日本財団 図書館


3.2 造船所での評価実験
3.2.1 評価に用いた作業エリア
 造船所の金属板切断エリアにおいて,実際の作業員が機器を装備した状態(移動端末をウェストポーチに入れて腰部前後に1台ずつ装着)で作業を行い,作業位置の計測を行った.作業員は,アイトレーサ切断機(以下ETと略す)によって金属板の切断作業を行う(Fig. 7).作業員は2台のETの操作(操作盤での入力操作)を行いながら,金属板の置かれた作業台の上で切断後の金属板にマーキングを行ったり,クレーンを操作し金属板を資材置場に移動させたりする作業を行う.作業員の移動する範囲は概ねFig. 8のエリアである.
 
Fig. 7 造船所の作業環境
 
Fig. 8 計測に用いた作業現場
 
3.2.2 作業エリア検出評価
 Fig. 8に示す作業エリア全体において,作業の概略を把握するためには,どの作業エリアにいたかという情報で十分である.それぞれの作業エリアに固定基地局を1台ずつ設置し,作業員が各エリアで作業を行っている間の移動端末と固定基地局との送受信電カデータを取得した.また,目視によって作業員がどのエリアで作業中かを記録した.各固定基地局との伝搬損失データを用いて三角測量を行って位置を算出し,目視によって記録された作業エリアと比較し,一致率の判別を行った.
 Fig. 9は,ET2のエリアにいた場合(目視記録データから判断)の,測定結果位置をプロットしたものである.
 
Fig. 9 ET2エリアで作業中の位置計測結果
 
 目視判定によるエリアと三角測量によって算出された位置から求められたエリアとの一致率を計算したところ,79%となった.ETは金属板の切断を行いながら移動するため,作業位置によってはETによって電波の見通し経路(LoS: Line of Sight)が妨げられ,伝搬損失が増加することが主な誤差の原因だと考えられる(Fig. 10).Table.4に全てのエリアにおける目視との一致率を示す.全体的に80〜90%でのエリア一致率を達成することができた.作業内容の推定には十分な精度と考えられる.
 
Fig. 10 ETの遮断による伝搬損失の変化
 
Table.4 各作業エリアでのエリア一致率
ET1 ET2 作業台 資材置場
78% 79% 78% 88%


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION