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 Fig. 4からFig. 7に、放流開始5分後のCase AとCの可視化画像を示す。Fig. 4とFig. 5の放流水水温が10℃の場合を比較すると、温度成層のないFig. 4では放流水が底面まで沈降しているのに対し、温度成層のあるFig. 5では水深約0.4m付近に放流水が留まっている。次にFig. 6とFig. 7の放流水水温が20℃の場合を比較すると、温度成層のないFig. 6では、放流水が全体的に拡散しているのに対し、温度成層のあるFig. 7では水深約0.3m付近に放流水が留まっている。これらの温度成層の有無により放流水の挙動が大きく異なる結果は、実海域での「拓海」の放流水挙動を検討する場合、温度成層の考慮が重要であることを示す。また、放流水温度が低く、温度成層があるFig. 5のCase A-2の場合、一般的に懸念されている放流水の底面までの沈降がなかった。温度成層がない場合、冷たい放流水は周囲との温度差により下方向に加速され、速度を増しながら沈み込み、周囲の水との熱交換および拡散混合により周囲の水と同温度になる。同温度となった後は加速されないが、放流水が下方向の速度を持っているためにそのまま沈降して底まで達する。一方、温度成層がある場合の放水流は、同温度となった直後でも放流水が温度を保ちながら、自分自身よりも冷たい周囲の水に突っ込むために、浮力で上向きの力が働き、沈降が抑制されたと考えられる。
 
Fig. 4  Experimental behavior of discharged water
(Case A-1, discharged water: 10℃, without temperature stratifications)
 
Fig. 5  Experimental behavior of discharged water
(Case A-2, discharged water: 10℃, with temperature stratifications)
 
Fig. 6  Experimental behavior of discharged water
(Case C-1, discharged water: 20℃, without temperature stratifications)
 
Fig. 7  Experimental behavior of discharged water
(Case C-2, discharged water: 20℃, with temperature stratifications)


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