日本財団 図書館


今月の詩(7・8)
平成十七年度全国吟詠コンクール指定吟題から
【幼年・少年・青年の部】(続絶句編)(7)
桂林荘雑詠諸生に示す その(三)  広瀬淡窓
 
【大意】桂林荘の塾生になろうと諸方から集まって来た者は、数えきれぬほど多い。又、出身地も、筑前・筑後・肥前・肥後・豊前・豊後と多岐に亘っている。それらの塾生達が、簾いっぱいに梅花の影のうつる、うららかな春の日の昼さがりにも勉学に励んで倦むことを知らず、読書の声が、或いは高く或いは低く、窓外に響いてくる。
 
【一般一部・二部・三部】(続絶句編)(7)
松島  釈 南山
 
【大意】天下いたるところに山水の名勝があり、それぞれその地方で評判が高い。ところが、この松島は、それらの美景がすべて残らず集まっているので、この松島に比較すれば、ほかの名勝といわれるところは影が薄くなってしまう。松島のほかには天下に山水無しと言っても過言ではない。
 
【幼年・少年・青年の部】(続絶句編)(8)
壇の浦夜泊  木下犀潭
 
【大意】先刻まで、船の窓に見えていた月も沈んでしまったのに、なかなか眠れない。今宵は、壇の浦で船泊りをすれば、暖かい春風が吹きわたって、もう五更(午前四時)もとうに過ぎている。すでに漁を始めた漁師の笛の音が、安徳帝はじめ、平家一門の恨みをこめるかのように、一声響き渡る。見れば、安徳帝の墓、養和陵の下手あたりの海面は煙が立ちこめたようだ。
 
【一般一部・二部・三部】(続絶句編)(8)
佳賓好主  佐藤一斎
 
【大意】月は、満開の梅花を訪ねて来て、好い主人であるとし、一方、梅の方では、月影を迎えて、よい賓客であるとしている。明るく照らし出す月影、芳香を漂わせる梅の花、この賓客と主人とは、好一対のすぐれた風景である。かくしてこの月と梅花は、春のたそがれどきの一刻を、わがものとしているのである。
(解説など詳細は財団発行「吟剣詩舞道漢詩集」をご覧ください)


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION