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3. 抵抗試験結果
3.1 剰余抵抗係数
 Fig. 3に,水槽試験で得られた剰余抵抗係数曲線をY/B=0.5,1.0,1.5毎に示す。Crは全浸水面積ベースで無次元化されている。グラフからアウトリガーの配置によってCrが大きく変化する様子が分かる。ただし,Y/Bが大きくなるにつれて,アウトリガー前後位置に対する剰余抵抗係数曲線の変化が小さくなり,単胴の結果に近づいてくる。
 Fig. 4は,Fnpp=0.36,0.50,0.65におけるアウトリガー配置による変化を棒グラフで示したものである。Fnpp=0.36において剰余抵抗を低減させるためには,アウトリガーを最も外側に配置し,さらに主船体後方部に持ってくればよいことが分かる。全般的には,三胴船にしたことによる抵抗軽減効果は少ない。Fnpp=0.5においては,アウトリガーを最後端部に持ってくるときは主船体に近づけた方が良く,一方,アウトリガーを船体中央部に持ってくるときには主船体から離した方が良いという結果となっている。Fnpp=0.65においても,Fnpp=0.5の場合と似たような傾向を示し,アウトリガーを船体中央部に配置し,かつ主船体から離した方が良いという結果となっている。Fnpp=0.65の場合には,Fnpp=0.5の場合と比べて,三胴船にしたことによる抵抗軽減効果は少ない。このように,船速(フルード数)によって,最適なアウトリガー位置が異なることが分かる。
 なお,Ackers等によると(文献5)のFigs.19,22参照),Fnpp=0.5における最適なアウトリガー位置は(X/L=0.85,Y/B=0.8)付近,Fnpp=0.65における最適位置は(X/L=0.85,Y/B=0.6)付近である。一方,本水槽試験によると,Fnpp=0.5での最適位置は(6)(X/L=0.65,Y/B=1.5),Fnpp=0.65での最適位置は(5)(X/L=0.65,Y/B=1.0)である。本船のアウトリガーの最適位置は,Ackers等の結果と比較して,前方ならびに横方向にシフトしたものとなっており,異なったものとなっている。主船体の要目や船型によって,アウトリガーの最適位置が変化するためと考えられる。
 
3.2 姿勢変化
 Figs.5, 6に,船体浮上量曲線ならびに船体トリム変化曲線を示す。船体沈下量sならびにトリム量rは船長Lで無次元化し,それを100倍した値で図示している。トリム量はtrim by sternを正とする。全般的に,三胴船の姿勢変化は,単胴と比較して大きいことが分かる。ただし,Y/Bが大きくなるにつれて,アウトリガー前後位置に対する姿勢変化の変化が小さくなる。
 
Fig. 3  Comparison of residual resistance coefficient curves
 
Fig. 4  Residual resistance coefficients versus outrigger position
(Fnpp= 0.36, 0.50, 0.65)
 
Fig. 5 Comparison of dynamic sinkage
 
Fig. 6 Comparison of dynamic trim


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