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取材――株式会社サークオン
 
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水六訓
一、あらゆる生物に生命力を与えるは水なり。
 
一、常に自己の進路を求めてやまざるは水なり。
 
一、如何なる障害をも克服する勇猛心と、よく方円の器に従う和合性とを兼ね備えるは水なり。
 
一、自から清く他の汚れを洗い清濁併せ容るの量あるは水なり。
 
一、動力となり光となり、生産と生活に無限の奉仕を行い何等報いを求めざるは水なり。
 
一、大洋を充し、発しては蒸気となり、雲となり、雨となり、雪と変じ、霰と化してもその性を失わざるは水なり。
 
 水を心とすることが平和と健康と長寿の妙薬であります。
 
笹川良一
 
OPINION
明日への提言
 
明治三十二年に英文で刊行された農学博士・新渡戸稲造の名著『武士道』が再びベストセラーに
河田和良
 前月号の本欄で、今年が日露開戦百周年にあたること、日露戦争の勝敗を決した日本海海戦で連合艦隊の旗艦として活躍した戦艦「三笠」の進水が奇しくも、財団創始会長笹川良一先生のお誕生の年と同じ、明治三十二年(一八九九年)であったことをご紹介しました。ところが、日露戦争の日本の勝利に欠かすことの出来ない調停役となったアメリカと同国大統領を味方につける日本の売込に一役買ったのが、五千円札の肖像画でお馴染みの新渡戸稲造の名著『武士道』で、この本も明治三十二年に英文で書かれ、同年に刊行されていたのです。
 日露開戦は明治三十七年(一九〇四年)二月四日の御前会議で決定しました。会議に出席した元老筆頭の伊藤博文は、会議後、腹心の政府高官、金子堅太郎を呼び、開戦はしても、兵力、物量ともに大きく劣る日本が勝てる見込みは全く無く、なんとか持ちこたえている間にアメリカに日露間の調停役を買ってもらう以外に道はない。君はアメリカにくわしく、かつ、セオドア・ルーズベルト大統領とも親しい関係にあるので、困難は承知で、この説得役を引き受けてくれと頼みました。
 金子堅太郎は、早速、渡米して大統領の説得に努めました。この時大統領から、日本の根本精神を知るのに良い本はないかと尋ねられ新渡戸稲造著の『武士道』を一冊届けました。はたして、二カ月後に招待された午餐会で、大統領から、『武士道』を読んで日本の徳性をはじめて知ることができて感銘した。早速、友人、知人から五人の子供にも読むように勧めたという素晴らしい話を聞くことになりました。
 明治三十八年六月、ルーズベルト大統領は日本が帝国ロシアに攻勢をかけている間に調停に入ってくれました。そこにはアメリカの思惑もあったかもしれませんが、金子の説得力に劣らない『武士道』の功績があったといわれています。
 今日、日露開戦百周年とともにこの『武士道』が再びベストセラー上位に名を連ね、映画やテレビなどにも武士道ブームが巻き起こっています。
 ちなみに、私たちが日頃親しむ吟剣詩舞道の精神と武士道とは、切っても切れない間にあることは言うまでもありません。


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