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吟剣詩舞の若人に聞く 第68回
高須巳嘉さん
 
高須巳嘉さん(十一歳)●岡山県在住
(平成十六年度全国剣詩舞コンクール決勝大会詩舞幼年の部優勝)
母:高須美佐子さん
師:霜山玉山さん
宗家:藤上南山さん(菊水流剣詩舞道本部)
すべてが初めてのコンクールで優勝の快挙
 昨年九月十二日に行なわれた平成十六年度全国剣詩舞コンクール決勝大会詩舞幼年の部に優勝した高須巳嘉(みか)さんとご家族、ならびにご宗家、師を大会会場である笹川記念会館にお訪ねし、優勝の喜びなどをお聞きしました。
 
――優勝おめでとうございます。
巳嘉・美佐子「ありがとうございます」
――まず今のお気持ちから聞かさせてください。
巳嘉「(か弱い声で)嬉しいです」
藤上「もっと嬉しそうな声で言いなさい」(爆笑)
――まだ実感がわかない?
巳嘉「・・・」(笑)
――詩舞を始めてどれくらいですか?
巳嘉「幼稚園から始めました」
美佐子「五歳からです」
――今回の優勝は、初出場での快挙だそうですが?
美佐子「はい、そうです。しかも、岡山のコンクールも含めて、コンクールという名の付くものは今回が初めてなのです。だから信じられません」
――それはすごいですね。
美佐子「ありがとうございます」
――五歳からやっているけど、詩舞は面白いですか?
巳嘉「難しいところもあるけど、楽しいです」
――始めるきっかけは、誰かに勧められたの?
巳嘉「おばあちゃんに勧められました」
美佐子「主人のほうのお母様がされていたので・・・」
――お母様としては勧められて、どのように思いましたか?
美佐子「私自身もこの子に何か習い事をさせようと思っていましたから、詩舞もいいかなと思い、勧められるまま習わせることにしました」
――巳嘉さんを教えられて、指導者としてどんな印象を持たれましたか?
霜山「私としては、子供は初めてでしたから、教えるというより一緒になって遊びながら、その延長にお稽古がある感じでした」
藤上「ここ二、三年前から、この子は伸びるのではないかと思うようになり、ひときわ目に留まりだしてきました。それまではおとなしいので、あまり目立ってはいませんでしたね」(笑)
――伸びると感じた理由は何ですか?
藤上「理由というより、この子のもつ雰囲気かもしれません。まだまだこの子は伸びるでしょうし、少年の部になっても、かなりのところまでいける可能性をもっていると思います」
――コンクールは緊張しなかった?
巳嘉「出る前までは緊張しましたが、舞い始めたら緊張しなくなりました」(笑)
――練習では、どんな点を注意されるの?
巳嘉「扇子の返しなどをよく言われます」
霜山「コンクールに出るというと、本人も自覚して練習するようになり、突き詰めたお稽古をしますから、どうしても細かなことまで注意してしまいますね。それでもこの子はついてきますから、頼もしいと感じました」
 
優勝の喜びを語る高須巳嘉さんを温かく見守る(左)藤上南山宗家、(右)師の霜山玉山さん、母の高須美佐子さん
 
――コンクールに出るようになると、意識などが変わりますか?
霜山「はい、変わりますね。これまでは他の子が出るのを憧れのように見ていたと思うのですが、実際自分が出るようになると、それは意識も変わると思います」
――他の子が出るのを見て、何か思った?
巳嘉「すごいと思いました」
――今回のコンクールに対して目標はありましたか?
巳嘉「三位までには入りたいと思いました」
――目標以上になりましたね?
巳嘉「え・・・」(笑)
霜山「優勝するとは思いませんでしたから、とにかくビックリしています。この喜びは、今晩あたりから実感がわくのだと思いますが・・・」(笑)
――ご宗家から見て、コンクールの舞台はいかがでしたか?
藤上「稽古のときよりも、良いものが出ていたと思います。だから入賞するかなと思いましたが、まさか優勝とは」(笑)
――お母様は詩舞を習わせてよかったと思いますか?
美佐子「頑張ることの素晴らしさ、またこうして結果が出れば、なおさら頑張ることに意義が出てきますし、詩舞を習わせてよかったと思います」
――巳嘉さんは学校で何かやっているの?
巳嘉「スポーツをしています。ドッチボールです」
――これからは少年の部へ上がるわけですが、指導の面で変わることがありますか?
霜山「今を大切に、育てていきたいと思います。年齢が上がれば体形も違ってきますし、考え方も違ってくるでしょう、その時その時を大切に育てます」
 
インタビューを終えて、写真(右より)藤上南山宗家、高須巳嘉さん、霜山玉山さん(師)、高須美佐子さん(母)
 
――今の巳嘉さんの長所短所はありますか?
霜山「まだ小さいので、形をとるお稽古はできますが、詩心を考えた内面からの演舞はまだまだですね。年齢的に仕方がないことなので、年齢が上がるにつれて、そうしたことが課題になってくると思います」
――吟題「月夜三叉口に舟を泛ぶ」を選ばれた理由は何ですか?
霜山「幼年の部は『月夜三叉口に舟を泛ぶ』が、うちの流派の課題詩でしたからそうなりました」
――振り付けでご苦労されたことは何ですか?
藤上「苦労というのではありませんが、少し手を加え、子供用の振り付けにしました」
――巳嘉さんに対して何かありますか?
藤上「このままスクスクと育ってほしいです。優勝や入賞も大切ですが、青年になったら流派の中の指導者になってほしいと思います」
――指導者になってほしいとおっしゃっているけど?
巳嘉「・・・」(笑)
藤上「まだピンとこないよね」(笑)
――これからも詩舞を続けていきますか?
巳嘉「はい」
藤上「これからは厳しくなってくるよ」(笑)
――最後に、皆さんから一言お願いいたします。お母様からどうぞ。
美佐子「この半年間、よく頑張ったなと思います。これからも先生の言うことをよく聞いて、頑張ってください」
霜山「本人の努力もさることながら、お母さんの努力も大変なもので、敢闘賞とか努力賞をあげたいと思います」
藤上「無論本人の努力や周囲の援助も大事ですが、実はライバルが大勢おり、頑張れたのは、そのライバルのおかげでもあるわけです。ライバルが応援してくれたり励ましてくれたりするから、やってこられたと思います。よく頑張ってくれました」
――本日は優勝おめでとうございます。これからの皆様のご活躍を期待しております。


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