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吟剣詩舞
こんなこと知ってる?(4)
 四月号から始まった新企画「吟剣詩舞こんなこと知ってる?」の四回目です。読者の皆さまと双方向で意見が交換できるコーナーとして設けております。
 吟剣詩舞の歴史、人物、身近な出来事など、読者の皆さまが驚くようなこと、是非、知らせたいことがありましたら財団事務局月刊誌係まで、ご寄稿をお願いいたします(形式は問いません。写真等も歓迎です)。
 今回は読者の方々から戴いたご質問について、本部事務局がお答えいたします。
 
“コンダクターで使われている水(ミ)、乙(ラ)、一(シ)、二(ド)、三(ミ)・・・七(ド)、八(ミ)という詩吟の音名表記の起源(原典)を教えていただきたいと思います”
 詩吟コンダクター(昭和五十三年発売)の音名については、詩吟コンダクターの開発にあたって助言を与えられていた財団二代会長笹川鎮江先生(吟詠静凰流初代宗家)が使用されていた吟詠の音名が元になっていたようです。
 笹川鎮江先生は筑前琵琶のご出身で、詩吟は日本詩吟学院祖宗範の木村岳風先生に師事されました。長唄や民謡等にも精通されていました。
 今日、財団の各種コンクールプログラムに紹介されている財団会詩(吟剣詩舞道讃歌)合吟用の吟詠譜は、笹川鎮江先生が作譜されたものです。音名は詩吟コンダクターと同じもので表記されています。
 また、詩吟の音名を数字で表記した原典的存在としては、作曲家の舩川利夫先生が師事された箏曲家・古川太郎先生が著わした「詩吟法大鑑」(昭和十年発行)があります。
 
【音名】比較表
 最も知られている音名は、イタリア語の「ドレミ・・・」です。ポピュラー音楽では英語の音名がよく使われています。
※詩吟の音名「四」は、イタリア音名では「#フア」にあたります。
 
 
詩吟が踏む音階(古川太郎著「詩吟法大鑑」より)
 
“「一拍二音」とはどういうことを意味するのでしょうか”
 「一拍二音」に関しても古川太郎先生著「詩吟法大鑑」に詳しいので、簡単にご紹介させていただきます。
 古川先生は、詩吟には唱歌等に見るようなハッキリした拍子はありませんが、もともと、人の身体の生理は律動的に営まれているものですから、舞っても歌っても、自ずと拍子が伴ってきます。詩吟にも、どこかに大きな脈拍のようなものを聞くことが出来ることで、人の音楽的感情にうったえることが出来ると言われています。
 その拍子のとり方の一つが「一拍二音」の方法で、『君が代』の歌を例にして説明しますと、始めの「き」の一拍の言葉に表拍子と裏拍子の二音が、表裏の半分ずつ集まって、一拍になっていると言われ、これを詩吟に応用されると良い吟が出来るといわれています。
 
拍子のとり方(古川太郎著「詩吟法大鑑」より抜粋)


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