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平成17年度 全国剣詩舞コンクール決勝大会
剣詩舞の新しい時代を感じされるコンクール
■平成17年9月18日(日)
■笹川記念会館国際ホール
 
 
財団を代表して挨拶する河田和良会長
 
審査結果を発表する入倉昭星総合審査委員長
 
審査講評をする石川健次郎総合審査委員。
壇上は大会役員、審査委員の皆さん
 
 全国の厳しい予選を勝ち抜いてきた精鋭一三〇名の剣詩舞道家が一堂に会し、栄誉ある優勝を競う平成十七年度全国剣詩舞コンクールが、今年も華々しく笹川記念会館国際ホールにて開催されました。
 定刻の九時半、鈴木吟亮副会長の開会の辞をかわきりに、河田和良財団会長が挨拶した後、競演実施要項や審査委員が紹介されると、いよいよ張り詰めた空気の中、審査コンクールが始められました。
 午前に剣詩舞の幼年の部、少年の部、青年の部の審査が行なわれ、午後には一般一部と一般二部が審査されました。
 審査は順調に進められ、みなさん日頃精進された練習の成果を遺憾なく発揮されていました。全体の印象としては、幼年の部は溌刺とした、いかにも幼年らしい愛くるしい剣詩舞が楽しめ、少年の部では少年らしさもさることながら、大人にも負けない内容の高い剣詩舞が披露され、訪れた剣詩舞愛好家の目を楽しませていました。青年の部は持ち前の若さを生かした躍動感を感じ、一般一部は心技体共に充実した舞を鑑賞することができました。また、一般二部は味わい深い舞に、円熟の極みを知らされました。
 そして、すべての審査が終了し、緊張から解き放たれた、ホッとした時間が会場に訪れました。晴れの栄冠を手にした人は、剣舞では幼年の部は野中政利くん(栃木)、少年の部は早淵良宗くん(兵庫)、青年の部は鈴木宏実さん(愛知)、一般一部は西原香さん(兵庫)、一般二部は玉田朝子さん(兵庫)でした。詩舞では幼年の部は柴田きよ乃さん(愛知)、少年の部は鈴木恵美子さん(岡山)、青年の部は大野晶子さん(愛知)、一般一部は甲本美恵子さん(岡山)、一般二部は笹野和子さん(兵庫)でした。優勝者の出身をご覧になればわかるとおり、剣詩舞はやはり西高東低の傾向が見られ、来年はぜひ北海道や東日本にもがんばってもらいたいと思いました。
 また、石川健次郎先生による審査講評が行なわれ、内容は次のようでした。
●二十八回という長いコンクールの歴史の中で、演技する人のものの考え方、演技に対する指導者の考え方が、時代と共に新しい感覚になってきている。古さから新しさへ変わる、時代の変化を感じた。それは現代に通じる剣舞になってきたということだ。
●幼少年は子供らしさが求められていたし、子供らしい演技が賞の対象になっていた。しかし、今日では大人も子供も同じ視点で評価される(演技が大人に近づいた)。
●剣舞において詩の転句では、雰囲気が変わったほうが良いとされるが、必ずしもそうではなく、振り付けの問題、作品によって違ってくる。
●剣舞の場合、足を開きすぎると、その後の動きが綺麗ではなくなる。そういう人が何人かいた。刀では袈裟切りのような場合、刀の寝方がだらしなく見える人がいた。
●詩舞では剣舞に比べて具体的な振り(具象)を入れる場合があるが、一部乱れているので、自然な振りを舞の振りとして取り入れてもらいたい。
●詩舞における扇子の使い方は、舞踊界の中では一番だと思う。
など、剣詩舞道家にとって大切なことを話されました。
 喜びに浸る人、来年に向かって練習を始める人、人さまざまですが、剣詩舞発展のためにさらなる精進を重ね、すばらしい剣詩舞を来年も見せてくれることを期待したいものです。
 
平成17年度
全国剣詩舞コンクール決勝大会 入賞者一覧
〔(文)は文部科学大臣賞〕
【剣舞】
●幼年の部
優勝(文)  野中 政利 (栃木)
2位  松本 勇斗 (福岡)
3位  酒井 希望 (大阪)
●少年の部
優勝  早淵 良宗 (兵庫)
2位  入倉 眸 (愛知)
3位  榛葉 貴博 (静岡)
4位  辻 祐 (福岡)
5位  五月女 智仁 (栃木)
●青年の部
優勝  鈴木 宏実 (愛知)
2位  坪田 里美 (愛知)
3位  藤野 舞 (福岡)
4位  松本 典子 (愛知)
5位  小嶋 一勝 (京都)
●一般一部
優勝  西原 香 (兵庫)
2位  中町 尚子 (兵庫)
3位  入倉 仁美 (愛知)
4位  今久保 朗子 (大阪)
5位  藤野 代志乃 (福岡)
●一般二部
優勝  玉田 朝子 (兵庫)
2位  鈴木 文枝 (愛知)
3位  中木村 千年 (兵庫)
4位  木之瀬千恵子 (山梨)
5位  池永 由紀子 (京都)
【詩舞】
●幼年の部
優勝  柴田 きよ乃 (愛知)
2位  友井川 慈 (兵庫)
3位  五味 和佳奈 (山梨)
●少年の部
優勝(文)  鈴木 恵美子 (岡山)
2位  中川 真生 (愛知)
3位  坂本 夏樹 (岡山)
4位  吉本 美樹 (兵庫)
5位  多田 麻衣子 (大阪)
6位  見城 真弥 (静岡)
7位  山本 純子 (大分)
●青年の部
優勝(文)  大野 晶子 (愛知)
2位  長坂 理絵 (愛知)
3位  佐治 亜有子 (京都)
4位  梶原 いずみ (岡山)
5位  田辺 文 (兵庫)
6位  藤野 綾 (福岡)
7位  尾曲 七保子 (山梨)
●一般一部
優勝(文)  甲本 美恵子 (岡山)
2位  増田 真理 (大阪)
3位  奥田 悦代 (岡山)
4位  佐々木まなみ (京都)
5位  神尾 由美子 (愛知)
6位  小室 敦子 (京都)
7位  鈴木 育代 (愛知)
●一般二部
優勝(文)  笹野 和子 (兵庫)
2位  廣瀬 都子 (大阪)
3位  井本 勝子 (兵庫)
4位  稲垣 和子 (愛知)
5位  杉原 加代 (広島)
6位  今和泉 靜子 (広島)
7位  安東 敏子 (愛媛)
 
優勝者の喜びの声
【剣舞優勝者】
◇幼年の部/野中政利くん(栃木)「自分では悔いのない舞ができたので、よかったと思っています。この結果に、一生懸命教えてくれたお父さんが一番喜んでいると思います」
◇少年の部/早淵良宗くん(兵庫)「周りはやれるといいましたが、自分では剣舞で優勝できると思っていなかったので、トロフィーを抱えた瞬間、日本一の重みを感じました。感激しています」
◇青年の部/鈴木宏美さん(愛知)「先生からは伸び伸びやりなさいといわれましたが、今回も緊張しました。親と子の表現といいますか、表情を出すのが難しく、苦労した点です。でも、優勝できて幸せです」
◇一般一部/西原香さん(兵庫)「何度か出させていただき、三位と二位にはなりましたが、やっと優勝することができて感激しています。今回は無心で臨んだのが良かったのではと思います」
◇一般二部/玉田朝子さん(兵庫)「何回も来させていただき、やっと念願がかなったので、感無量です。家族のみんなと、ご宗家には心から感謝申し上げます。ありがとうございました」
 
【詩舞優勝者】
◇幼年の部/柴田きよ乃さん(愛知)「トロフィーをもらって嬉しかったです。優勝した感じがしてきました。これからもがんばって、コンクールに出てみたいです。」
◇少年の部/鈴木恵美子さん(岡山)「今日は表情をなるべく暗くしないように気をつけました。詩舞は舞っていて楽しいし、優勝できたのでさらに楽しくなります。ありがとうございました」
◇青年の部/大野晶子さん(愛知)「今日は緊張しました。扇子が苦手なので、重点的に気をつけたつもりでしたが、やはりミスがありました。その点が悔いに残ります。もっと扇子を練習しようと思います」
◇一般一部/甲本美恵子さん(岡山)「この結果を信じられません。指導してくださった先生方のおかげだと思っています。今日は落ち着いて舞うことを心がけました。本当にありかとうございました」
◇一般二部/笹野和子さん(兵庫)「一回目から挑戦させていただき、やっと結果がでました。失敗するなど、いろんなことがあり、ここまでくるのに長くかかりました。諦めずにチャレンジしてきた甲斐がありました、ありがとうございました」
 
河田和良会長から会長賞の賞状を受ける剣舞幼年の部優勝者・野中政利くん
 
工藤龍堂専務理事から文部科学大臣賞を受ける詩舞少年の部優勝者・鈴木恵美子さん


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