私のハンセン病制圧活動に対して、財団法人日本吟剣詩舞振興会の会員の多くの皆さまから寄付金を頂戴し、誠にありがとうございます。

　皆さまからのご支援は、私が行なっている困難な活動に、いつも大きな励みとなっています。

　私は四月中旬にネパール王国に行きました。皆さまご存知のように、ネパールは世界最高峰のエベレスト山（標高八八四八メートル）がそびえる山岳国であると同時に、国の三分の一は耕作可能な平地が存在しています。人口二四八〇万人ほどの国ですが、世界的にもハンセン病が制圧されていない六カ国のうちの一つです。

　その理由の一つは、四〇〇〇メートル級の高い山々の間に村があり地理的悪条件とともに山岳地帯に派遣される医療従事者が不足しているという問題があります。そして近年、毛沢東主義者の一団が、反政府活動を活発化させ、ネパール全土が治安上大きな問題を抱えています。

　従って、治安上の理由で今回は首都のカトマンズとその近郊にしか行けず、地方の最前線の現場を視察することができず誠に残念でした。しかし、カトマンズから車で四十分程のバクマティ川の河川敷にあるコカナ診療所（ハンセン病療養所）を訪問することができました。この療養所は、一九七九年に父の笹川良一がこの地を訪ね、病床に臥す老婆の手を握りしめた時に、同情のあまり号泣した所です。この時の映像は、日本をはじめ全世界で放映され、大きな感動を人々に与えました。

　父が寄付をしたこの療養所を二十五年後に訪ね、現在も清潔に管理され、患者さんが近代的な治療を受けている姿をこの目で見たことは、私にとって大変感慨深いものになりました。

　今回のネパール訪問では、首相、保健大臣などの政治指導者と会談する機会もあり、二〇〇五年までのハンセン病制圧達成とそのための活動努力への強い意志を確認できたことは大変有意義でした。しかしながら、治安の回復なくしてハンセン病の制圧活動の成功はないと大きな危惧を感じています。九月にもう一度あらためてネパールに行きたいと考えています。

　皆さまからのご寄付は、全てハンセン病の患者や回復者のために確実に使われていることをご報告いたします。

　

　現在、開発途上国におけるハンセン病回復者自立支援事業における「（財）日本吟剣詩舞振興会」を通じてご寄付いただいた額は、三、一九五、四三九円（五月末日現在）となっております。

　ハンセン病回復者自立支援募金は、本誌最終頁に貼付の「専用振込用紙」をご利用いただき、最寄の郵便局からお振込ください。送金手数料はかかりません。皆さまの温かいご支援をお願いします。

　

　

一、和歌・庭の面は　（源　頼政）

二、和歌・夏は来ぬ　（吉井　勇）

三、山の夜　（嵯峨天皇）

四、舟八島を過ぐ　（正岡子規）

五、諸生と月を見る　（中江藤樹）

六、琵琶湖上の作（室　鳩巣）