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4.3 システムの総合評価
4.3.1 SOX・ばいじん除去性能評価
 ジェットスクラバ及びACF反応器から構成される舶用ACF排煙処理システムの性能評価の一環として、ジェットスクラバ及びACF反応器の動力費(所内率として算出)とSOX、ばいじん除去性能の関係を評価した。また、増湿冷却装置として導入したジェットスクラバに、期待したほどのばいじん除去性能が得られなかったこと受け、システム全体としてのばいじん対策について検討した。
 
(1)所内率とSOX・ばいじん除去性能
 舶用ACF排煙処理システム全体のSOXとばいじんの除去性能は、使用する海水の運用方法により決定される。特に、ジェットスクラバの各性能は処理ガス量に対するスプレー水量の割合(L/G)に大きく依存する。しかし、多くの海水を利用するためには海水をスプレーするためのポンプ動力が必要になり、この動力はシステムのランニングコストに大きく影響する。ここでは、ジェットスクラバ及びACF反応器の所内率を算出し、ジェットスクラバとACF反応器単体での動力費とSOX、ばいじん除去性能の関係を所内率として比較した。
 所内率の算出式を(4.1)式に示す。所内率算出に際しては、以下に示すVLCC主機エンジンを想定し、本試験の液ガス比L/G(l/Nm3)をベースに、使用水量、各給水ポンプの動力を求めた。
 
(想定したVLCCの条件)
・エンジン出力(定格):27,020kW
・機関負荷:85%
・エンジン出力(NR):22,967kW
・排ガス量:173,100Nm3/h
 
 
 図4.3.1、図4.3.2に所内率とSOX、ばいじん除去性能の関係を示す。図4.3.1、図4.3.2に示されるように、ジェットスクラバとACF反応器では所内率が2桁以上異なる。ACF反応器のサイズを決定する際には、動力費(所内率)に大きく影響するスクラバの運用条件を最適化する必要がある。本試験においてもL/G=6/Nm3の条件ではシステム全体のSOX除去率は8割以上であるため、L/G=6/Nm3以下として動力費(所内率)を抑えた運用も可能である。
 
図4.3.1 所内率とSOX除去率の関係
<SOX: 900〜1000ppm、ジェットスクラバノズルB噴霧圧:0.5MPa条件>
 
図4.3.2 所内率とばいじん除去率の関係
<A重油燃料小型発電機ディーゼル、ジェットスクラバノズルA〜C噴霧圧:0.5MPa条件>
 
図4.3.2 所内率とジェットスクラバ圧力損失の関係
<A重油燃料小型発電機ディーゼル、ジェットスクラバノズルA〜C噴霧圧:0.5MPa条件>


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