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(3)イベント・行事等の参加者への配布
 イベントや各種行事の開催場所におけるチラシの配布は、その行事等の内容により「来訪者の目的」がわかりますので、その内容を吟味した上で実施することにより、配布の効果が期待できます。港祭り、船内見学、体験乗船、海浜でのイベント等は、海洋少年団活動と関連が深いので、その来訪者にチラシを配布することにより、特に大きな効果が期待できます。
 イベント等の参加者にチラシを配布する場合には、その主催者側に団員募集である旨を説明し、コーナーを設けたり、チラシ配布の場所・時間を確保する等、事前に主催者側と十分な話し合いを行い、許可を得ておくことが必要です。また、配布に当たっては、制服・制帽姿で団員と指導者が一緒に行い、団員から子どもへ、あるいは指導者からその保護者へと手渡すのが効果的でしょう。
 イベント等に参加した親子に対しては、そのイベントに関する感想を求めたり、団体活動に参加しているか等について、積極的に声をかけ、海洋少年団活動に興味を示すようであれば入団を勧めることも大切なことです。
 さらに、可能であればコーナーには指導者が待機し、保護者や子どもからの質問に答えられるように準備しておくことも必要で、入団に興味を示した子どもや親の連絡先を記録する名簿を用意しておくことも忘れてはなりません。それらの子ども等には、後日、海洋少年団側から体験入団の誘いをかけることも重要なことです。
 特に、随時入団を受け付けている海洋少年団にあっては、その場で入団の申込みを受ける場合もありますので、入団に必要な説明書や入団申込書を備えておくことも必要です。入団受付が年1回の海洋少年団にあっても、仮入団などの方法で、柔軟に対応することを勧めます。
(4)地域団体・組織経由での配布
 地域団体・組織を通じて、団員募集用チラシを配布する場合には、経由する団体・組織と事前に打ち合わせを行い、チラシが目的とする配布対象者に渡るようにすることが大切です。また、町内会、子ども会、青少年補導委員、PTA等の役員にお願いし、配布してもらうことも有効な方法の一つです。
 町内会の運動会、地域組織のイベント等の開催時に、海洋少年団活動のデモンストレーションを行い、手旗や隊列行進を披露し、参加を呼びかけるチラシを配布することも、PRを兼ね大きな効果が期待できます。特に、地域の子ども会行事に特別参加をお願いし、手旗・ロープワーク・各種ゲーム等で交換交流を行い、これらに興味を示す子どもにチラシを配り、参加を呼びかけることも大切なことです。
 
(5)募集ポスター掲示に合わせての配布
 団員募集ポスターは、学校、公共・地域の掲示板等に掲示する必要がありますが、その際には、掲示板の所有者若しくは管理者に、掲示の許可を得ておくことが当然必要になります。ただし、場所によっては、掲示自由の掲示板もあるので、これは有効に利用すべきです。
 いずれの場合においても、他の掲示希望者のことも考えて、募集期限や掲示期限を経過したものについては、早急に撤去するよう心がける必要があります。
 また、募集チラシの配布は、募集ポスターを掲示した上で実施する方がより効果的です。すなわち、地域の団体・組織等を経由して、募集ポスターを配布する場合には、同地域にある掲示板へのポスター掲示に合わせて実施することにより、PR効果がより大きくなるので、平行して実施することが望ましい。
 屋内の施設に募集ポスターを掲示するに当たっては、ポスターの近くにチラシを置ける場所があれば、チラシを置かせてもらうことも効果を上げる一つの方法です。さらに、公民館等で募集ポスターの掲示が可能な場合には、単に掲示するだけではなく、可能であれば職員の方に、簡単な内容の説明をして、チラシを渡してもらえるようにできれば、より効果が期待できます。
 
5. 「口コミ」によるPR
 現在、海洋少年団は、ボーイスカウト等に比べ、その活動に直接係っている人を除き、一般の人たちにとっては、その知名度が決して高いとは言えません。そのため、一般の人たちが海洋少年団活動に関する知識や理解を得るのは、団活動をしている団員やその父母からの情報と、実際にその人の目で見てみることの両方から入手することになります。
 海洋少年団を知らない一般の父母たちは、先ず「口コミ」によるその評判とともに、実際に自分の目で見た上で、海洋少年団について理解し、その次の段階として、子供を預けるかどうかの判断をすることになります。さらに、「口コミ」のもう一つの効用は、海洋少年団所在地周辺の人たちの「口コミ」による評判が、その団員たちにとっても、大きな励みになるということでもあります。
 この「口コミ」による評判は、海洋少年団が本来の日常活動をしっかりと行っていれば、必然的についてくるものであり、そのために特別なことをする必要はないのです。しかし、団員と指導者及びその父母たちが意志の疎通を十分に行い、一体となって常に分かり易い説明に心がけ、一般の人たちに無用な誤解を与えないようにする必要があります。
 一般の子どもや父母が、理解の段階から入団の段階に進むには、海洋少年団の目的と効果、それに要する手間隙と費用等が明らかになっていて、しかもその活動が魅力的でなければなりません。そして、これらが「口コミ」で伝わるためには、団側が日頃から団員の父母やその団の周辺に対して、常に正しく分かり易い情報を発信しておく必要があります。定期的に発行する機関紙や、年に数回開催する父母との懇談会も情報共有化の助けになります。
 また、海洋少年団に関する知識を持ち合わせていない人たちにあっては、地域活動等に参加した団員たちの行動を直接目にしたことが元になって、「口コミ」になる可能性があるわけですが、場合によっては、これが本来の団活動と若干の差異が生じることもあり、不正確な「口コミ」となって広まる恐れがありますので、そのようなことが起きないように、海洋少年団についての知識がないとみられる人が多数見ている場合には、適宜説明を加えるなどして、正しい情報が伝わるよう努力する必要があります。
 「口コミ」は、大きく分けて、団員レベルと保護者レベルに分けられます。しかし、通常は、保護者に対しての「口コミ」を想定して情報等の提供に努めれば良いでしょう。なぜなら、ある事柄について判断を下し、それに魅力を感じて自分の周りの人にそのことを伝えるには、ある程度の判断能力が要求され、通常は小学校3ないし4年生程度以上の判断能力が必要と考えられます。海洋少年団は、現在小学校1年生から正規の団員として募集しているので、その前の幼稚園児や保育園児のレベルでの「口こみ」が必要となりますが、この年代では生活空間が狭く、判断能力も高くないので、その家庭内での「口コミ」でしかないでしょう。
 したがって、団組織としての余裕があり、小中学校の各学年からの途中入団についても対応できる海洋少年団にあっては、子どもを介した「口コミ」に積極的に対応することも有効でありますが、そうでない海洋少年団にあっては、対象を保護者に絞った方が現実的と考えます。


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