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2. 実施経過
2.1 実施項目
1)海水利用システムの検討
・硫酸−海水反応中和水利用システムの検討
・海水による増湿冷却システムの検討
 
2)舶用ACF陸上試験装置(ACF反応器)による検証試験
・陸上試験装置(ACF反応器)の製作
・模擬ガスおよび海水添加による脱硫検証試験
 
3)舶用ACF陸上試験装置(ジェットスクラバ+ACF反応器)の仕様検討
・C重油焚ディーゼルエンジンの排煙処理が可能な陸上試験装置の仕様検討
・陸上試験装置の詳細設計および検証試験の詳細項目検討
 
4)舶用ACF陸上試験装置(ジェットスクラバ+ACF反応器)製作・試運転
・陸上試験装置の製作・設置
・ディーゼルエンジンからの排ガス等計測、運転条件の適正化
 
5)陸上排煙処理試験(ジェットスクラバ+ACF反応器)および実船システムの検討
・陸上試験による排煙処理装置(ジェットスクラバ+ACF反応器)の性能評価
・船舶適用時のシステム設計および配置検討
 
2.2 実施期間
平成16年5月〜平成17年3月
海水利用システムの検討
平成16年9月〜平成17年3月
陸上試験装置(ACF反応器)による検証試験
平成17年4月〜平成17年6月
陸上試験装置(ジェットスクラバ+ACF反応器)の仕様検討
平成17年7月〜平成17年11月
陸上試験装置(ジェットスクラバ+ACF反応器)製作・試運転
平成17年11月〜平成18年2月
陸上排煙処理試験(ジェットスクラバ+ACF反応器)および実船システムの検討
 
2.3 実施の方法
実施の場所:三菱重工業株式会社 長崎造船所・長崎研究所
 
3. 平成16年度研究内容
 陸用のACF排煙処理装置では添加水および増湿冷却に工業用水を用いる。しかし舶用に適用する際、船舶内では清水の利用可能量が限られるため、工業用水の代わりに海水を用いることが考えられる。増湿冷却水、及び、脱硫反応の添加水として海水が使用可能となれば造水装置の容量が軽減出来るため、系統がシンプルとなり装置及びランニングコストの低減が可能となる。平成16年度研究ではACFの排煙処理装置での海水の利用可能性を検討するため下記を検討した。
・添加水として海水及び中和水を利用する場合の性状や、清水との混合比率などがACF触媒の排煙処理性能に与える影響を検証する。
・海水で増湿冷却を行うシステムについて、反応塔やACF触媒への塩類飛散などの影響を確認する。
 
3.1 海水添加水利用システムの検討
3.1.1 硫酸−海水反応中和水利用システムの検討
 本試験では、以下の項目について検証する。
・脱硫反応の添加水として海水を使用した場合に、清水(水道水)のときと比較した場合の性能の変化を検証する。
・硫酸を加えてpH5程度の酸性側に調整した海水を添加水として使用した場合に、清水(水道水)のときと比較した場合の性能の変化を検証する。pH調整には脱硫反応で生成した硫酸の利用が想定されるため硫酸を使用する。
 
3.1.2 海水による増湿冷却システムの検討
(1)装置
 ベンチ試験装置の系統図を図3.1.1に示す。また、装置の全景写真を図3.1.2に、反応塔の外観写真を図3.1.3に示す。
 コンプレッサーからの乾燥空気に液体窒素ベッセルから気化器を通して発生させた窒素ガスを混合して酸素濃度を調整後、適当な温度に調節した気化槽に通ガスして水分量を調整した。SO2ガスとNOガスは純ガスのボンベからマスフローコントローラーで流量を調整し、それぞれノズルから本流の配管内に注入し、後流に設置したガス混合器で均一に混合後、反応塔に通ガスした。反応塔上部からスプレーノズルにより水を添加した。ガスを反応塔に通過させた後、水分をドレンセパレータで除去し、SO2、NOについてはスクラバで許容濃度以下までガス洗浄してから系外に放出した。
 
図3.1.1 ベンチ試験装置の系統図
 
図3.1.2 ベンチ試験装置の全景
(左手がガス供給系、右手が反応塔)
 
図3.1.3 ベンチ試験装置の反応塔
 
 本試験装置の反応塔は正方形断面を持ち、内壁にフッ素樹脂(テフロン)をコーティングしたSUS製で内部に触媒が充填できるようになっている。外壁は二重構造のウォータージャケットになっており、恒温槽からの温水を循環することで一定温度に保持できるようになっている。さらに保温のため、反応塔外部はグラスウール製の保温材で覆っている。
 反応塔の各段上下には、ガス組成及び圧力の計測のためのサンプリングライン、熱電対などを取り付けたフランジが挿入されている。
 SO2濃度の計測は非分散赤外吸収方式のSO2計(堀場製作所、VIA510-SO2)を用いて行い、各計測点からサンプリングしたガスをバルブで切り換えて計測した。また、O2及びNO濃度の計測にはNOX-O2計(柳本製作所、ECC-88AO)を用いて、SO2と同様に行った。それぞれの計測器に導入する前に前処理装置を通して余分な水分を除去するようになっている。
 圧力損失は反応塔の各段の上下について水をいれたU字管マノメータにて測定した。水分濃度は塩化カルシウム重量法で測定し、反応塔入口で飽和蒸気圧に達していることを確認した。


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