるが,ここでは,両者をプログラム化しテストした結果,好成績が得られた逐次修正法を用いた。逐次修正法は,1入カパターンごとに結合荷重を更新していくもので,例えば,Fig. 2のように教師データが複数個ある場合,1例目のデータを入力し,教師データ(出力)に近い値が得られるように結合荷重(初期値はランダムな値を設定)を修正する。次に,2例目のデータを入力してこの結合荷重を使い出力し,この教師データに合うよう学習させ結合荷重を更新する。3例目はこの結合荷重を修正していき,これを順に繰り返し行う。操作手順を以下に示す1)-3)
 式(1)(2)で出力値を求め,最終出力値と教師データとの差を求める。誤差式を(3)とする。
 
 
 学習は,まず出力層の結合荷重値を更新する。Yは中間層の出力である。
 
 
 次に,出力層で更新されたWkjを用いて中間層の結合荷重値を更新する。
 
 
 式(4)(5)を繰り返し行い,出力値を教師データに近付ける。この逐次修正法のフローチャートをFig. 3に示す。
 なお,閾値は結合荷重と同じ方法で,初期値をランダムに決め以降順次更新していくこととした。
 
Fig. 2 Back propagation model
 
Fig. 3 Flow chart of learning process


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更新日: 2019年8月10日

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