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日本船舶海洋工学会論文集 第2号

 事業名 造船学術の振興
 団体名 日本船舶海洋工学会 注目度注目度5


労働環境安全のための工場内溶接・切断ヒュームの拡散制御に関する研究
(その2 立体ブロック内の換気)
 
正員 福地信義*  正員 和泉考作**
正員 胡 長洪
 
* 九州大学大学院工学研究院
** 九川大学大学院工学府(研究当時、現在IHI-MU)
*** 九州大学応用力学研究所
原稿受理 平成17年9月20日
 
A Study on Diffusing Aspect and Ventilation of Metallic Fume for Improvement of Working Environment in a Fabrication Shop
(Part 2 Ventilation in a cubic block)
 
by Nobuyoshi Fukuchi, Member
Kousaku Izumi,Meber
Changhong Hu, Member
 
Summary
 Air pollution caused by the generated metallic fume during the progress of welding in a fabrication shop is one of unavoidable issues for labor health. Especially, a worker is likely to be exposed to high concentration of welding fume in semi-enclosed spaces such as cubic blocks under construction. For setting to cope with the pollution-control, it is necessary to take suitable measures considering the diffusing aspect of welding fume in a cubic block. However, this issue has the problem in which a ventilating way for purging fume should not disturb the welding arc and the shielding gas.
 In collaboration with the measurements of distributional concentration of welding fume during manufacture of cubic block, the turbulent diffusing aspect of fume is numerically analyzed using the viscous eddy model in the condition of various ventilation systems and the way of low fume generation. Then, the effect of the measures for decreasing fume concentration on the working site in cubic block is investigated evidently on the base of calculated results.
 
1. はじめに
 造船内業工場において発生する溶接ヒュームによる空気汚染は労働安全上問題となり、その対策として効率的な換気システムを構築1)する必要がある。特に二重化立体ブロック内のような閉鎖性の高い空間において溶接作業を行う場合には局所的に高濃度のヒュームの曝露を受ける状況にあり、作業者の周囲に発生した溶接ヒュームを迅速に排除できる対策が不可欠である。ただし、アーク溶接を行う際に強い換気を行えば、強い気流によりシールドガスやアークが乱れる問題も同時に考慮しなければならない。
 本報では、溶接作業環境におけるヒューム流動・拡散状況を把握するために、閉鎖性が高いために高濃度のヒュームに曝露する恐れがある二重化立体ブロック内においてヒューム濃度を計測した。また発生した溶接ヒュームを極微細粒子を含む気相流と見なし、運動量温度ガスに関する乱流輸送方程式の数値解析を行い、その解析結果と計測値の比較により、ヒューム流動・拡散状態を解明する方法としての妥当性を調べた。さらに、これにより、換気ファン設置などの対策を施した場合の二重化立体ブロック内におけるヒュームの流動拡散状況について計算し、その解析結果を系統的に比較することにより、環境改善対策の有効性や実現性について考察を行った。
 
2 溶接ヒュームの粒径と濃度
2.1 溶接ヒュームの粒径・濃度
(1)粒径・濃度の計測
 作業現場の大きさ、閉鎖性は労働環境の悪化に対する影響要因であり、2造船所において半閉鎖状態にある二重化立体ブロック内においてヒューム濃度の計測を行った。また溶接ヒュームの粒子径分布を計測し、人体に悪影響を及ぼす吸入性粒子(粒子径0.5〜5.0μm)の粒子数とそのヒューム全粒子に占める構成比率を算出した。
 二重化立体ブロック内の溶接ヒューム濃度および粒径の計測は以下の方法により行った。なお、計測方法については第1報2)にて詳述している。
a)光散乱方式濃度計による質量濃度計測3)
 同一粒子系の溶接ヒュームの質量濃度に対して比例的な関係にある散乱光量(相対濃度)CR(cpm)を測定する。なお、本計測では同時に行ったサンプラーによる質量濃度計測の結果と資料により係数Kは0.0065として、相対濃度にこれを乗じてヒューム質量濃度C2(mg/m3)を算出した。
b)溶接ヒュームの粒径分布測定:
 粒径分布の測定には、ポンプにより吸引した粉塵の粒子数を0.3μm, 0.5μm, 1.0μm, 2.0μm, 5.0μmの5段階に分けて計数する。なお、計数された粒径は前後の粒径をもつ粉塵の代表径と考えてよい。
(2)溶接ヒュームの粒径分布
 内業工場において、溶接ヒューム粒子の計測を行い、例としてA造船所について粒子数より粒子体積に換算したものをFig. 1示し、これより算出した粒子径ごとの粒子体積構成比および健康被害の可能性がある0.5〜5.0μm粒子の体積構成比をTable 1に示す。A、B造船所のデータはほぼ同様の構成比を示しているが小組立場の溶接ヒュームは溶接条件などの違いから少し傾向が異なる。これより、1)溶接作業点上では0.5〜1.0μm(A造船所)、1.0〜20μm(B造船所)の粒子の構成比率が高い、2)溶接ヒュームは溶接点から離れた周囲空気の粒径分布は0.5μm以下の構成比率が最も高くて、それより大きな粒子の構成比率は減少している4)、ことが分かる。
 溶接は7.07μm以下の吸入性粉塵が99%程度を占めている。また、健康被害を及ぼす恐れがある0.5〜5.0μmの粒子は溶接作業点近傍では大部分を占めるが、一方、溶接点から離れた箇所では1/5程度となっている。従って、防塵マスクなどで防護して作業する溶接作業点近傍を除けば、吸入性粉塵を対象としたヒューム拡散解析により得られた濃度の1/5〜1/3程度を吸入性粉塵と見なして、環境衛生5)の判断に用いればよいことになる。
 
Fig. 1  Measuring results of particle size distribution in fabrication shop of A-shipyard
 
Table 1 Composition ratio of particle sizes
A and B-shipyard
Measuring point
Composition ratio of particle size (%) particle caused illness per all (%)
under 0.5 0.5〜1.0 1.0〜2.0 2.0〜5.0 5.0〜
NC cutting (machine side) 62 32 3 2 1 37
Welding (sub-assembly, just above weld) 7 33 51 8 1 92
Welding (sub-assembly, neighborhood) 79 17 2 1 1 20
Outside of shop 75 16 3 3 3 22
 
2.2 立体ブロック内のヒューム濃度分布と環境改善
 立体ブロック内は比較的空間が狭く、マンホールなどの開口を除いて半閉鎖空間であることが多く、そのため発生した溶接ヒュームはブロック内に高濃度でかつ長時間留まることになる。そこで、A造船所において溶接作業中の二重化立体ブロック(二重底構造)内のヒューム濃度を計測した。
 区画の隅の2箇所でCO2溶接を行っているブロックについてヒューム濃度の計測を行って、その結果をFig. 2に示す。ヒューム流動を目視すると、ブロック内で発生したヒュームは壁面に沿って上昇し、その後天井に沿って進み、反対側の壁面に到る前に降下しているが、ブロック内のヒューム濃度は開口部から流入する気流の影響も大きく受けている。また、ヒューム濃度はブロック内全体にわたって許容濃度を大幅に超えているが、大型の換気装置を導入することはシールドガスの乱れなども生じて現実的ではなく、作業員へ防塵マスクの着用など安全教育6)7)8)を徹底させるとともに、現状のようにファンやスポットクーラーで溶接作業者の周囲に浮遊するヒュームを除去9)することが有効である。
 
Fig. 2  Distribution of fume concentration in cubic block with dual covered plates


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更新日: 2019年8月10日

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