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2004国民文化祭協賛事業 高松宮妃癌研究基金奉賛
第三十七回 全国吟剣詩舞道大会
日時■平成十六年十一月十四日(日)
場所■日本武道館
主催■財団法人日本吟剣詩舞振興会
後援■文化庁・財団法人日本武道館・NHK
長い歴史に培われた、魅力あふれる名大会
 一年の締めくくりにふさわしい一大イベント、全国吟剣詩舞道大会が、武道館を舞台に本年も華やかに開催されました。早朝から武道館の周りは大勢の人で埋まり、大会に寄せる期待の大きさを物語っていました。
 
 全国吟剣詩舞道大会は一年を締めくくるにふさわしい、財団事業の中でも特に大きなイベントのひとつです。今年も早朝から多くの人が、期待に胸を膨らませながら武道館に足を運んでいました。
 大会は、まず鈴木吟亮専務理事の開会のことばで始まりました。つづいて各流各派五十五団体が合吟を競う、平成十六年度全国吟詠合吟コンクールが行なわれました。一番手から五十五番手まで、総勢三〇二五名の合吟は、まさに合吟ならではのスケールの大きさ、心をひとつにして吟じる連帯感など、その魅力を十分に楽しめる企画であり、それに応えるかのように出場した各団体も日頃の精進をここぞとばかりに発揮していました。そして、見事に晴れの栄冠を勝ち得たのは、吟道賀堂流近畿本部女子(兵庫)でした。
 
式典であいさつを述べる河田和良会長
 
企画番組で「早春 東台に遊ぶ」(小林虎三郎作)を吟じる鈴木吟亮氏
 
全国コンクール優勝者演舞で「笛を吹く」(杜甫作)を舞う群舞詩舞の部優勝の入倉仁美さんチーム(吟詠は杉山翔鴻吟士)
 
 つづいて、全国コンクール優勝者及び優勝チームの吟剣詩舞が披露されました。まず、平成十六年度全国吟詠コンクール優勝者が出場し、幼年の部の難波初衣さんと、少年の部は山本純子さんが「汪倫に贈る」、青年の部の奥村由美さんが「新涼書を読む」、一般一部の土澤なぎささんと一般三部の河島末松さんが「母を奉じて嵐山に遊ぶ」、一般二部の野島繪未さんが「静夜思」を見事に吟じ、優勝者の名に恥じない吟詠を披露してくれました。平成十六年度全国剣詩舞コンクール優勝者は、剣舞幼年の部の加賀裕人くんと少年の部の藤野綾さんが、八代光晃子吟士が吟じる「青葉の笛」にのせ、詩舞幼年の部の高須巳嘉さんと少年の部の三宅絢子さんは、大伊達不朽吟士による「月夜三叉口に舟を泛ぶ」をバックに立派な舞を見せてくれました。剣舞青年の部の伊藤武さんは矢田星旺吟士が吟じる「凱旋」を舞い、詩舞青年の部の鈴木宏実さんは米本耿泉吟士が吟じる「和歌・天つ風」を、剣舞一般一部の鈴木文枝さんは吉村鷹洲吟士が吟じる「和歌・わが胸の」を、詩舞一般一部の上岡治生さんは辰巳快水吟士による「母を憶う」で美しい舞を披露してくれました。剣舞一般二部では加藤政恵さんが清水錦洲吟士の吟じる「垓下の歌」で、詩舞一般二部の菅原かよさんは辰巳快水吟士による「母を憶う」を披露してくれました。剣詩舞も吟詠に劣らず、優勝者らしい見事な演舞を楽しむことができました。平成十五年度全国剣詩舞群舞コンクール優勝者の舞台は、忽那琥龍吟士が吟じる「無題」にのせて、大野昌子、鈴木宏実、長坂理絵さんが剣舞を、杉山翔鴻吟士が吟じる「笛を吹く」にのせて、入倉仁美、山本薫、山本直子、川野佳代、石川公江さんが詩舞を披露してくれました。
 
全国コンクール優勝者演舞で「青葉の笛」(松口月城作)を舞う剣舞幼年の部・加賀裕人さん(吟詠は八代光晃子吟士)
 
文化庁官代理として祝辞を述べられる芸術文化課長・西阪昇氏
 
 午後は式典から始まり、国歌斉唱のあと、河田和良財団会長が挨拶に立ち、笹川良一創始会長の「吟剣詩舞は心に栄養を与える芸道である」との言葉を用い、若人の育成は急務であると、これからの吟剣詩舞道に対する決意を述べておられました。来賓挨拶では河合隼雄文化庁長官代理の西阪昇芸術文化課長が長官の祝辞を読み上げ、その中で、吟剣詩舞は礼節や思いやりなど、社会生活に必要なものを学べる大切な芸道文化であると話されました。高松宮妃癌研究基金奉賛目録贈呈では、河田和良会長から廣澤眞信高松宮妃癌研究基金常務理事へ贈られ、平成十六年度吟剣詩舞大賞では、山中梅鈴、西形興信、清水照鵬、松永悠楓、小笠原紫暁の各氏が吟剣詩舞功労賞を受けられました。また、平成十六年度少壮吟士として、大澤雅翠、後藤娟桜、辻本水晴、田中国臣の各氏が晴れて少壮吟士として紹介されました。
 式典も無事終了すると、いよいよ期待の企画構成番組「日本開国百五十年―横浜開港と米百俵―」の幕が開きました。内容は横浜開港の恩人とも言える佐久間象山と小林虎三郎の師弟、同じく象山門下の逸材として知られる吉田松陰や勝海舟、坂本竜馬、橋本左内など、明治維新に至る激動の時代を、彼らが残した詩歌を吟詠と剣詩舞で味わうものでした。河田和良会長をはじめ財団役員の方々、また当代一流の剣詩舞家の皆さん、そして少壮吟士など、見ごたえ聴きごたえ十分の舞台が次から次へと展開し、最後まで一気に見入ってしまうほどの充実振りでした。フィナーレは笹川良一創始会長の作「吟剣詩舞道讃歌」を全員で合吟し、すべてのプログラムが成功のうちに終了しました。来年もまた、素晴らしい舞台を披露してくれることを期待して、みなさん家路についていました。
 
合吟コンクール入賞の喜び
第1位:吟道賀堂流近畿本部女子(兵庫)
〔優勝〕
吟道賀堂流近畿本部 女子(兵庫)
大崎賀瞳邦さん、八木賀崇桜さん
 「皆さんに助けていただき、ありがとうございました。前回は三位でしたので、優勝は感無量です。とにかくチームワークを大切に心がけ、皆さんにも協力していただけたので大変喜んでおります」
 
第2位:大阪府吟剣詩舞道総連盟女子(大阪)
〔準優勝〕
大阪府吟剣詩舞道総連盟 女子(大阪)
藤本紫滔さん、風呂谷實女さん
 「今回が初めてなので、思いがけずのことにビックリしています。練習も大変でしたが、浪速女の根性を見せることができて嬉しいです。次は、さらに根性を見せて上を狙います」
 
第3位:泰洲流詩吟朗詠会女子(三重)
〔三位〕
泰洲流詩吟朗詠会 女子(三重)
坂倉洲星さん、松永洲峰さん
 「五十五人、毎日力を合わせて練習に励んできた甲斐がありました。また、男性の人たちのご協力があり、いろいろお世話していただき感謝しています。ありがとうございました」
 
平成16年度(第19回)吟剣詩舞大賞受賞者
吟剣詩舞功労賞
山中梅鈴氏(熊本)昭和四年一月十九日生
 詩吟道日本吟声流総本部宗家、財団法人日本吟剣詩舞振興会理事、同九州地区連絡協議会副幹事長、財団公認・熊本県吟剣詩舞道総連盟常任相談役
 
西形興信氏(神奈川)昭和七年一月二十三日生
 興國流横浜吟詠会会長、財団法人日本吟剣詩舞振興会理事、同東日本地区連絡協議会副幹事長、財団公認・神奈川県吟剣詩舞道総連盟理事長、平成十六年叙勲瑞宝双光章受賞(更正保護)
 
清水照鵬氏(愛知)昭和五年九月十日生
 朝翠流照鵬吟詠会会長、財団法人日本吟剣詩舞振興会理事、同中部地区連絡協議会副議長、財団公認・愛知県吟剣詩舞道総連盟常任相談役、平成十三年豊橋市文化振興賞受賞
 
松永悠楓氏(栃木)大正十四年五月二十日生
 祥流吟舞道宗家、財団法人日本吟剣詩舞振興会理事、同東日本地区連絡協議会副幹事長、財団公認・栃木県吟剣詩舞道総連盟常任顧問、平成九年ブラジル州グランクルス勲章受章
 
小笠原紫暁氏(兵庫)明治四十二年二月一日生
 紫暁流日本吟奨会総本部宗家会長、財団法人日本吟剣詩舞振興会相談役、同近畿地区連絡協議会常任参事、財団公認・兵庫県吟剣詩舞道総連盟顧問、平成九年度文部科学大臣地域文化功労者表彰受賞
 
合吟コンクールで優勝した吟道賀堂流近畿本部女子の皆さん
 
式典で新少壮吟士として紹介、表彰された大澤雅翠、後藤娟桜、辻本水晴、田中国臣の4氏(右から)
 
平成16年度全国吟詠合吟コンクール入賞団体
優勝 吟道賀堂流近畿本部 女子(兵庫)
第2位 大阪府吟剣詩舞道総連盟 女子(大阪)
第3位 泰洲流詩吟朗詠会 女子(三重)
入賞二十二団体(出場順) 詩吟洌風流 男子(東京)
神奈川県吟剣詩舞道総連盟 女子(神奈川)
日本国風流 女子(岡山)
契秀流吟詠会 男子(神奈川)
吟亮流和花菜会 女子(東京)
吟亮流栃木県地方本部 女子(栃木)
吟道紘仙流白鴎会 男子(神奈川)
契秀流吟詠会 女子(神奈川)
聖風流吟道会 女子(長野)
岳精流日本吟院総本部 女子(神奈川)
詩吟洌風流 女子(東京)
東京都吟剣詩舞道総連盟 男子(東京)
緑崇流吟道緑水吟詠会 女子(大阪)
清吟堂吟友会香川 女子(愛媛)
墨水流墨水会 男子(東京)
東京都吟剣詩舞道総連盟 女子(東京)
墨水流墨水会 女子(東京)
岳精流日本吟院砂子岳精会 女子(神奈川)
千葉県吟剣詩舞道総連盟 女子(千葉)
山梨県吟剣詩舞道総連盟 女子(山梨)
春洋流東洋吟詠会 女子(東京)
春洋流東洋吟詠会 男子(東京)
 

〈お詫び〉昨年11月号掲載の「全国剣詩舞コンクール決勝大会入賞者一覧」の中、詩舞少年の部4位は「高岡美恵」さんの誤りでした。お詫びして訂正致します。


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