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吟剣詩舞だより
千葉県吟剣詩舞道総連盟吟行会
平成十六年十一月六日〜七日
野地温泉
秋の野地温泉と五色沼
 千葉県吟剣詩舞道総連盟では一年の行事計画の一環として、会員の親睦と交流を深める事を目的とした吟行会を実施しています。今回は福島県の野地温泉と五色沼を計画しました。
 
野口英世記念館より磐梯山を望む
 
 総勢一三〇名がバス三台に分乗し、好天に恵まれた十一月六日目的地に向かいました。バスの中では自己紹介から始まり、歌やクイズ、ゲーム等楽しく過ごしました。また、あらかじめ太田理事長より発案があった、新潟県中越地震被災地に対するお見舞いの募金を行ないました。同行の会員全員が快く協力し、約七万二千円程集まりました。そうこうする中に目的地に着きました。
 目的地、野地温泉は磐梯朝日国立公園の一角にあり、東北の代表的な美湯の一つに数えられています。情緒豊かで野趣溢れる露天風呂など五つの乳白色のいで湯で、みな身も心もなごむ思いでした。夜の懇親会では理事長より募金協力のお礼のことばがあり、また千葉県総連より十万円を加えて新潟県総連を通じて被災地に送られる旨の発表がありました。いつ何処で起こるか分からない天災は防ぎようが無く恐ろしいという思いと共に被災地の一日も早い復興を心から祈らずには居られませんでした。
 翌朝は五色沼の散策に出かけました。水質の成分や沈澱物、水底に茂る植物等により水面の色が違う五つの沼があり、その自然の作り出す美しい景色にしばし心も清々しい気分になりました。その後野口英世記念館、ガラス館等を訪れた後、帰途に着きました。今回私は初めての参加でしたが、とても有意義な楽しい一泊二日の旅でした。
(千葉総連・篠崎錦宵)
 
第三回心のふるさとをたずねて・・・吟詠の旅
平成十六年十二月五日
函館市芸術ホール
第一部(企画構成吟)「天神様・菅原道真公の生涯」
第二部(企画構成吟)「文明の流れ・大黄河」
特別企画「全国へのはばたき」
第三部(企画構成吟)「親と子・その愛」
 
 財団公認北海道南部吟剣詩舞道総連盟に加入の五団体が、協力、心を一つにを合言葉に始めた第三回目の「心のふるさとをたずねて・・・吟詠の旅」は、去る十二月五日、函館市芸術ホールで開催されました。
 当日は、師走には珍しいといわれる台風が日本列島を直撃、東京は風速四〇メートルを記録したことで空便が欠航、北海道帯広では六五センチの積雪と報道があったように、ここ函館市も早朝から強い風雨に見舞われたが、六〇〇名を超える入場に、主催側(総出演者一三五名)はそっと胸をなで下ろすことができました。
 
企画構成吟「文明の流れ・大黄河」の一場面
 
 演目は、四部からなり、特別企画を除いては、すべて企画構成の二九場面、舞台芸術をめざす会員の精一杯の演技と熱意が観衆を魅了し、会場は賞賛の拍手と大きな感動につつまれていました。中でも収穫は、吟詠に寄せるたくさんの観客の素敵な笑顔に出逢えたこと、催しを成功させたいとする会員の共通理解が得られたことでありました。
 一方、吟道振興への一環としては、全詩文をプログラムに載せ、ルビを振ることで漢詩の難しいイメージの払拭に努めていることと、新たな試みとしては、過去に全国吟詠コンクール決勝大会への出場を果たした会員(少年・青年・一般二、三部)に独吟の場を提供出来たことでありました。
 終了後の懇親会では、会員の「やった」という達成感が会場の雰囲気を盛り上げていました。
(総連盟理事・鈴木城興)
 
平成十六年十二月四日
高知県民文化ホール
大日本水心流虎詩舞道虎嘯館
四代目宗家田中霊凰飛翔記念大会
 去る十二月四日高知県民文化ホールに於いて、財団法人日本吟剣詩舞振興会、高知県、高知市教育委員会その他各方面のご後援を頂き、四代目宗家田中霊凰飛翔記念大会を開催する事が出来ました。
 今大会は宗家襲名後十数年は学業に専念し、卒業を期に再出発の意味も兼ね県内各流の吟剣詩舞道家の協賛を得て、午前の部は当会員の演舞で、引き続いて式典では高知県吟剣詩舞道総連盟顧問東川正弘様、同じく会長野中秀鳳先生のお祝辞を頂き、そして祝電披露、宗家のお礼の言葉で終わりました。午後から宗家コーナー春の風、人生の詩、の構成吟の幕開けとなり、宗家三歳の時手に余る大きな扇を持って舞台に立ったビデオの放映で会場は一瞬しんとなりました。
 
構成吟「さくらさくら」の吟と舞
 
 続いて次の世代を背負って活躍を期待する幼少年八名と宗家の「春よこい」の踊りは可愛い立ち姿に拍手喝采で会場は湧きました。その次は、人生の詩に因んだ「梅花」と「桜祠に遊ぶ」と「月夜荒城の曲を聞く」の三題の演舞と続き、特に「月夜――」は師であり祖父である三代宗家が生前愛し親しまれた曲で、宗家外六名の演舞は力強く心の籠もった演舞となり圧巻でした。
 フィナーレは会場の皆さんと一体になり“さくらさくら”の童謡を歌って、華やかな雰囲気のなか幕は下がり、引き続き県内の吟剣詩舞の諸先生方のご出演で最後を締めて頂き、大会は盛会裡に終了致しました。
(大会事務局長・須夜崎霊彗)
 
ひとこと 〜今年は終戦六十周年〜
沖縄県総連 加藤正山
 
 過去を振り返るとマッカーサーにより日本には航空機を作ること禁止、そのため航空機は遅れてしまい、今はもう世界に追いつけない。
 文化も終戦と同時に歌舞伎、吟剣詩舞、時代劇復讐物、腹切り物一切、禁止された。そのために故人となられた山本泰山、早稲田の本庄道保(ほんじょうみちやす)、鈴木凱山先生等吟剣詩舞の方々が、「これは伝統文化であって芝居的なものです」とGHQへ陳情に。
 半年毎に、九州では金房冠一郎、鹿児島の榎木麗洲先生等々が(関西は知りませんが)陳情に大変苦労なさって幾ら書類を持っていってもはねつけられ、がっかりして帰られた。
 その頃私は福岡の三井田川鉱業所に居て石炭掘り、きついので一時逃げてドサ回りの南条隆劇団で斬られ役をやって飯を食っていたが、大変な時代でした。昭和二十五年やっと許可がおりて剣舞が出来る様になり歌舞伎もOKとなった。
 亡くなっていった先輩達のお陰で今日の吟剣詩舞の発展があるので、それを忘れてはならない。


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