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日本船舶海洋工学会論文集 第2号

 事業名 造船学術の振興
 団体名 日本船舶海洋工学会 注目度注目度5


4. 実験
4.1 実験の方法
4.1.1 概要
 バーク堆肥原料の中に吸油後の油吸着材を埋め込み,円錐形パイル状に被覆した後,定期的に攪拌(切り返し)を行い,油分濃度の変化を調査した.実験のフィールドは,ぶんご有機肥料(株)(大分県竹田市)内に設けた.攪拌はパワーショベルなどの重機を用い,バーク堆肥パイルの上側からすくい取ったものを隣接するサイトに順次移動させる方法で行った.頻度は約2週間に1回であり,この際に油分測定のためのサンプリングも同時に行った.
4.1.2 吸着マット投入の方法
 以下の手順に従って,吸着マットをバーク堆肥パイル(Fig. 4)に埋め込んだ.
・大型容器(ドラム缶)を計量する
・大型容器に吸着マットを入れる
・大型容器に計量したC重油を注ぎ,吸着マットに吸着させる
・吸油後の吸着マットを大型容器から取り出し各パイル断面に規定枚数並べる(Fig. 4〜5)
・大型容器の減量分を計量する
・パイル断面に吸着マットを並べ終わるとバーク堆肥で規定の間隔(高さ)だけ被覆し,順次上のパイル断面に移り,同様の作業を行う
 
Fig. 4 Experiment Pile of Biodegradation
Exp.1 top φ2m, baseφ5m, height 3.5m, vol. 36 m3
Exp.2 top φ4m, baseφ8m, height 3.5m, vol. 100 m3
 
Fig. 5 Setting SBSs on Bark Compost Section
 
4.1.3 油分濃度と規模
(1)実験1(36m3
 用いた油はC重油180kgで,製品版の「杉の油取り」マット(45cm x 45cm)合計180枚に吸着させて実験に供した.バーク堆肥はホイールローダのバケットで容積を計量した約36m3(相対誤差=10%)ほどを用いた.嵩比重が約0.46(相対誤差=26%)であることから約18±2t(12.6±1.4t-dryに相当)であると推定される.パイルの形状はやや膨らんだ円錐台状で,上面φ2m,底面φ5m,高さ3.5m程度となった.バーク堆肥原料は発酵開始から数ヶ月経過した微生物活動の活発なものを使用した(油分濃度430ppm,σ=140ppm,相対誤差33%).パイル全体の実験開始時の油分濃度は約14,300±1,600ppmと推定される.
(2)実験2(100m3
 用いた油はC重油300kgで,製品版の「杉の油取り」マット型(45cm x 45cm)合計300枚に吸着させて実験に供した.バーク堆肥はホイールローダのバケットで容積を計量した約100m3(相対誤差=10%)ほどを用いた.嵩比重が約0.5(相対誤差=5%)であることから約50±6t(35±4t-dryに相当)であると推定される.パイルの形状はやや膨らんだ円錐台状で,上面φ4m,底面φ8m,高さ3.5m程度となった.バーク堆肥原料は発酵開始から数ヶ月経過した微生物活動の活発なもの(油分濃度430ppm,σ=140ppm,相対誤差33%)と,実験1の油分分解実験に供した分解残留物(分解開始後約1年が経過;油分濃度1,300ppm,σ=400ppm,相対誤差33%)を,9:1で混合したものを実験に使用した(油分濃度520ppm,相対誤差33%).パイル全体の実験開始時の油分濃度の平均値は約8,600±900ppmと推定される.
 なお,前回使用した分解残留物を少量混入するのは,油分分解に馴化した微生物相により,通常のバーク堆肥原料より高い油分分解機能が発揮されるのを期待してのことである.
4.1.4 攪拌およびサンプリング
 バーク堆肥は製造工程において,好気発酵に要する酸素供給のために定期的に攪拌(切り返し)を行っている.活発な微生物活動に資するため,本実験においても約2週間に1回の頻度で攪拌を行った.パワーショベルなどの重機を用い,バーク堆肥パイルの上側からすくい取ったものを隣接するサイトに順次移動させる方法で行った.なお,バーク堆肥と埋め込まれた吸着マットは同様に扱って攪拌した.また,攪拌の際に油分測定のためのサンプリングも同時に行った.
4.1.5 測定項目
 測定項目は以下のとおりとした.
(1)油分濃度(n-ヘキサン抽出重量法):2週間に1回程度(攪拌時毎),油分濃度がほぼ一定になる時期まで計測
(2)油種の調査(ガスクロマトグラフィー(GC)定性分析;実験2のみ):8週間に1回程度
(3)微生物相の調査(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE);実験2のみ):6週間に1回程度
(4)目視観察など(油の臭気,手指への油分付着など)
(5)パイル内の温度(週1回程度)
 油分の測定はn-ヘキサン抽出重量法によった.(1)および(2)の分析作業は(株)住化分析センターに,(3)については広島大学生物圏科学研究科に依頼した.(5)はぶんご有機肥料(株)が行った.(1)の油分濃度については測定値オリジナルの他,溶媒抽出力を考慮しバーク堆肥からのC重油回収率(0.75)で除したもの,また,C重油回収率(0.75)の替わりに3.1.2で述べたサンプリング補正係数(0.48)で除したものを併せて検討した.
 温度の測定は,4箇所の測定点におけるパイル表面から70cmの深さ地点にて行った.
 
4.2 実験の結果
4.2.1 油分濃度
 実験開始時(0日,油投入直後)における計算上の油分濃度は,実験1で約14,300±1,600ppm,実験2で約8,600±900ppmである.この時点では,油は原形を保つ吸着マットの中に含まれており,パイル内の油分濃度が均一にならないため測定をしていない.
 1回目のサンプリングは最初の攪拌が行われた開始後2週間時点に行った.既に吸着マットの原形は留めておらず,マット内に含まれるパーライトの存在により,原位置が判明する状況であった.
 この後,約2週間ごとに行う攪拌時にサンプルを採取し,それぞれの油分濃度を測定した.実験1の油分濃度の変化をFig. 6(相対誤差=32%で表記),Fig. 7(同75%)に,実験2の油分濃度の変化をFig. 8(同32%),Fig. 9(同75%)に示す.
 相対誤差32%で表記したFig. 6およびFig. 8では30日以前の値ではバラつきが大きく各地点の値のエラーバーが重ならない部分があり,サンプリング要因を加味して相対誤差75%で表記したFig. 7およびFig. 9を採用した方が妥当と思われる.特に,実験2では初期の計算値より高い油分濃度値が測定されているが,Fig. 7およびFig. 9では油分の減少傾向をエラーバーの範囲内で読み取ることができ,サンプリング要因によるバラつきと解釈することが可能である.一方,120日以降については概ね値のバラつきが小さくなっている.原因として,微生物分解が進んで油塊が小さくなることや攪拌回数が増えてパイル内の油分濃度がより均一になることなどが考えられる.従って,120日以降はFig. 6およびFig. 8を中心に検討するものとする.
 両実験とも開始直後の各地点における油分濃度の最良推定値はバラつきが大きいものの,50日程度まで急速に減少し,60日付近で2,000〜4,000ppmを中心とする範囲に移行する.その後は主に同範囲を推移しながら漸減し,180日付近で1,500〜2,000ppm程度となることがわかる.120日以降に大きな変化は見られない.
 次に,実験1の36m3パイルと,実験2の100m3パイルにおいて,平均油分濃度の推移を比較した.Fig. 10(相対誤差32%で表記),Fig. 11(同75%)に記す.0日時点の計算上の油分濃度は実験1(36m3パイル)で約14,300±1,600ppm,実験2(100m3パイル)で約8,600±900ppmであり,いずれも時間経過とともに油分が減少する様子が明らかである.より大規模に行った100m3パイル(実験2)による分解の方が,36m3パイル(実験1)に比して,より安定に減少する傾向が見られる.また,Fig. 6とFig. 8を比較してみると,各時点における油分濃度測定値のバラつきは100m3パイル(実験2)の方が小さく,より安定していることがわかる.初期油分濃度が異なるため単純比較は出来ないが,実験規模が大きいことが一つの要因と思われる.
 Fig. 10およびFig. 11に示すとおり初期値との比較においては,実験1では0日での計算上の値14,300±1,600ppm(15日平均測定値9,900±7,500ppm,相対誤差75%の場合)が164日時点で1,500±500ppm(相対誤差32%の場合)に,実験2では0日での計算上の値8,600±900ppm(15日平均測定値17,800±13,400ppm,相対誤差75%の場合)は170日時点で1,400±400ppm(相対誤差32%の場合)に,それぞれ減少している.バックグラウンド(バーク堆肥そのものからの溶出分)が430±140ppmであることを考慮すると,初期に投入されたC重油の油分は実験1,2とも最良推定値で数百〜千数百ppm程度すなわち2.2で述べた当初目標値1,000ppmの前後の値に至ったと推定される.
 なお,参考までに分解速度を試算すると,実験1では0日での計算上の値を開始点とすると78±63ppm/日,実験2では44±36ppm/日となった.2.2で述べた重質油の場合の参考値5〜30ppm/日に比し,遜色のない範囲にあると考えられる.
 
Fig. 6  Time Change of Oil Content in Experiment Pile in Exp. 1 (with Error 32%)
 
Fig. 7  Time Change of Oil Content in Experiment Pile in Exp. 1 (with Error 75%)
 
Fig. 8  Time Change of Oil Content in Experiment Pile in Exp. 2 (with Error 32%)
 
Fig. 9  Time Change of Oil Content in Experiment Pile in Exp. 2 (with Error 75%)
 
Fig. 10  Comparison of Oil Contents (Exp.1: 36m3, Exp.2: 100m3, with Error 32%)
 
Fig. 11  Comparison of Oil Contents (Exp.1: 36m3, Exp.2: 100m3, with Error 75%)


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更新日: 2020年3月21日

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