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3. 世界における「ムール貝」取扱の現状
 2000年の「ムール貝」の主要漁業生産国と主要養殖生産国、それぞれの生産量を整理した(3)
 
3.1. 「ムール貝」の漁業生産主要国と生産量
 2000年において、漁業生産の高い国はデンマーク(約11万トン)やイタリア(約4.2万トン)などのヨーロッパ諸国、カナダ(約1.4万トン)、ペルー(約1.4万トン)やチリ(約1.1万トン)などの南米諸国などであった。同時期の東京都中央卸売市場の取扱量は、漁獲、養殖および輸入を含めた取扱量としても約360トンで、主要国とは大きく隔たっていた。
 
図3.1
ムール貝の主要漁業生産国と生産量(2000年、FAOフィッシュスタット−Ver.2.3(3)より引用
 
3.2. 「ムール貝」の養殖生産主要国と生産量
 2000年において、養殖生産は、中国が圧倒的に大きな養殖生産量(約53万トン)を占め、第2位のスペイン(約25万トン)の約2倍の値を示した。しかし、ヨーロッパ諸国(スペイン、イタリア、フランス、オランダ、アイルランド、ドイツ)の養殖生産量を合計すると、約53万トンとなり、中国とほぼ同等の規模を有した。中国以外のアジア諸国ではタイ(約5.6万トン)が高い生産量を示した。養殖生産の面からは、ヨーロッパ諸国だけではなく、アジアに大きな生産拠点が構築されていることが示された。
 
図3.2
ムール貝の主要養殖生産国と生産量(2000年、FAOフィッシュスタット−Ver.2.3(3)より引用
 
4. まとめ
 「ムール貝」は欧米では重要な食用貝類である。2000(平成12)年において、主要漁業生産国であるデンマークは約11万トンの生産量を示し、主要養殖生産国である中国は約53万トンの生産量を示した。中国に劣らず、ヨーロッパ諸国も養殖が盛んで、スペインら6ヶ国で約53万トンの生産量を示した。
 東京都中央卸売市場の取扱金額や取扱量をみると、平成9年度以降、本邦における「い貝」類の食利用は進みつつあるように考えられる。しかし、平成14年度の東京都中央卸売市場の取扱量は約360トンで、欧米諸国などと比較すると、生産量などに大きな格差があった。
 
5. 引用・参考資料
(1)東京都(2002):平成13年 東京都中央卸売市場年報(水産物編), 308-309.
(2)東京都(2003):平成14年 東京都中央卸売市場年報(水産物編), 308-311.
(3)アレッサンドロ・ロバテリ[小林清春[意訳]](2004):ヨーロッパでの二枚貝の流通(1), 養殖、No.4, 78-79.


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